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2005/03/29

「神戸ハレルヤ! グルめし屋」のススメ

できあがってきた。オヤジ芝田さんの著『神戸ハレルヤ! グルめし屋』。すでにザ大衆食のサイトで紹介したように、おれは解説を書いている。
http://homepage2.nifty.com/entetsu/sinbun05/kobe_gurumeshi.htm

うへへへ、この解説の量たるや、全170ページのうち27ページを占めている。ま、編集者・著者・おれ、お互い承知のうえでやった「ムチャクチャ」だが、結果的にある種のバラスンがとれた、オモシロイ一冊になっていると、自画自賛できるものになった。

じつは、おれの解説、「解説、なようなもの」は、長いだけではなく、これまた「ムチャクチャ」だが、本文を読まずに書いている。おれが芝田さんと出会うことになった、芝田さんのサイトにある、神戸の大衆食飲食店の記事をみたり、芝田さんと2、3回一緒に飲んだ印象だけで書いた。それがよかった、ともいえるかな。

いま現物を手にして芝田さんの書いたところも通して全体を見てみると、従来の「食べ歩き本」「グルメ本」「食エッセイ」のたぐいにはない味わいがある。

それは齢50をすぎた男、オヤジ芝田さんの、神戸での暮らし。ビンボー家庭とはいえないだろうが、まだカネのかかる子供を抱え小遣いはままならない監視下にあり、A級もちろんB級だろうとC級だろうと外食に道楽できる余裕はない、ま、それがごくフツーのオヤジの現実だと思うのだが。そういうオヤジ芝田さんの、300円500円ときには1000円のカネを使ってそれでもそのなかでうまいものを食べたいと神戸の街をウロウロする生活が、シジジミセツセツと感じられるということだ。

つまり食生活は安ければよい高ければうまいでは「文化」にならないわけで、ミミッチイ予算のなかでもどううまいものにありつけるかに「文化」がある。そこんとこが、かめばかむほど味が出るスルメイカのようなアンバイに感じられる。

多くの「食べ歩き本」「グルメ本」「食エッセイ」というものは、過剰なといっていいほどの「形容」「装飾」にあふれたブンガク的表現に流れるか、はたまた写真と店の名前や住所さえあればアンタの無内容の文章はいらんというものが少なくない。それらは、最初から、「旨いもの好き」「食いしん坊」が書いたものとして「読ませる」あるいは「読まれること」を前提に、取材したり書かれたりするクサイところがある。

芝田さんの書かれているところにも、そういう部分がまったくないわけではないが、しかし、全体をとおすと、まさにコンニチ的オヤジ、芝田さんの神戸ケチケチグルメ生活という部分が、非常に魅力的だし、将来の史料価値としては、大法螺ふきの食エッセイなどよりは、こういうものが貴重になるだろうと思われる。

で、それで終わっては、ま、よく自費出版モノにある、「活字になるだけで満足」というレベルのものだったかも知れない。もちろん、それでも、いま述べたように、とてもよい味わいがあるし、それでもよいのだが。しかし、ナント、そこは自画自賛的に書くと、やはり根っからの貧乏人同士でありながらコツコツ大衆食に「美」を求め続けてきた芝田さんとおれの薄気味悪いが愛のヒラメキなのか、おれが芝田さんの本文を読まないで書いた「解説、なようなもの」があり、芝田さんの「体験」とうまくリンクし、地域(神戸)と生活と大衆食の関係性の普遍へと発展つなげ、本書は全国の「小生活愛好家」が楽しめるものとなっている。そのグウゼンに、おれはすごく感動した。愛はテレパシーだ!

芝田さんもおれも文章はうまいほうじゃないから、電車賃を苦にせず道楽にカネをつかうバカものや、文芸からしかモノゴトを見られないバカたちには支持されないだろうが、日々の小さな生活を愛しくおもうみなさんなら、本書が持つモロモロの拙劣さをこえて、かめばかむほど味が出るスルメイカのようのような感動を覚えると思う。

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コメント

さよ様、どーも、はじめまして。めったに女性が足跡を残すことがない、この貧乏で野暮でむさくるしい男のブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。

バブルのころに「大衆食堂研究会」とは、ワガ大衆食の会より古い。あのころは、大衆食堂にとっては最悪の時代でしたが、しかも若い女性の身で、よくぞ大衆食堂研究に立ち上がってくださいました。

かりに「アジア研究」に吸収されても、バックパックの旅は大衆食堂の旅のようなものですから。それに東南アジアといえば、汁かけめしの天下だし。

じつは、ときどき当ブログに書いていますが、ワタクシはバックパッカーのためのゲストハウスの経営に関係しています。きのうも、そのミーティング飲み会があったのですが。中野周辺に4か所です。近々、「旅人文化振興会」なるものも、立ち上げる予定になっています。きのうのミーティング飲み会も含め、近々ここに書きますので、ごらんください。

これからもよろしく~

投稿: エンテツ | 2005/03/29 16:57

はじめまして。数週間前にたまたまこちらのブログを見つけ、拝読させていただいています。
私、バブル真っ只中に女子大生をしていたのですが、なぜか女友達三人と『大衆食堂研究会』なるものをたちあげ、食堂を3件まわったところで『アジア研究会』なるサークルに吸収合併されてしまったのですが(なんのことはない3人が『アジア・・・』に入っただけなのですが)、大衆食堂と聞いて郷愁を感じ、書き込みをせずにはいられませんでした。
『アジア・・・』も入ってみたら、貧乏学生がリュックをかかえ東南アジアをうろつき、ブラジャーとパパイアの酢漬けが並んで売られるマーケットで生命力を感じ、屋台ご飯(100円以内)でグルメをするいう、女子にしてはしょっぱすぎるシロモノでしたが、ほんとうにすばらしかったです!!!
ああ、なつかしい学生時代。はじめてでかけた一二三食堂、ちかく出かけるとします。

投稿: さよ | 2005/03/29 15:18

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