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2005/09/29

まだまだやめられない「トレンド」

もういいかげんトレンドの話は、あきているのだが、矛盾的になんだかおもしろくなり、ほかの本もひっぱりだしては見ている。ま、自分のための覚書だが。

おれは蔵書があまりないから、すぐ本をみつけられる。『コンセプトノート』は、きのうまでに登場の「84」のほかに。バブル期の「90」「92」があった。いずれも、博報堂トレンド研究会の著で、PHP研究所から、手元にあるのは「84」だけが新書。博報堂トレンド研究会は、81年にできた博報堂生活研究所が母体の著者集団の名称。

博報堂生活研究所は、毎年「生活予報」というのを出していて、これが「ノート」のもとになっているのだが、非売品でクライアントやマスコミ関係に配布された。そのうちの「生活予報89-90 ほのじかけ 時代は艶へ」と「生活予報88-89 感動ホルモン 飽和社会の新活力」それに「90年代生活予報 社会性消費」も本箱からみつかった。おれんとこは「書棚」というほどシャレたものはなくホントウに本箱なのだ。

この非売品は、バブルの最中らしい豪華本であるが、とうじシゴトの関係があって、日本マーケティング協会で、生活研究所研究員が発表する内容も直接きいている。もうこれは、その聞いているときから「中身がないなあ」とあきれかえった、すばらしく豪華なわりにはすばらしく中身のうすいものである。また「ノート」で出版になった、「90」「92」もバブル期のもので中身はうすい。「92」は出版時にはバブル崩壊というデキゴトがあったから、そのさまも反映している。いずれも80年代からバブル期のビジネスリーダーたちの頭の中身の軽さうすさを物語る記念碑的ブツではないかと思う。印刷物は残るからコワイね。

やはり「84」が、もっともよく分析をし「世相」をとらえているようだ。そのあとは、みな消費にイカレた動物みたいなものだ。ま、日本全体が「買う」消費の流れのなかで、アイデンティティだのトレンドだのと「洋語」で自らをごまかし、それを客観視するがごとく評論しあってきた。この間に成長したのは、「買物力」と毒にもクスリにもならないオシャベリの「批評力」だけじゃないのか。そして、いまだに80年代の閉塞とアンビバレンツのなかにいるのだ。と、まさに評論家みたいなことを言ってみちゃったりして。

グルメという「外食」動向をみていると、その「買物力」とオシャベリな「批評力」が気になるのだな。

『コンセプトノート84』では「物質的豊かさについていけない精神的貧困、さらに世紀末ムードが盛り上げる不安の表面化」とかいう。90年代になってから「大人」コセンプトがはやりで、「大人」が強調される。ナント、10月1日から開催の早稲田青空古本祭記念目録「古本共和国」の表3には、おれは立ち読みで古書現世のセドローくんが書くコラムしか読まない雑誌『ウイル』の広告があって、「大人の常識「ウイル」はこんな雑誌です」と。笑った。わざわざ「大人の常識」といわなくてはならない現実は、あるのだろう。そういいながら、中国モンダイと朝日新聞の悪口でも書いていれば雑誌が売れる「大人の常識」が、あるのだろう。それはいかにも80年代バブルから続く「物質的豊かさについていけない精神的貧困」の景色のようだ。グルメという「外食」動向も、そういうものと無関係ではない。

しかし、もはや「世紀末ムード」が不安の原因ではない。いつまでたっても抜け出せない閉塞こそ不安の原因であり、ま、せいぜい日々の飲食で浮かれてまぎらわすとか。日々の小さな買物や安物グルメでウサをはらすとか。たくさんある商品や飲食店をアレコレ批評の対象にして、うさをはらすとか。ますます肩を寄せ合いたい同好同趣味。そこにまた、ダウンサイズイングのマーケットが生れるとか。

これまで最初のほうに書いたように「広告屋」に「マーケティング屋」を含めてきたが、広告屋とマーケティング屋は、やはりちがう。とくにその技能レベルでは、まったくちがうシゴトになる。で、80年代というと、パルコ出版のマーケティング専門誌「月刊アクロス」をはずすわけにはいかない。なかでも月刊アクロス編集部編・著の『「東京」の侵略』(パルコ出版、1987年)だ。こちらは、マーケティング屋がまとめたもので、コンセプトノートと同時代の東京をトコトン分析しているのだが、いかにもマーケティング屋のシゴトらしい。これが、よく雑誌などがやる「東京本」特集や紹介には、ほとんど登場しない。とてもオカシイ。編集者やライターの「精神的貧困」だろうか。と、憎まれ口をたたいて、今日はオワリ。

「巨大「東京」固有の生活文化とは何か」という視点を、アクロスは、もっていた。そういう視点を持ちながらバブル期をすごしたものと、持たずにトレンドだけを追いかけるイケイケの広告屋のようにすごした差は、大きいような気がする。そして、その広告屋と新聞屋テレビ屋は深い関係なのである。

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