ようするにオモシロイってことだな
しかし、その続きだが、「都市を紡ぐ」のセッションは、なかなかおもしろかったなあ。初田さんと原口さんの発表の内容は、26日に紹介した要旨のとおりだけど、とにかく画像をばんばんつかっての報告なので、すごいおもしろかった。
初田さんは、新橋駅前の闇市跡をビル化した中を、歩くようにして撮影した画像だ。それを見ていると、ふだん歩いているときには見過ごしていたことに気がつくのだなあ。原口さんは、築港の北と南のギャップを、そして立ち飲み屋に集う人たちの様子をビデオクリップで見せてくれた。おれも大衆食堂や、そのまわりの街の様子などを画像をつかって。
で、この前半は、「闇市と戦後の記憶 大衆の痕跡」というタイトルで、ようするに、いまとなってはオヤジの空間、あるいはオヤジが若者時代の空間ですな。それがばんばん映像で流れたあと、後半は、「「若者の街」の形成とその変容」ってことで、一気に原宿の画像。雑誌からのものも含め、原宿の歩行者天国がなくなった93年ごろだったかな?を境に、「裏原宿」がトレンドになっていく様子だ。この前半と後半のギャップがスゴイね。
けっきょくまあ、原宿というのは、ファッションのトレンドリーダーになりうる「場所の力」を持っているってことかな。そして、だから、どこも原宿のようになる必要はないってこと。どこかの真似をするのではなく、自分たちの空間の力を認識する作業が必要だってことだな。それはまた、その空間に、どんな時間つまり歴史が眠っているかを掘り起こす作業であるわけだ。
ま、とにかく、ワレワレは大きな構造物や有名人の言葉で都市を語るのではなく、普通の人たちの空間に眠っている記憶を掘り起こして語り、「場所の力」を蘇らせようとしたわけだが、これは画像の力によって、より容易だったし、フィールドサーヴェイも生きてくる、ってかんじがしたね。
あと、関根さんや会場から発言したご老人のように、そこに住んで暮している人の話というのは、これはもう画像なしでも具体的で、とても貴重だった。闇市のトタンの屋根の上で遊ぶ、半ズボンとランニングシャツの子ども達の様子まで目に浮かんだ。
そして、大衆食堂ってのは、やっぱ、「場所の力」を蘇らせるために、かなり有効だってことだ。
ま、それで、おれの発表は、25日に要旨を紹介したけど、そのときは「労働し生活し憩う」ってところに比重をかけていて、そうするつもりだったが、どうも少し理屈っぽくて、自分でもおもしろくない、ってことで報告原稿をつくっているうちに「愛嬌のある場」としての大衆食堂という感じになってしまった。でははは。
ようするに、おれだけじゃなく、報告者は、自分たちがおもしろいと思った空間を、おもしろいと思った見方で見せた。それがよかったね。そういうことじゃないと「場所の力」は蘇らないし「都市を紡ぐ」ことにならないんじゃないのかな。なーんて思ったりしたわけだ。
とにかくワレワレの報告は、このまま眠らせるのはモッタイナイほど、とくに画像資料が充実していて、おもしろいものだった。と、酔って思いついたので、書きました。とさ。
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