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2006/05/31

なんだか悲しい切ない「福井が元祖」

asahi.comにこんな記事があった。

コシヒカリは「福井が元祖」 県が六本木ヒルズでPRへ
2006年05月30日19時17分

 今年はコシヒカリ誕生50周年。発祥の地・福井県は森ビル(東京都港区)と共同で来月3日に、六本木ヒルズの屋上庭園で県産コシヒカリの田植え体験を開く。

 ヒルズの住人や通勤者らを対象に募集し、133人が参加する。コシヒカリと言えば新潟のイメージが強いが、56年に福井県農業試験場で誕生したのが始まり。

 福井は全国2位の「長寿県」。コシヒカリ「元祖」と、健康志向の産地をアピールし消費拡大を狙う。ヒルズ族の支持を得て「時代の先端に躍り出たい」と担当者。

……以上、記事全文。

おれの故郷にも「コシヒカリ発祥の地」というのがあって、ザ大衆食のサイトの「稲刈り寸前 魚沼コシヒカリ風景」からリンクしている「コシヒカリ共和国」なるサイトもある。そこに書いてあるところによると、その地でのコシヒカリの誕生は昭和29年つまり1954年だ。しかも農業試験場ではなく、農家の田んぼでの実栽培。

いまさら、どちらが先であるかは興味ないが、いまごろウチが元祖だといって、しかも「ヒルズ族の支持を得て「時代の先端に躍り出たい」」という。なんだかスゴイ精神の貧困を見るようで、悲しく切ない。

「コシヒカリと言えば新潟のイメージが強いが、56年に福井県農業試験場で誕生したのが始まり」と、たぶん福井県の担当者の説明をそのまま記事にしたらしい、朝日新聞のアタマの中も、しかもそれが「六本木ヒルズの屋上庭園で県産コシヒカリの田植え体験」ということでなかったら、たぶん記事にならなかったであろうということも合わせて考えると、これまたスゴイ精神の貧困を見るようで、悲しく切ない。

「米離れ」や農業の衰退の原因は、むしろ、こういう悲しく切ない精神に原因がありはしないかと思いたくなる。いまさら「ウチが元祖」だといえるところのコシヒカリや魚沼コシヒカリの人気は、一朝一夕にできたのではないことは、「コシヒカリ共和国」の記事をみればわかるだろう。そういう地道な努力が、たかだか朝日新聞と「ヒルズ族の支持」で無に帰すのであれば、誰が農業を真面目にやるだろうか。それは生産者自身が一番よくわかっていることではないのか。「元祖争い」をやるのは好き勝手だが、その底にあるココロが、とても貧しく愚かしく思える。

もっともこのイベントは福井県の役人と、たぶんどこかの広告屋あたりが考え、そして朝日新聞がのった構造のようだから、愚かしい群れはそのへんなのかも知れない。

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コメント

どうも、ありがとうございます。
福井が「名づけ親」ってことなんでしょうかね。
どのみち貧しいセコイ話の記事ですよね。

投稿: エンテツ | 2006/06/12 08:31

突然すみません。
通りすがって、ちょっと気になったのでコメントさせていただきます。
福井が元祖の定義ですが、1956年に福井県農業試験場が交配を重ね栽培実験を重ねて、「コシヒカリ」として品種登録したのだそうです。
朝日の擁護なんてしたくないのですが、一応そういうことらしいです・

投稿: とおりすがり | 2006/06/11 23:36

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