ひさしぶりのアナログカメラ
デジカメの調子が悪いので、きのうからアナログカメラをつかっている。ニコマートEL。
おれは1980年ごろ以前から持っているものというと、このカメラと、当ブログにも書いたことがあるピッケル、そしてついに、このシーズンには使えなくなったので捨てたダウンパーカーの三つしかない。
簡単にいってしまえば、最初の離婚のとき家からもって出たのはこれだけだ。写真の一枚にいたるまでない。もともと10歳のころと20歳のころ二度家をなくし、かなりのものを失っているので、モノに対する執着心が、あまりないようだ。
ダウンパーカーは、中国のチョモランマ登山隊がつかい有名になった「天山」ブランド。これは、たしか1970年代後半に買ったのだが、当時としては5万円ぐらいした「高級品」だった。しかし、良質のダウンがふんだんに入っていて保温性能はよかった。登山のとき以外もこれを着つづけ、かなり乱暴につかったが丈夫で長持ちした。
ニコマートELは1970年代前半かなかごろに買った。
おれが、初めてカメラを手にして写真を撮ったのは、小学校4年の春の遠足ときだ。オヤジが戦前からつかっていた、折りたたみ式の蛇腹のカメラ。レンズはドイツ製の名前を忘れた。レンズを回転させる、いわゆる前玉回転で、被写体との距離を目測ではかりピントを決める、露出も「目測」だ。
ということは、小学校4年の春の遠足のときは、まだオヤジとオフクロは離婚してなかったことになるな。そのあとオヤジが家を出て行き、小学5年生の遠足のときは、カメラを持っていった記憶がなく、6年生の修学旅行のときは持って行ったから、その間が「離婚別居母子家庭状態」だったことになるか。
中学のとき、リコーの二眼レフを買ってもらった。そして、現像と焼付け引き伸ばしも自分でやるようになった。高校卒業するまで、すべて自分でやった。
高校に入り山岳部をやりだすと、二眼レフはボディが大きく持ち歩きに不便だった。そのころちょうど、35ミリカメラが全盛になった。コニカⅡB-mを買ってもらった。このカメラは、よかった。硬めというかコントラストが強めのレンズのクセも好きだった。気に入って、このあと1970年前後にキャノンの一眼レフを買うのだが、それでも山へ行くときは、これをつかった。山の遠景や、山肌の明暗をとらえるのによかったし、小型で携帯に便利だった。つかいつぶすまでつかった。
キャノンは、型番を忘れたが露出計内臓だったのではないかとおもう。ニコンの権威に抵抗してキャノンにしたのだが、あまり好きになれなかった。そのせいもあるのか、どこの山だったかな、谷川岳の土合側の沢だったとおもうが、とにかく沢登りの休憩の最中に、ちょいと足元において何かをした瞬間に足でカメラをけってしまい、キャノンはそのまま岩肌をすべりナメ滝にのまれてしまった。
で、このニコマートになった。ELは、フィルムの巻上げはもちろん、ほとんどマニュアル操作なのだが、いわゆる焦点測光式の露出計内臓で、シャッター速度優先と絞り優先をつかいわけできるのが特徴でよい。
これはシゴトでも活躍した。交換レンズも43-86ズームと105望遠をもっていたが、家を出るときは置いてきて標準だけ。
10年ぐらい前に、中のフェルトやスポンジの部分がいたんだので、オーバーホールに出した。すっかり美しく生まれ変わった。ザ大衆食のサイトをはじめたころは、このカメラで撮影し、DPEサービスに出し、紙焼をスキャナで読み込んで制作していた。
きのうひさしぶりつかってみたら、自分で焦点をあわせなくてはいけないからキンチョウする。それにデジカメのようにちゃんと写っているかどうか確認できないから不安がのこる。しかし、ファインダーから見る光景、シャッターを切るときの指にかかる圧力、フォーカルプレーンシャッターが切れるときの「パシャッ」という音が、なんとも快感だ。
そんなわけで、きのう撮影した大衆食堂の写真は、しばらくできあがらないのだ。そして、ひさしぶりに重いカメラをぶらさげて歩いたせいか、肩がこっている。
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コメント
アナログカメラ、良いですね!
このごろの仕事ではキャノンのEOS1を使って、オートフォーカスでバシバシと撮影しておりますが、それでもフィルムで撮るので、デジカメで撮影するよりも、緊張感は残っています。
旅行などにはよくニコンのFEなどを持って行って、パシャッときもちよく撮っておりました。デジカメも便利でよいですが、時々、あのシャッター幕がバシャッと降りる音など懐かしくなります。
投稿: まりりん | 2007/02/28 11:21