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2006/09/20

嗜好からみたその人の性質

 さて、いろいろな嗜好が、ある程度その人の状態をみせてくれることは以上でおわかりいただけたと思う。しかし、これは、いつまでも続くものではない。その人が食べ方を変えれば、当然であるが、性格も変わってくる。
 織田信長が、のちに薄味でゆっくり食べるようになると大将らしくなったのをみても、嗜好は変わらないということではない。実は、嗜好は、環境や心構えでずいぶん変動するものなのである。ただ、そこにはある程度意志の力が必要であることには違いないが。

 次に、嗜好性と、その人の性格の傾向を今まで述べた分も含めてまとめておこう。
 塩味の強い物の好きな人はよく怒る。つまり少しのことで激しく腹をたてる。
 味もみないで調味料を料理にかける人は、他人が信じられない。あるいは思いやりがない。
 熱いもの好きは気短かである。反対に猫舌はのんびりやか、じっくり型である。
 早めしでないと気がすまない人はよく気が変わる。また自分中心的である。自分の考えたことはすべてよいが他人のことは気に入らない。
 野菜嫌いは情緒不安定である。
 薄味好きの人は物事を考える人、策略のきく人である。
 めん類の好きな人、特に、汁のあるめん類やそばのように、たれをつけてするする食べるのが好きな人は気短かか、せかせかしている。
 肉好きは強気で自分本位。
 お菓子など甘い物好きは、仕事を一日のばしにする傾向がある。
 料理の味の甘み好きは発想の貧困、甘えん坊だ。
 砂糖をべろべろなめるのは、欲求不満が渦巻いている。試験の前などにこれをする学生がよくいる。
 ひき肉しか食べない、つまり硬い肉の食べられない人は甘えん坊で根気がない。
 卵焼きの好きな人も同様だし、骨のある魚が嫌いな人も甘えん坊である。
 朝食ぬきがよいと思っている人は、仕事がしめくくれない。
 料理を隠すようにして食べる人は、嘘つきの傾向がある。
 料理の最後に必ずお茶漬を食べないとおさまらない人は、物事を一日のばしにする。
 やたらとお茶を飲む人は欲求不満であり、また他人の持つものが気になる。
 タンパク質の不足の人はスタミナがない、また根気が続かない。
 ピタミソA不足の人は、細かい仕事ができないし根気がない。
 ビタミンB1の足りない人は忘れっぽい、イライラしている、他人のことが気になる。
 ビタミンB2不足の人は、物事をやる気がない、セックスが弱い。


……長い引用だが。以上は、河野友美さんの『たべもの嗜好学入門』(中公文庫1988年、もとの単行本は毎日新聞社1978年)の最初の章「食嗜好と人間の生活」のまとめ的な「嗜好からみたその人の性質」だ。

ここだけ読むと、ぐへっ、ア然、ボー然だ。そして、たぶん、ここだけ読んで、そうだそうだと引用したり、もの知り顔に人に話したりということが、けっこうあるのではないかと思う。「神話」や「伝説」は、そのようにして生まれるようだが、食の話には、そのテのことが多い。

ま、こういう話は、けっこう読者が興味を持つ。だから著者は、「たべもの嗜好学」に興味を持ってもらおうと、こういう話を最初にしたらしい。

最後まで読むと、「文庫のあとがき」に、こう書いている。以下引用……

 本書の最初には、栄養的な偏りが、結果的にその人自身の表面的な性格に見間違えることに触れている。しかし、実際は、その人がよい栄養状態なら、もっとその人本来のよい性格が出てくるはずだ。そこで、栄養の偏りをなくするには、どうすれぽよいかということになる。それは、結局上手に食べるしか方法がない。といっても、心理的な要素の多い食事で、うまく食べうといっても、それは無理である。そこには、食嗜好学的な配慮がどうしても必要である。となると、たべものの嗜好は、どのような構造であるのか、その点を追究していかねばならない。
 このことは、食事はあくまでも人間がおいしく食べることであって、栄養が満足出来ていればそれでよいというものでは決してないのだ。もし、人間であるということを忘れたら、それは、食事ではなく、単に食べるだけのこと、あるいは、食事ではなく、飼育するための飼料的存在になってしまうことになる。これでは、生きる喜びも大幅に減少するという事だ。

……引用おわり

嗜好は、栄養状況だけではなく、色彩、香り、気候風土、ムード、ストレス、イメージ、などいろいろなことに左右され、それがまた人の精神状態や性格などいろいろなことに関係する、「食嗜好学的な配慮がどうしても必要である」ということを述べているのだけど。でも、最初の部分だけ読んで信じやすいよなあ。

おれなんか、ヨシッ、ビタミンB2を食べればよいんだな!と思ったもんな。やれやれ。

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