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2005/03/24

『dancyu』の軌跡

きのうの「好きなんだなあ小沢昭一的こころ」の続きだが、その『dancyu』1991年6月号、「「カツ丼」のバカ旨」特集の、小沢昭一さんのページをめくると、つぎは塩田丸男さんの登場で、小沢昭一さんと正反対、文化的レベルの低さ無内容が露である。これはもう皮肉としかいいようがないほどで、こういう構成にした編集部に拍手を送りたいぐらいだが。

塩田丸男さんは、自ら文を書き、そのタイトルは「フランス料理のベテランシュフが、塩田丸男さんに、”裏技”を伝授!」である。そして、シェフの格好をし、「東京・世田谷の下北沢に小粋なフランス料理店「ル・グラン・コントワー」を出している菅沼豊明さん」の指導で、小沢昭一さんと正反対の「良質」づくめのカツ丼に挑むのだ。

シェフも良質、カツも「ペチャカツ」どころか、「鹿児島の黒豚」「卵は、千葉県御宿の地鶏の卵」「だしはカツオブシに日高こんぶ」、「お新香は京菜とハリハリ漬と柴漬だ。そして、器は美濃の蓋丼」と、ブランドづくめ。これを塩田丸男さんは「正攻法」という。そして最後に、菅沼さんの指導の下で自分で作ったカツ丼に満足しながら、「臨時の弟子の私のカツ丼でさえそうなのだから、大師匠の菅沼シェフの作品の味は、もう書くまでもない」とシェフを持ち上げておわる。

けっきょく、『dancyu』は、その後、「小沢昭一的こころ」ではなく、ブヨブヨ繁栄社会の申し子のような「塩田丸男的モノ主義ブランド志向、ブランド生産者や料理人ヨイショ」にはしることになる。10年後2001年の『dancyu』10月号は、似たような丼特集をやっているが、その軌跡がはっきりわかるのだ。その見出しを並べてみるだけでも、なかなかオモシロイ。

そんなこんなで、ちかごろ「グルメの傷跡」に興味がわき、「グルメの傷跡本」というのを拾ってみることにした。ま、ボチボチではあるが。
http://entetsutana.gozaru.jp/hon/siryou_index.htm
山本益博さんの『東京 味のグランプリ1985』は、来月の「書評のメルマガ」に取り上げる予定でいる。これは、なんといっても、「まえがきに代えて」の「拝啓―丸谷才一様」が噴飯モノとして秀逸。そのように料理評論家のみなさんのオコトバを、評価しランキングして楽しんでいる、今日この頃であります。

ちなみに、2001年の『dancyu』10月号では、嵐山光三郎さん、マッキー牧元さん、森脇慶子さんの鼎談だ。いやあ、面白いのなんの。さすが食こそエンターテーメントの『dancyu』だ。ブヨブヨ繁栄社会で調子にのった者たちがメディアで繰り広げてきたグルメなバカ騒ぎ。ちょいと売れたぐらいで、調子にのって恥をかく姿を楽しむのも『dancyu』の読み方であるな。

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