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2007/05/01

仕事が好きか。生きているか。…『雲のうえ』おとなの社会科見学

いやはや、コーフンして、いろいろ考えすぎて、なにから書いてよいかわからない。きのうチョイと書いた北九州市の『雲のうえ』を読んでのことだ。

とりあえず、あらためて牧野伊三夫さんって、何年生まれだったのかなと『四月と十月』を見た。1964年生まれ、ということは、43歳か。

本誌は、牧野さん一人の力ではなく、おなじ編集委員会の有山達也さんや大谷道子さんをはじめ、多くの人たちの関わりですばらしいものになっているとおもう。しかし、それでも、今号の特集「おとなの社会科見学 君は、工場を見たか」を読むと、牧野さんの力を感じる。

この特集は、牧野さんが書いているのだ。そして、けっきょく、創刊号の「角打ち」、2号の「市場」の特集は、今号の特集につながり包括される。あぶらがのったイイ仕事をしていますねえ。

その扉の文章を転載しよう。……

空を見よ。煙突からたなびく煙。
地を見渡せ。はるかに聳(そび)える鋼鉄の城。
大きなものも小さなものも、硬いものもやわらかいものも、
目に見えるものも形のないものも、
皆すべて人の手で作られ、変わらずにそうあるのだと知る。
昔も、今も、工場こそが街のアイデンティティ。
社会科見学は子どもの特権? とんでもない。
大人になった今だからこそ訪れたい、北九州・ものづくりの現場。
仕事が好きか。生きているか。
行けば、触れれば、人生、変わるぞ。

……以上。

牧野さんは新日鐵八幡製鐵所を訪れた記事を「再訪の日。」の見出しで書く。その冒頭。「小倉に生まれ育った僕は、小学生の折、学校の社会科見学で新日鐵へ行ったことがある」。そして今回の取材で、「2月半ば、30数年ぶりに新日鐵へ行くことになった」

「あのころ手にした教科書には「鉄は国家なり」と書かれていた。しかしそれも、すでに歴史に一ページを飾るコピーとして知った言葉だ。製鉄所のある街で育たなかった身にとって、溶鉱炉や煙突、そこで成し遂げられた偉大な仕事は遠い世界の話で、それこそ写真や映像で断片的に知る以外の知識を持つことはなかった。ほとんどの人にとってそうだろう」

……ここで、おれは、あれっ、牧野さんて、何歳だったかなとおもった。おれは、あまり相手の社会的地位や評判もちろん年齢や職業、どんな仕事をしているか気にしない。話をしていてオモシロイかどうかだけだ。牧野さんとは何度か飲んで、それも短いあいだに泊りがけが3度ほどあったが、年齢を正確には知らなかった。あるときは50歳にもおもえたし、あるときは40歳にもおもえたし、あるときには30歳にもおもえたが、60歳や20歳ということはなかった。とにかく、牧野さんの30数年前というのは、大衆食堂が力強く成長していた時代と重なる。

特集は新日鐵に続いて、北九州市のものづくりの現場が続く。
「知らなかった。」の見出しで、安川電機、TOTO本社小倉第一工場、安田工業八幡工場。
「人が働く。」の見出しで、シャボン玉石けん、村上精機工作所、鶴元製作所。
「この街の仕事。」の見出しで、遊生織工房、山福印刷。
「未来の岸辺で。」の見出しで、ジェイ・リライツ、西日本家電リサイクル、九州工業大学エコタウン実証研究センター。

きのう牧野さんの言葉として紹介したように、「自分自身の原風景を、ただのノスタルジーとして片付けてしまわず、よみがえらせる」試みなのだ。

牧野さんは特集を、こう結ぶ。「今、大人になって多少、産業だとか地域文化、あるいは自然環境などという言葉の意味がわかるようになった。まだほんの一部であるが、今回の見学を終えてみて、この歴史ある工業都市に育まれてきたものが何であるかをはじめて知ったように思う。工場は、僕自身を映し出した。ぜひ一度ここへ来て、この街の底力に触れてほしい。」

  仕事が好きか。生きているか。
  行けば、触れれば、人生、変わるぞ。

大衆食や大衆食堂の言葉でもあるような気がする。大衆食や大衆食堂は働き生きる日々の生活のためにあったし、ある。おれたちは、まだおれたち自身の歴史を知らない。とりわけ働き生きる生活の歴史について。

そうそう、この特集の写真は、久家靖秀さんが撮っている。これがまた素晴しい。工場も生きているぞ。という感じ。

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