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2006/06/21

『ナニワ金融道』青木雄二さんのオコトバですが

青木雄二『ナニワ金融道』(講談社)の8巻、カバーの折り返しに、作者のこんなオコトバがある。

僕が生まれた頃、日本は貧しい国でした。父は月給取りで農地を持たず、米を手に入れるのに苦労したそうです。偉そうにふんぞり返る農家の人に何度も頭を下げながら、衣料品をほんのわずかの米と交換したそうです。平均すると現在、農家はサラリーマン世帯に比べ、所得は3割以上も 高く、貯蓄額は約1000万円も多いのですが、しかも国際的な米相場の数倍もの値段でサラリーマンに米を押しつけ、一説によれば農家は納税額の数十倍もの補助金を得ています。あなたも農家になりたいですか? ところが新たに農業を始めるには約千㎡以上の農地がなければダメで、しかし農地は農民でなければ買えません。法律を変える?しかし農民一人がサラリーマン3人分の投票権を持つ国会で、いったい何ができるでしょう。あろうことか裁判所はこれぞ平等と言っています。青木雄二

本書は93年7月第一刷の98年3月第十九刷版だ。記憶だが、90年代前半、このような論調がとくに「流行」したように思う。それは新農業基本法の制定を背景にした、政府やマスコミのご都合主義の「ヤル気のある農家だけ育成」のキャンペーンにも関係するだろう。

そんなに的外れな内容ではないと思うが、一つ大きなモンダイが欠落している。大雑把な書き方をすれば、その農家の貯蓄や、農業や農家に対する補助金は、けっきょく東京に本社をおく大企業の支配下にあったことだ。そもそも農林中金自体が、そのかき集め役をしていた。その金は銀行に渡りバブルや金融支配の資金源にもなった。また都税の半分を占めるといわれていた法人税の資金源にもなった。ようするに大部分は、巧みなカラクリで中央である東京に回収あるいは利用されていた。そのカラクリを一票の地域格差で有利の立場にある農民票が変えようとしなかったのは確かかも知れない。

とにかく、農業の衰退、食糧自給率の低下は、消費者の農家や農業に対する「感謝」が足りないからではない。そして「感謝」の気持ちが湧かない事態も少なからずあったということになるか。ようするにあらゆる資源政策が、国家の呈をなしていないほど場当たり的で、その結果、国民のあいだに、しわよせと感情的なもつれが広がった。それをまた政治が利用する。これって、悪循環だね。

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