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2003/07/30

再びファンタジー 「コロッケ傷害事件」

そして月日は流れ星のように去り、アヤシゲ新聞社のひとは変わったかもしれないし変わらないかもしれない……。

アヤシゲ新聞によれば、その事件は、そもそもの発端がじつに今日的でありバカグルメ的だった。

夫婦は結婚3ヶ月目で、夫Aが37歳、妻B29歳。夕食にダイニングキッチンで、妻Bがジャガイモのコロッケをつくって出したところ、夫Aが怒ってテーブルごとひっくりかえした。そのテーブルが妻Bにあたった拍子に、妻Bがよろめいて手をのばした先に庖丁があった、カーッとなった頭で、それを夫Aにむかって投げつけたところ、右腕に刺さった。もちろん命に別状はない。

事件の概要は、そのように単純なものだった。問題は、なぜ夫Aが怒って妻がつくったジャガイモのコロッケをテーブルごとひっくりかえしたかなのである。

夫Aは、相当なグルメを自認している、とのことである。いろいろなグルメ本や記事を読んでいる。そのなかに、小説新潮1999年5月号があった。夫Aが読んだ記事は、佐藤隆介氏の連載「池波正太郎の食卓」で、その13回目「クルケット変じてコロッケの和魂洋菜」だった。そこには、このようなことが書かれている。

……イモ、クリ、カボチャが嫌いである。一日汗水流して働いた挙句に、晩飯のおかずが馬鈴薯(じゃがいも)のコロッケじゃたまらない。
「気に食わないものが出たら、お膳を引っくり返せ。さもないと一生うまいものは食えないぞ」と、池波正太郎は教えている。その教えを早いうちに実行したから、この三十余年、私の食卓にイモ、クリ、カボチャが登場したことは一度もない。

佐藤氏の好き嫌いの話とうまいまずいの話の混乱があるが、それはともかく夫Aは、これを読んで、うまいものくうがために、自分もそれを早いうちに実行しようと思っていた。佐藤隆介さんも池波正太郎さんも、そのようにしてきた、自分もそうやろう、そう結婚のときから決意していた。

が、しかし、夫Aは、ジャガイモが嫌いなわけではない。そうではなくて、ジャガイモのコロッケは間違いで、であるがゆえにうまくないと、おなじ記事で思い込んだのだった。つまり、佐藤氏は、こう書いている。

……そもそもコロッケはジャガイモで作るものと思うほうが、私にいわせれば間違いである。本来は安上がりの庶民のおかずどころではなく、非常に手の込んだフランス式の料理の一品なのだ。
(つづく)

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