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2003/07/14

ありふれたものを美味しく食べる……温サラダ

1990年江原恵さんは、『辰巳浜子―家庭料理を究める』を書いた。リブロポートの「シリーズ民間日本学者」のなかの一冊で、編集部からの依頼だった。

NHKテレビの料理番組「きょうの料理」は1957年に始まる。初期の主な出演者といえば江上トミ、赤堀全子、飯田深雪、河野貞子、土井勝、辻嘉一、といった顔ぶれだが、そういうプロに混じって辰巳浜子さんがいた。

彼女は、夫が大会社の役員とはいえ、サラリーマンの主婦で「ふつう民間」の料理のひとだった。ついでにいえば、1977年に亡くなっている。1960年『手塩にかけた私の料理』1969年『娘に伝える私の味』1973年『料理歳時記』と、シロウトらしいペースでの出版で名著を残した。

江原恵さんの『辰巳浜子』のイチバンの面白さは、その3冊の名著を比較して、辰巳浜子さんがテレビに出演し有名になりプロの料理人との交流がふえるにしたがい、その影響を受けて彼女が、あるいは彼女の料理や料理に関する著述が、どう変化したかに触れているところだ。「家庭料理と料理屋料理―辰巳浜子の遺した課題」である。

ま、それはともかく、辰巳浜子さんは、暑い夏に子供達のために「煮サラダ」をつくった。ちかごろでは「温サラダ」といわれる。野菜の蒸し煮で、おれもときどきつくる。江原恵さんもつくっていた。

江原恵さんの調理法は「玉葱、トマト、人参、じゃがいも、ピーマンまたはさやいんげん、それにチージとバター、塩、胡椒という、ありふれた野菜の蒸し煮である。厚地の深鍋に下から右に書いた順序で、さやいんげんかピーマンを一番上に重ね、塩胡椒を適当にふりかける。その上に小さなさいの目に切ったチーズを散らし、バターをおき蓋をかぶせて密閉する。ガスは初めからとろ火にする」

もちろん野菜はテキトウに切る。おれの場合は「玉葱、トマト、人参、じゃがいも」のほかの材料が違う。キャベツを使う。ほかに辰巳浜子さんのようにベーコンを使うことが多いが、使い方が違う。ようするにイロイロにやりようがある。ありふれたものを美味く食べることを体験するには、じつによい。

うーむ、食べたくなったなあ、これがビールのつまみにもよいのだ。夏は、けっこう身体がよわっているから、温サラダはなかなかよい。

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