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2003/07/02

異常

当サイトで貧乏食通研究所>食文化本のドッ研究>年表・戦後は、1988年の江原恵さんの「家庭料理をおいしくしたい」で終っている。というか、とりあえず、それを年表の最後にして、その後はつくってない。

「家庭料理をおいしくしたい」は草思社の刊で、そのまえ86年に同社から刊の江原さんの「料理の消えた台所」の焼き直しを含んだ続編という恰好だ。

この時期は、いうまでもなくイケイケ一億総グルメ騒動の真っ最中。その時期に、こういう本が出た。そこに今日まで続く「グルメブーム」の性格というか本質があらわれている。それは年表にしたがって主な食文化本を読んでいくとクッキリしてくる。ようするに、美味学的関心が希薄なのだなあ。

これはじつに奇妙な現象だ。美味学的関心のないグルメなんて存在するのだろうかと思われるのだが、日本には、存在するのだ。はやい話が美味学的関心なんか持たなくても、情報誌など片手に食べ歩きして、何軒食い倒したと足し算しながら、うーむこれは素材の味が生きている、はーんこの野菜の味は力強くてスープの味に負けていない、ねーんオーガニックの味は素晴らしい、ナーンテことをいっていればグルメであるというふうになってしまった。

江原恵さんのデビュー作は、江原さんとおれが出会った1974年の「庖丁文化論」で、これがリクツ編としたら、83年の「実践講座 台所の美味学」はタイトル通りその実践編と位置づけることができる。台所の美味学は、81年5月からアサヒグラフに約一年間連載されたものを本にした。

その前年80年10月に、江原さんとおれは「生活料理研究所」をつくった。そして81年に渋谷東急デパート本店の前に飲食店「しる一」を開店した。いずれも80年代前半のことで、その間で、これらの「実験」は終る。それは「台所の美味学」を追求する「生活料理」の「実験」だったといえるだろう。

そのころ江原さんと話していたことだが、「美味学」に「台所」をつけ、「料理」に「生活」をつけなくてはならない異常があった。美味学とは台所で生まれるものであり、料理は生活であるはずなのに、ワザワザそう表現しなくてはならない状況が、すでにあったのだ。

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