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2005/09/13

旅とぶっかけめしと大衆食堂

 この一節を読んで、ぼくもこのような旅をしたいと痛切に思ったものだ。どんな旅であるかというと、ある日突然、何の目的もなく家を出て、そうしてたいしてあてのない旅に行き、そこで唐突にいろんな人と出会い、必然的にそれらの人人とのからみにおける予期しない出来事と直面していく。そしてわらわらどうしようもなく流されていくような人生の危うさを感じていくという話である。
 流されていくのは旅人そのものに金がないからだ、つまりは貧乏だからである。どんな旅でも金を持っていると、その人の金によって旅はその人のものになる。考えてみるとそれはそれで快適なものであるけれど、精神的にはちっとも面白くないものになる。旅は、自分の居場所でないのだから、そこで出会ったさまざまな予期しないいくつもの人生に、さらにまた予期しない恰好で翻弄されていくことが魅力なのである。
 さながら双六旅のように出る目や運で、今日は右へ、明日は左へ、あるときは進み、あるときは戻り、ひょっとしたら百万長者、ひょっとしたら明日をも知れぬのたれ死になどというのが旅の醍醐味なのだ。貧困だからそれが出来る。貧困だから相手によってキャッチボールのボールのようにあっちこっち好きなように撥ね飛ばされる。そのぜいたくさをこの本で味わえるのである。

……と、書いているのは、椎名誠さん。『日焼け読書の旅カバン』本の雑誌社、2001年。「この一節を読んで」という一節とは、「若いころにどこか地方に行って、そこで出会ったおんなの人と結婚するとかなんとかいって、そうはならなかったという話である」。これは、つげ義春さんの『貧困旅行記』にある「蒸発旅日記」のこと。

これは旅の話だが、金のない人生ってのも、こういうものさ。金によって人生は、その人のものになる。しかし、それが、快適でしあわせであるかどうかはわからないし、「精神的にはちっとも面白くないもの」であることも少なくないだろう。それに、「貧困だから相手によってキャッチボールのボールのようにあっちこっち好きなように撥ね飛ばされる」明日をも知れぬ人生の醍醐味を感じながら生きるってえのも、こいつは、簡単じゃねえな。でも、おれもそうだが、ガキのころから、双六旅のような人生のひとは、けっこういるんじゃないだろうか。なにしろ貧乏人は、多いからなあ。

それはともかく、おれがなんで2001年発行の『日焼け読書の旅カバン』を持っているかというと、この本の、「嬉しくてもどかしい「こだわり本」」で、椎名さんが『汁かけめし快食學』の元の本である『ぶっかけめしの悦楽』と『大衆食堂の研究』についてふれているからだ。

ま、人生は旅、人生はぶっかけめしと大衆食、というわけさ。あと、酒とね。あと、バラも? うふふふ

そういや、2001年というと、今回の衆議院選挙で、1億327万3872人の有権者のうち、自民2588万票公明898万票が支持した「郵政民営化法案」、「小泉改革」という名のアメリカの「2001年規制改革要望書」つまり正式には、「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書」は、2001年10月14日付だな。

日本は「貧困だから相手によってキャッチボールのボールのようにあっちこっち好きなように撥ね飛ばされる」のだろうか。しかし、でも、日本の貧乏人は、貧乏人である自覚はあまりないようだ。そんなに豊かな貧乏人なのだろうか?アメリカのエスタブリッシュの仲間になった気分で、アメリカがつきつけた改革要望書にバンザーイ、だ。意識が高いというのか、カンチガイがひどいのか。やれやれ。ま、でも、それは、有権者の約3割ていどだからな。ついでだから、その「改革要望書」を、もう一度見直して、アメリカ隷属国民としてのカクゴを決めておこう。

アメリカ大使館→政策関連文書→過去の文書→規制改革→「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書」
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-jp0025.html

そうか、そうだ。この「・ 郵便金融機関(郵貯ならびに簡保): 郵便金融機関が、国内信託の枠組みを通じて、投資顧問会社サービスを利用できるよう柔軟性を拡大する。郵便金融機関に対する新たな金融サービス事業案はすべて、導入前に完全にパブリック・コメントと検討の対象にすることで、民間部門によるサービス提供を促進し、その透明性も向上させる。 」とか「・ 郵便金融機関: 郵便事業の公社化を、透明性を持ち、かつ郵便金融機関の取扱商品の拡大を抑制する方向で行う。また、民間の同業者に適用されているのと同一の規制基準が郵便金融機関にも適用されることを確保する。」が、「小泉改革」と称するもので「郵政民営化」にバケたのだなあ。

これより前の2001年6月30日付「成長のための日米経済パートナーシップ」の日本語訳はなくなっているな。英語、わからん。そこでも、郵貯と簡保にふれていたと思うが。ま、いいか。

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コメント

これはまあ、その具体的なことに、びっくりじゃないでしょうか。「要望」だから「干渉」にはならないということでしょうか。日本国内では、なにも問題になりません。

「民族主義者」は一握りで、しかも感情的すぎるし。エリートたちは、競って「勝ち組」に馳せ参じているし。

たぶん、アメリカも、首をかしげているのじゃないでしょうかね。こんな国は、めったにないでしょうから。なにしろ、あのメキシコだって、イラク派兵を拒否するぐらいなのに。

ま、こんな調子の日本でゴロゴロ生きているわけですが、ドイツも、いよいよ投票ですね。

投稿: エンテツ | 2005/09/14 17:32

在日米国大使殿!拝見しました。

「日本政府への米国政府の年次改革要望書」

いや事細かにありますね。二十年以上前は、逐一通産省が協議していた筈ですが、今や関税どころか「改革要望」としての総合マネージメントですね。何処かで何かが大きく変わったのか?チェックしていくだけで行政も終わりそうですから、霞ヶ関は頭もアイデアも何も必要無いですね。民族主義者の言い分が分かります。

米国の統治方法として、対中南米などとも較べていくと面白いかもしれません。

米国州のほうが遥かに独自性があるような。中国はいづれこのような要望書を提出するようにしたいのでしょうね。驚きました。

投稿: pfaelzerwein | 2005/09/14 07:40

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