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2003/10/12

あなたもグルメ評論家!騒動記4

セドドーは吉野家の牛丼弁当をガツンガツン食べている。すでに2つを空にして、3つ目にかかっていた。いつも一度にそれぐらい食べるのだ。

アヤシゲ出版社は、単行本のほかにも、いくつかの新聞や雑誌を発行している。そのうちの一つ、「日本メシ新聞」の編集長のメシドーが、セドドーのそばにきて囁いた。

「専務、おかしな女がきているけど会いませんか、おかしいですよ」
「ウングウング、会う会う会いますよ、だけどこの牛丼食べてからね」

応接室には女が一人。セドドーは名刺交換をする。女の名前は、ヘンドーのムスメ。

「で、どういうことなの?」セドドーはメシドーに聞く。「ああ、つまりですね、この人は、メシ新聞に何か、そのエッセイというやつを書かせてくれというのですよ。食堂食べ歩きのエッセイを書きたい、ってことです」

「で、いままでどんなの書いていますか」セドドーはヘンドーのムスメに聞いたが、メシドーが答えた。「それが、まったくないのですよ。ただ、いろいろ食べ歩きの記事を見ると、あのていどなら自分でも書ける、それに馬力はあるし、メシは一度にどんぶり2杯ぐらいは食べられる大食いだし、やらせて欲しい、と、そういうわけです」

セドドーは大食いってのに興味を持った。女を見る。女は、どちらかというと細い、背丈も160センチぐらいなものだ。それが一度にどんぶりめし2杯くうという、一度に4杯はくえるセドドーにはおよばないが、大食いは大食いに関心をもつ。

「あなたは、なにをやりたいの?」
女は胸をはってこたえる。「エッセイストです」
「いまいくつ? だいたいキャリアシートぐらいないの?」
「31です。キャリアシートってなんですか?」

ほらね、という顔でメシドーがセドドーを見る。
「はあ、キャリアシートは知らないなら知らないでいいですが。はやい話、食関係のエッセイストになりたい、ということね」
「食というわけじゃなくて、エッセイストになりたいのですが、食のこと、食べ歩きを書くのが一番簡単にやれそうだから、だってたくさん食べ歩けばよいわけでしょ」

セドドーは、女と話ながらひらめいた、あの拾ったノートをもとに、「食エッセイスト養成講座」をやったら、こういう女が集まってくるかも知れない。なんだか近頃の女は、やたらエッセイストになりたがっているし、カネ儲けと人材発掘の一石二鳥……。

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