女の立ちション
どこのサイトの何の話だったか、たぶん便器のTOTOのサイトだったと思うが。女が立ったまま小用をたす便器の話があった。それは水洗式のものだが、アメリカで誕生し東京オリンピックのころ、外国人が使用する日本の施設に設置されたことがあるというような説明だった。写真も載っていた。
たしか、昔はストッキング弱かった、便座に座るとストッキングが切れてしまう対策から、それが生まれたということだった。
しかし、日本には、昔から女も立ちションできる便器あった。男女兼用である。俗に「朝顔」といった。女は、そこで立ったまま用を足したし、野良でも立ちションした。
おれは何度も目撃していて「大衆食堂の研究」にも書いた。田舎のことだけかと思ったら、上京した1962年春、現在調布市の金子町の畑で、女が立ちションしているのを目撃した。ま、もっとも、当時の金子町は田舎だったが。
女も立ちションの風習は、一つには、昔の農業は小便を大切にしたことに関係すると思う。戦後の農村を撮影した写真にも、女が立ったまま小用をたす「風景」があるが、家の外の汲み取り口の木のふたにあけた10数センチ四方の穴にむかって、ミゴト小便を放射するのだ。つまり「朝顔」は使用してない。母屋の便所の便壺を、外からも利用する仕組みのものだった。
農作業のあいだに小便のたびに、ワザワザ足を洗って家にあがるのは、めんどうである、かといって野良にしてしまうのは、当時は、いまでいう「有機栽培」が普通だったから、たい肥をつくるために必要なモノを捨てることになる。人間の糞尿もブタの糞尿も必要なものであり、貯めておいたのである。
で、おれの田舎の農家では、たいがい母屋の外に便所があるか、母屋につながって小便用は外から土足のまま利用できる仕組みになっている家が多かった。そういうところでは「朝顔」をつかっていて、女も立ったまま小便をしたのである。
女の立ちション、女も立ちションできる便器「朝顔」の関係は、そのように「有機栽培」と密接な風俗だった。いま、大小便を、みんな水で流して、女も男も立ちションはイケマセンといいながら、「有機栽培」なんていっているが、では、たい肥をどうしてつくるのか。有機栽培の米や野菜をまかなうだけの、たい肥をつくる糞尿は、どう調達するのか。……なんて考えたのだった。
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