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2005/07/11

昭和人情懐古趣味をこえて

近々新宿ゴールデン街に開店する知人から、開店パーティーの案内が届いた。その文面には、これまでのイキサツを書いた最後に、こうある。

「いろんな方々の友情とご好意に支えられました。株価や遺産相続問題や学閥・各種ブランド信仰や異業種交流会や名刺ジャンケンには縁も興味もないドロップアウト系のわたしたちが大切にしているのは、 こういった縁や気持ちが育む数字には置き換えられないものだったりします。」

まったく涙が出そうなほど、同感なのだ。フツウだったら、ゴールデン街に店を持つなんて考えられない、一人目の子供ができたばかりの夫婦。そして、そうだそうだ、そういえば、おれたちは、「ドロップアウト系」だったのだなあ、と、しみじみ「ドロップアウト系」を自覚したのだった。

この開店パーティーの案内が届いた、そもそものキッカケは、もとをたどると10年前にさかのぼる『大衆食堂の研究』と大衆食の会なのだ。

10年間、得にも儲けにもなる関係じゃなく付き合っているうちに、なんだか縁の縁、気持のつながりのつながりというかんじで、コンニチ的成功の世間からはドロップアウト状態デレデレの輪が広がり、なにをやっていたのだろうねえ、酒飲んでオシャベリしていただけのように思うが……。ゆっくり人間関係が育ってきた、その二軒目の開店というわけだ。

『大衆食堂の研究』が発刊された十年前ぐらいは、レトロブームはあったが、「昭和懐古」はそれほど鮮明ではなかった。大正昭和初期モダニズム、アールヌーヴォーなどへの懐古、前にも書いたが1980年なかごろからの東京・江戸ブームの流れだった。昭和懐古は『大衆食堂の研究』後の比較的新しいブームといえるだろう。これは、プロジェクトXなど、昭和を偉大な時代とすることで、ナニゴトか仕組まれているニオイがする、単なる懐古趣味ブームとはちがう気配もあるが。

それはともかく、そのコアの一つに「人情」なるものがある。そして「昭和を懐かしがるワタクシ」はイコール「人情家」あるいは「人情を大切にしてきたひと」てなフンイキが近ごろあるね。「いやあ、むかしは人情がありましたよ、いまの連中はなんですか、カネカネカネとせかせかせかして、ものを大切にしないし感謝も知らなきゃ礼儀も知らない、人情もなにもあったもんじゃない」とか、いいながら、昭和な大衆酒場や大衆食堂で、自分は人情で生きているようなフリをする。そういうブームがあるようだ。

人様が好きでやっているブームにとやかく言うことはないのだが、しかしだよ、そういうひとは、それで自分を免罪しているのじゃないかとも思うのだ。「人情」を大事にしてきていたら、いまごろは「ドロップアウト系」で、しかも、ブームにとびつくように昭和懐古の舞台装置を利用せずとも、自分の場所で「こういった縁や気持ちが育む数字には置き換えられないもの」を大切に、なんとか生きているのさ。

ほんとうに、「人情」が大切ならば、ひとを出し抜くミミッチイ競争をやりながらの昭和懐古をこえ、ドロップアウト系になってはいかがかな。

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