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2006/11/05

板橋区大山「かどや食堂」そして街と料理

きのうは東武東上線の大山駅周辺を歩いた。大山駅南口近くには『大衆食堂の研究』に掲載した「かどや食堂」があって、10数年前ぐらいには何度か入ったのだが、いつごろだろうか工事中とカンチガイして、あそこは建て替えたと思い込んでしまっていた。建て替えのあとはどうなったかと思って行ったら、前のままだった。ひさしぶりに入って日替わり定食を食べた。店もめしもかわりなかったが店の人のジジババ度は深まっていた。

大山駅のかどや食堂がある南側と北側では、飲食店の様子がずいぶんちがう。北側は踏み切りそばから、つぼ八、かまどま、はなの舞、庄屋、えん屋……といった居酒屋チェーン店が軒をならべるように密集している。一方、南側は、ホッピーが似合う古いもつやき屋などが軒を連ねる。これだけ狭い地域にこれだけ密集していると、気づかなかったことが見えてくる。

おととい行った船堀でも、そうだった。徳のある松江1丁目から船堀通りを船堀駅へ向って歩くわずか二キロのあいだに、飲食店の景色がどんどん変わる。つまり、生業の喫茶店や食堂や酒場のある街から、ファミレスのように産業化された飲食店しかないニュータウンへと、それは、ちょうど、昭和30年代から高度経済成長期を経過しニュータウンとニューファミリーが生まれた流れなのだ。それと同じ歴史がくりかえされ、しかも混在するのではなく、一本の通りに年表のように並んでいる。

こういうところでは、「街と料理」の関係をテーマに見ると、とてもおもしろいことに気づいた。いろいろ考えることが多かった。最近は、どちらかというと資料ばかり見ていたが、やはり本が語ることはホンのわずかであって、たった1キロから2キロばかりの一筋の通りが語ることは、すごく多く自由で、得るところは無限に思われた。

そもそも書物ギョーカイには、偉そうなものいいの評論家やエセ評論家が盾にする「文芸」といった文章の型(芸)などがあるが、そんなものは街では一片の価値もない。ま、街が言語を生むという自覚が活字文化にあれば別だが、そうした自覚はあまり見られず、おれは書物をたくさん読んでいるゾという連中が偉そうにしている。かくて文芸は型にはまることが目的になり街の精神から離れ衰退し、その文芸に支配された料理も街からはなれ型にはまり活力を失う。

街にも型はないことはないが、紙の上に活字で固定化されているのとはちがい、生きていて、型にはめようとする動きも型にはまるまいとする動きも呼吸している。街で呼吸している料理だけが生きながらえるのだ。このかんじにふれるのは、本では無理だ。路上は素晴しい!

ま、しかし、2日続けて歩き回るとくたびれる。酒も飲んで帰ってくるのでクタクタデレデレ。が、おもしろくなってきたので、今日もまたやるか。

かどや食堂のカレーライスは400円で、味噌汁付きだ。

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コメント

コメント、ありがとうございます。かどや食堂、いいですね。近いうちに、と思っているのですが、ザ大衆食のサイトにレポートを載せるツモリです。それにしても、よくご存知で。

80年代後半、千駄ヶ谷に住んでいたとき、原宿の食堂というかめし屋、二軒ほど利用していましたが、名前おぼえていません。一軒は、明治通りの神宮前交差点すぐの渋谷寄りにあった、木造の古い小さな店です。もう一軒は、その裏側のほうになるのかな?たしか隣が米屋さんで、その米屋さんがやっていたと思われます。あのころは原宿も表通りに木造の二階家が残っていました。最近は原宿には近寄ることもないですが、どうなっているのか。

これからもどうかよろしくお願い致します。

投稿: エンテツ | 2006/11/08 14:25

いつも楽しくブログを見せていただいております。いつ大山が出るか楽しみにしていました。「かどや食堂」最高です。大山には最近まで5軒の大衆食堂がありました(わたしの知っているかぎりですが・・・)。一軒店を閉めてしまい寂しいかぎりです。わたしは大山に仕事に来ているのであまり利用することはありませんが、「かどや食堂」は時々利用します。30年前、自分が大学時代に利用した大衆食堂の雰囲気が残っていて懐かしくなります。自分は原宿にあった「森田」「明治屋」と2軒の大衆食堂がありました。あの原宿にですよ。ノスタルジックだけで論じてはいけないかもしれませんが、懐かしくてうれしい思い出です。大衆食堂に行けるのもバイト代が入った時だけだったな・・・。ありがとうございました。

投稿: 中年おやじ | 2006/11/07 21:46

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