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2007/06/02

やっぱり、ないよりマシというのはマチガイの「食育」

最近は「食育」についてあまり書いてない。食育基本法が施行され、あきらめというか、「食育」という動きのなかで議論すればよいかなという気分にもなっていた。ようするに、「食育」はないよりマシという考えに妥協したようなアンバイだった。

だけど、それはやはり、マチガイだね。今回の緑資源問題これは巨大な「農水省利権」とか「農業利権」とか言われる一角だと思うが、言い換えれば、食を左右する利権なのだ。本来、そこに日本の食の多くの問題がある。

そもそも、食育基本法に反対するおれの主張は、「食育ナンダロアヤシゲ」に書いたように、

"「食育」を叫んでいる関係者の声を集めてみると、とりわけ農水省は食育推進班まで設け熱心なのだが、確かに食についてはいろいろ問題があるにせよ、だからといって「食育」というのは、短絡しているということなのだ。
  そもそも関係者が「食の乱れ」と騒ぎ立てる問題は、食育の欠落が原因なのか。安全性にせよ、自給率の低下にせよ、食事や料理にゆとりのない生活にせよ、ほとんどは政府と与党の政策によるものである。個別の政策で解決を図るべきことがたくさんある。消費者をダラク者あつかいして、食育でカタをつけようなんて、スジ違いではないか。"

ということだった。

農業利権のほとんどは農協利権であることは、すでに知られている。農業は農協がすべてではないけど、農協が大部分を支配してきた。そして、世間に露呈した農協や全農の事件だけでも数多く、それが生産者不信をつのらせていた。ところが、食育基本法は、そういう生産者に対して「感謝の念」を持てと説くのだ。これは、どういうことだろうか。

その前に、農協みずから、感謝されるような自主的な努力をしているのかと問いたいようなことが、たくさんある。たとえば、ここに農水省の「「農協のあり方についての研究会」報告書の概要」なるものがある。
pdf版…クリック地獄 
html版…クリック地獄 

これを読んだだけでも、「食育」以前の問題が多いことがわかるし、またよく読めば、その一つ一つに利権がからんでの綱引きが想像される。よくこんなアリサマで、ひとを「食育」するようなことをいえるものだ、自分のエリを正す方が先だろうと言いたくなる。

そもそもだよ、なぜ、農水省に「あり方」を研究してもらわなくてはならないのだ。自分のことではないか、自分のあり方は自分たちで考えるべきだろう。ま、そのへんからしてすでに、農水省と農協の癒着利権構造がみえる。

ま、とにかく、このあたりをご覧なったことのない方はご覧いただきたい。「食育」以前の個別政策で解決すべき問題がこんなにあるのだ。たとえば、「食育」が主張する「地産地消」を困難にしているのは、消費者が「洋風かぶれ」だからではなく、戦前から戦後の食糧難時代の配給流通体制を、引き継いできたからだ。それが簡単に変えられないのは、コメの流通のように、さまざまな既得利権がからんでいるからにほかならない。

農協のあり方についての研究会

農水省 審議会等情報

きょうは、簡単にしたいので、あと一つ。「食育」は、「給食利権」つまり言い方をかえれば「栄養利権」と密接だ。すでに「栄養教諭議員連盟」なーんてのまで出来ている。このことは、また後日ふれよう。

ついでに、どんな呼称の利権があるか調べてみた。ほんの一部分だが……同和利権、ニート利権、警察利権、石油利権、埋め立て利権、著作利権、電波利権、砂利利権、電通利権、ものづくり利権、沖縄利権、タミフル利権、活字利権、メディア利権、米軍利権、年金利権、牛肉利権、給食利権、食肉利権、……。

なかでも農業利権は、土木、建築、肥料、農薬、機械などに限らない広範な農業関連産業まで関わる巨大なものなのだ。その結節点に農協がいる。

もちろん、すでに当ブログで紹介しているように、こうした利権的な農業から自立して、尊敬と感謝にふさわしい農業を、コツコツやっている方もいる。

ところで、6月は「食育月間」ですよ。食育に反対する月間にするか。「食育」に対する関心やエネルギーやカネを、もっと個別の根本的な政策に向けるべきだ。みんながマツオカさんにならないように。

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コメント

どーも、ありがとうございます。こういうコメントいただけると、励みになります。なにしろいまや「食育翼賛運動」みたいなアリサマになっていますから。

河合さんのブログ、ときどき拝見しています。北海道の農協もセクハラで恥をさらすようなことでなく、尊敬され感謝されるようになってほしいものですね。『問われる食育と栄養士』は、知らなかったので、さっそく読ませてもらいます。

思いつきで書いていることが多いので、気に障るようなことを書くことがあるかも知れませんが、そんなときでも見捨てないで、お付き合いください。

投稿: エンテツ | 2007/06/03 11:34

 エンテツさん、初めまして。以前、私のブログで『現代用語の基礎知識』の「さまざまな食育」を紹介させてもらった者です。
 昨年出版した『問われる食育と栄養士』(筑波書房)を書いているとき、「食育ナンダロ」の「しゃらくせえ」発言にとても励まされました。こういうふうに考えている人もいるんだと感動さえしました。
 そして、『現代用語の基礎知識』でのシニカルな表現を読み、以来ブログ訪問をしています。ま、「かくれエンテツファン」と言ったところでしょうか。
 今日は久しぶりの「エンテツ食育時評」にうれしくなって、「かくれ」るのをやめて、コメントを書く気になりました。
 これからも舌鋒鋭いご発言、楽しみにしています。

投稿: 河合知子 | 2007/06/03 09:25

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