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2005/10/21

「日本型」って、なんじゃらほい

17日の「欧米型の食生活って、なんじゃらほい」に関連する。「欧米型」が意識されるについては、「日本型」がある。「欧米型」と「日本型」は、ほぼ対立関係や競合関係で意識され、かつ「日本型」が優れているという論理だ。

これは、食に限ったことではなく、ついこのあいだの平成バブル景気のころまでは、「日本型経営」の優秀さが高らかにいわれ、その中心には年功序列と終身雇用が支える「匠」の技術があった。これで日本は世界一、ジャパンアズナンバーワンなーんておだてられよろこび、永遠に世界のナンバー1世界を制覇する日本と思っていた財界人もいたはずだ。しかし、どうやら敗北のち宗旨がえしたらしく、怒涛のごとく先を争って「実力主義」「能力主義」だ。この変わり身のはやさこそ、日本人の身上か。

とにかく、「日本型」というと、ほかの国にはない、純粋な日本の伝統的な型であり、これは世界で最も優秀でなければならない。そういう考えが根底にある。いま、世界が注目していると一部でいわれている「日本型」食事の「型」が、純粋に日本型かどうかの検討は、いまここでしない。だいたい、そういうことを言っている人たちのあいだでも、自分たちの都合のよい解釈ばかりしていて、たとえば、肉が含まれている場合とゼッタイ含まれてならないとする場合など、バラバラである。

が、しかし、なぜか、「純粋」な日本型があり、それは世界一優秀でなければならないという意識というのか思想というのか根性というのか、そういうものは共通する。

そして、であるがゆえに、カレーライスは、どうしても伝来でなければならず、これは優秀な日本民族の和魂洋才の成果なのだと言いながら、やっぱり本場は元祖インドなのよねと崇拝する(うまいからヨシとするだけじゃなく、本場、元祖として崇拝する)、ゆがんだ日本の精神がある。カレーライスが汁かけめし? 冗談でしょう、元祖はゼッタイにインドです、とかね。そのように、「日本型」はバランスする。変わり身のはやさは、現実に対する思考の柔軟性ではなく、カタイ頑迷な日本型に固執するゆえの、あるいはそれゆえに余裕のない、バランスのとりかたなのだ。

ここで一歩つっこんで考えると、そこには日本という「国」と「型」について、なにかある。そのなにかについて、いろいろな言及があるが、「文学界」05年5月号での内田樹さんの「私家版・ユダヤ文化論 第五回日本人とユダヤ人(2)」は、「純粋」のことにふれていてオモシロイ。「純良」という言葉をつかっているが。

「『シオンの賢者の議定書』と日本人」について述べたあとの、内田さんのまとめ。「これら一連の現象に通底しているのは、夾雑物なき純良な国民国家のうちに国民が統合されていることが「国家の自然」であるという日本人の願望(あるいは妄想)である。そのような単一体として国民国家を想定する人々は、国民国家が複数の流動的要素がたまたまテンポラリーに形成している過渡的な「淀み」のようなものであり、いずれ時が来れば、生成した時と同じように解離してゆくものだという時間的な流れの中で政治過程を理解しようとしない。国民国家というものはソリッドで「万世一系」の単体でなければならないという前提の妄想こそが、入力と出力がペニー硬貨とガムのように対応する「閉鎖系」を要請する。」

ペニー硬貨を投入するとガムが出る自動販売機のメカニズムは、ペニー硬貨を投入しないとガムを得られないし、ガム以外のものは得られない。つまり日本人がカレーライスを手にしたのは、必ずや外からカレーライスの伝来があったにちがいないという、日本料理に関する閉鎖系の思考がそれだ。そこにあるのは、日本人は純粋な日本料理しかつくってこなかったし、それ以外はよそからの伝来でなければならないという機械的な硬直した思考だ。それは、まさにソリッドな「日本型」なのだろう。

最後に、内田さんは、こう結ぶ。「時代が下がるにつれて日本人はだんだんとものの考え方のつくりがシンプルでチープになったということである。/なんだか切ない話だけど、まあ、そういうことです。」

インドを元祖とするカレーライス伝来説など、シンプルでチープな典型みたいだ。

他者理解どころか自分の歴史を理解するのもムズカシイ。

ま、どうでもよいことだけど。

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コメント

どーも、いろいろ気にとめていただきありがとうございます。卵かけごはんぐらいフツウのものになると、たくさんのひとが言及していますから、「選別」もむずかしいでしょうし、また「無名性」こそふさわしいのかも知れません。ま、当方は、この調子で、ボチボチグズグズ泥酔状態でまいります。これからもよろしく~

投稿: エンテツ | 2005/10/21 23:12

ちょっと別の話なのですが、
以前の記事にあった卵かけごはんの事、
ZAKZAK社会ニュースに、シンポジウムで
語ろう、で出ておりました。しかし折角の
紹介の記事で認知度アップかなと思えば、
記者さんが気がきかないのか、こちらの
当該記事とリンク集など参照で提示も
されてなく残念でした。全国の多くの人に
知ってもらう機会なのに、ちょっと不親切
でもったいない気がしました。

投稿: ボン 大塚 | 2005/10/21 16:58

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