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2003/10/09

あなたもグルメ評論家!騒動記1

アヤシゲ出版社の専務セドドーは、社長のモクドーに言いつけられて、社の裏を流れるヘドロな南陀川で洗濯をしていた。洗っているのはモクドーのデカパン一か月分である。
「あーあ、なんで専務のおれが、こんなことせねばならぬのか、モクドーのヨメはどこへ行った……」
セドドーが手を休めタメイキをつき川の上流に目をやると、大きなダンボール箱がヨタヨタ流れてくるではないか。一万円札なら数千万円は入っていそうだ、とセドドーは思い、臭い汚い流れに飛び込んだ。
アヤシゲ出版社は、社長モクドーの古書収集癖のために、新本を出すための費用は全部そちらに使われ、倉庫には古本は増えるが売るべき新本はなく、経営危機に陥っていた。セドドーはワラにすがる思いだった。

まあ、そういうことで拾われたダンボール箱には、カネは一円も入っていなかったが書きなぐりのノートが数十冊入っていて、それでアヤシゲ出版社は経営危機を脱し今日にいたっているのだが……。

明らかに一冊目とわかる、黒のサインペンで①と表紙に大きく書かれたノートの最初のページには、作者がタイトルを考えた形跡がある。

「わたしも料理評論家になりたい」
「わたしを料理評論家にして、して、して」
「あなたも料理評論家」
いや、「料理評論家」はマズイ、時代遅れだ、それに間口が狭すぎる。いまや「グルメ」は「料理」も包括し多様な意味をはらんでいる。
「グルメ評論家」でなくては、そうそう、「あなたもグルメ評論家!」がいい。

……などとある。そこで、ここでも「あなたもグルメ評論家!」を使うことにする。これはまたかつて経営危機にあったアヤシゲ出版社が、これで一儲けした本のタイトルでもあるのだが。本になったのは、ウリを考えてノートのほんの一部である。

作者はノートで「なぜグルメ評論家」なのか? と始めている。しかし、文章は下書きか覚書のつもりらしく、整ってはいないし、箇条書きであったり、乱雑に数文字が転がっていたりという状態なのだ。なるべくそのまま復元していくことにしたい。

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