新刊。お知らせ。

古典的名著、獅子文六『食味歳時記』中公文庫から復刊。解説を書きました。…クリック地獄

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004005◆『大衆めし 激動の戦後史:「いいモノ」食ってりゃ幸せか?』ちくま新書から発売中。よろしく~。もくじなどはこちら…クリック地獄
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2016/09/16

中公文庫の9月新刊に獅子文六『私の食べ歩き』と赤瀬川原平『少年と空腹 貧乏食の自叙伝』。

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中公文庫の編集さんからご恵贈の本2冊。ありがとうございました。

今月下旬発行(本の奥付では25日になっている)の獅子文六『私の食べ歩き』と赤瀬川原平『少年と空腹 貧乏食の自叙伝』だ。

帯の文を見て、中公文庫がやってくれた!と思った。

帯の文からして、パワーが違う。

『私の食べ歩き』の帯には、こうだ。

 味覚の批評家なぞという
 最も不幸な批評家になるのは、
 まっぴらご免である。

『少年と空腹』は、こう。

 おかしく、
 切なく、
 懐かしい―――
 グルメの対極をゆく、
 食味随筆の奇書。

そして、獅子文六『私の食べ歩き』の解説は、ナルホドこういう手があったか!の高崎俊夫さん。赤瀬川原平『少年と空腹 貧乏食の自叙伝』の解説は、これはもうトウゼン!の久住昌之さんだ。

この四月に改版が発行されて解説はおれが書いた獅子文六『食味歳時記』に、この二冊が加わって、なんだか、「気取るな!力強くめしを食え!」のパワーがアップした感じだ。

中公文庫、まだまだやってくれそうだ、目が離せないし、大いに応援したい。

読み始めたばかりだから、後日、このブログで詳しい紹介をします。

当ブログ関連
2016/04/21
解説を書いた獅子文六『食味歳時記』中公文庫復刊が今日から発売。

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2016/09/14

小岩の野暮酒場で津南のポテトフライ。

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10日の土曜日、たぶん2か月ぶりぐらいで小岩の野暮酒場へ行った。行く前から、野暮酒場の隣にある肉の津南のポテトフライを食べてみなくてはならないと思っていた。

食べてみて、『dancyu』10月号の「ウマい町」に書いた佐野のいもフライとの違いを確認したかったのと、肉の津南ではじゃがいもを茹でて皮をむくところからやっているのか、おばさんに聞きたかったからだ。

おばさんに5本注文すると、おばさんは冷蔵庫のバットから串に刺したそれを5本だし、溶いた小麦粉にくぐらせ、パン粉をたたいて油に入れる。茹でて皮をむくところからやっているのか聞くと、そうだという答え。それは大変だねえというと、ポテトサラダを作るからそのついで、でも大変よ、とうなずく。

安い値段のものは、手仕事で利益を稼ぐしかない。

5本買って野暮酒場へ行くと、開店の17時ぐらいで、店主とおれだけ。早速、よく眺める。だいたい、ソースがついていないこともあって軽い印象だし、串が細く3個刺さった全体も少し小ぶりだ。なにしろ、こちらは一串40円、佐野のいもフライは一串4個が標準で串も太く大ぶりで、80円から100円が平均だ。

ソースをつけずに食べてみると、佐野のいもフライとは別物ぐらい違った。津南のは、食感が軽い。「ウマい町」にも書いたように、よくあるポテトフライの「サクッ」「ホクホク」の味わいだ。

ウスターソースをかけて見たが、やはり佐野のいもフライのようにはならない。

佐野のいもフライは、小麦粉の皮の厚さがあり粘りも強く、いものモチモチの歯ごたえと重量感、それにやや甘めの中濃ソースが一体で、「佐野のいもフライ」なのだ。

モチモチの違いは、串に刺した後の「冷し」の時間と、衣にする小麦粉の溶き加減が関係していると思われるのだが。

佐野いもフライは50軒ほどあって、そのうちの老舗3軒だけでしか食べてないけど、佐野独特のものらしい。隣の足利や宇都宮あたり、古河にもあると聞くが、佐野のいもフライとは微妙に違うようだ。そこがまあ「ご当地」ならではなのだろう。

106001ご当地グルメといっても、土地の歴史や風土と関係なく演出的に作られたものが増える中、佐野のいもフライは違う。地元民に熱愛され「都会的洗練」なんぞ関係なしの潔さ。だいたい名前からして「ポテト」ではなく「いも」で、気取ってない。そして、これはこれの旨さがある。

誌面には原稿量の制限があって書けなかったが、取材の中で、佐野がある両毛線沿いは独特の文化があるのだけど、同じ両毛線でも足利や桐生と佐野とでは、大いに違うという話を聞いた。

その違いは、かつては同じように機織りや縫製で栄えたにしても、足利や桐生は絹で、佐野は綿だったことが関係する。つまり、佐野の興隆を担ったのは、綿という庶民文化だった。そのことは、いもフライやラーメンや耳うどんなど、庶民的な食べ物が人気なのと関係あるのだと。

その話を聞いたとき、坂口安吾が戦後に桐生に移住したころ、桐生はなんでこんなに寿司屋が多いのだと何かに書いていたのを思い出し、なんだか納得がいった。

とにかく、この日の野暮酒場は、なぜか来る人が来る人が津南のポテトフライを買ってくるので、それを佐野のいもフライのように積み上げたり、ソースをかけてみたりしたのだった。

野暮酒場のあとは、まいどのように小岩の町へ繰り出し、立ち飲みで泥酔。

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2016/09/05
明日6日発売の『dancyu』10月号で、「ウマい町」を書いています。

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2016/09/13

『栄養と料理』10月号の特集に初寄稿。

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告知が遅れてしまったが、先週は6日から発売中の『dancyu』10月号の「ウマい町」で栃木県佐野のいもフライをルポしているのだけど、9日発売の『栄養と料理』10月号にも寄稿している。

『栄養と料理』には初登場なのだが、いきなり、「お酒好きのための健康術」という特集の冒頭で、「酒がうまければそれでよし!?」ってことで「酒と私と健康と…」を書いている。おれが飲んでいる写真もデカデカと。

これまでは、栄養だの健康だのハナクソクラエって感じだったのに、こんなことになってしまったのは、某氏の(単に酒を楽しく飲むという)仕掛によるもので、マジかよ冗談だろっと思っているうちに、ほんとうにこんなことを書くことになり、書いてしまった。

『dancyu』と『栄養と料理』は、方向性が逆というか、異なる点が多い。

だいたい『dancyu』は、いわゆるグルメ系で、「反健康」とまではいかなくても、とにかくウマイモノ一途だ。今回の佐野のいもフライだって、栄養学的には、あまり健康的のモノとはいえないだろう。

一方、『栄養と料理』は、清く正しく健全で健康な食生活(こうやって書いてみると、おれにはまったく縁がないことがわかるのだが)をモデルにしている。

今回のように一度に両方の仕事に関わって見ると、なかなか面白いことが見えてくる。けっきょく、「食」というのは「健康」と「不健康」を両方食べるようになっているのだ。

そもそも生存というのが、生きるために食べながら死に向かっているのだからね。この世はパラドキシカルな構造で動いているのだ。

だから、『dancyu』と『栄養と料理』は、じつは、背中合わせで一つの食の姿になる。それでも「食」の全体像からは遠いと思うが。ところが、割りとどちらからしか見てないことが多い。

たとえば、「食」というと「味」と「技術」や「職人」や「雰囲気」といったことになりやすく、さまざまな数値や身体・生理などは無視して「文化」のほうへ傾斜しやすい。一方、栄養や料理というと、教条的に数値や知識を追い「正しい生活」に傾斜しやすい。

だけど、人間は、そんなに都合のよい存在ではない。ま、つまり、どちらも「人間の生存」ということに深く関わりながら、そこのところには踏み込んでないわけだ。といったことなどが、今回シミジミ感じた。

とにかく、『栄養と料理』は、雑誌業界では『dancyu』などと比べると地味な存在だけど、本来の意味での編集力つまり表現以前の力量が問われる雑誌だ。

女子栄養大学出版部の発行で、いろいろ制約が多いのに、なかなか巧みで攻めな編集をしていると思う。だからまあ、おれのようなものが書くことにもなったのだろう。

ちなみに、女子栄養大学は、いまではごく普通に使われている料理の計量カップ・スプーンを考案した香川綾さんとご主人が設立の学校です。ご夫妻で日本の栄養学の基礎を立ち上げた。栄養学は、功罪いろいろだけど、この功績は大きい。『暮しの手帖』の功績より注目されてよいと思うんだが、そのへんは、ま、なんですね、『栄養と料理』より『dancyu』や『暮しの手帖』の方が洗練されていてカッコイイと思う、薄っぺらな困った文化の根深さ、といえるか。

おれの文章は「健康術」にはなっていないけど、「反面教師」ぐらいにはなるかも知れない。

そうそう、おれはこの原稿を書くために、20年ぶりに健康診断ってやつを受けた。肝機能関係の数値は、20年前と比べてどうだったか、それは本誌を見ればわかります。

どうか書店で手に取って見てください。

扉の写真は、歌舞伎町のつるかめ食堂。撮影は、島﨑信一さん。

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2016/06/15
『栄養と料理』がおもしろい。

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