「意地酒」に関するマジメな調べ
2007/03/16「「意地酒」は悪いジョーダンだったか」で、あれはジョーダンと書いたが、なおかつ「まじめに解説をつくってしまいました」「もったいないので一応送ります」とメールをちょうだいした。もったいないので、前の方のものと一緒に掲載する。ほんとうは「意地酒と自棄酒に関する考察」というタイトルで書きたいのだが、このうえさらにそれを書くと長くなるので、それは後日ということに。
「意地」と「自棄」はビミョウにちがうような気がする。すくなくとも、おれは「意地酒」と「自棄酒」は、つかいわけているツモリだ。自棄酒は、あまり飲んだ記憶がない。そんなものつかいわけてどうする、泥酔してしまえば似たようなものではないかと思われるかも知れない。
しかしおれは、意地酒のばあい虚しさが残らない。無理はしたくないし意地を張るのは嫌いだし、とくに、そんなことで人間関係を壊すのはいやだから、他者に意地を張られても、意地を張りかえすようなことはしたくない。自分に落ち度があったら、意地を張らずに、すぐ謝る。しかし落ち度に対する許容の尺度は、ひとそれぞれだから、謝ることもできずに門を閉ざされることもある。その閉ざされた門の前で静々と酒をやりながら、もしかしたら永久に開かないかもしれない門が開いてくれるのを待つほかないときもある。他者に対して意地を張るのではなく、さあおれを酔いつぶしてみろと、酒に対して意地をはるのだ。とても穏やかな酒だ。静々と大量に飲む。そして、べつに誰かに意地を張られなくても、ヨシッきょうは意地になって飲んでやろうという気分になるときもあるのだな。大量に飲むことを覚悟の酒だ。
自棄酒のばあいは、閉ざされた門に向かって悪態ついたりドカドカ蹴飛ばしたりしながら酒をあおる。荒んだ気分だろう。思い通りにならないからと自棄をおこして酒を飲んでも楽しく酔えないし虚しさが残るだけだ。酒代がモッタイナイ。精神的に、自棄酒は不健康、意地酒は健康的、というのがおれの持論なのだ。
アレッ、「意地酒と自棄酒に関する考察」になってしまったか。リクツをこねまわしているが、しょせん、ただ意地汚く飲むだけ。
きょうのところは、これぐらいで、あとは、お二人のマジメな調べを読んでオベンキョウしましょう。B子さんは「新明解的解説」までつけてくれた。これ、仕事中にやったんじゃないの?
■B子さんから
「意地酒」ですが、実は、まじめに解説をつくってしまいました。
勉強の結果、「無理」という言葉を使わないといけないというのはわかりました。
もったいないので一応送ります。
●広辞苑には載っていました
いじ・ざけ[意地酒]意地になって無理に飲む酒。
●新明解的解説
いじざけ[意地酒]イヂ― 日常の社会的生活への支障や、将来の肉体的・精神的な異状を顧みない状態で無理に飲む酒。「長時間・(ひとりで・まれに差しで)―をする:―をやめない」
(参考)
広辞苑の「意地」
い・じ[意地]・ヂ①略②自分の思うことを通そうとする心。「―を張る」「―を通す」
の・む[飲む・呑む]【他五】①口に入れて噛まずに食道の方に送り込む。喉に流し込む。特に、酒を飲む。万二〇「我妻はいたく恋ひらし―・む見ずに影(かご)さへ見えて世に忘られず」。「―・む相手を探す」
新明解の「意地」
一度やろうと思った事を、無理にでもやり通そうとする気持。「―を通す〔=その人なりの信念を貫く〕・余り―〔=我意〕を張ると、人にきらわれる・―でも〔=どんな無理を押してでも〕」
やけざけ①②[やけ酒] やけになって飲む酒。「―をあおる」〔普通、「《自棄》酒」と書く〕
■A男さんから
私の持っている電子辞書で見つけました【意地酒】の
解説お送りします。
広辞苑より
いじ―ざけ【意地酒】
①心が酒に酔ったような様、ためいき酒、心根酒とも言う。
「―になっちゃった♪ウフッ」「―が悪いのよぉ~」
②自分の思うことを通すための覚悟の酒。
「チャンポンせず―で通しまっせ、怒るでぇしかし!」
③欲に負けて飲む酒。
「―が汚にゃーでかんわ」④連歌論で、俳句上の酔った心のは
たらき。
連理秘抄「骨酒{こつざけ)を飲む人は、
―により人柄の出るに面白き也」
【慣】―にかかりまんねん
【慣】―になるだべ
【慣】―にも、我酒(がざけ)にも
※ちなみに小笠原流の意地酒の作法は、まず、しこを踏みそんきょの構えをしたまま、片肌を脱いで角打ちの様に枡の角四隅に塩を盛り、右手人差し指に酒をつけ天に向かって酒のついた指をはじき、それを、自分の前後と、最期に地べたに向かいやった後、口で枡を咥えたまま一気に飲み干したあと、遠吠えをするのを作法とするそうです。裏千家ではお茶席の終わった後の二次会へ行くとき「意地酒せんけ?」と誘い合うそうです。
広辞苑より(これは、本当にありました)
いじーざけ【意地酒】
意地になって無理に飲む酒。
まんまやんけ!と、突っ込みたくなりますが
つまり、これ以上説明しようがないし、
意地を張ってまで説明するのも酒の前では
野暮だったのかめんどくさいだけだったのか?
百聞は一献にしかず、と言うことですかね。
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