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2007/09/27

「てれんぱれん」の「まんなおし」

Mannaosi_kokura『文學界』7月号を図書館から借りてきたのは、都甲幸治「村上春樹の知られざる顔」を読みたいと思ったからだ。ところが、パラッとめくると、巻頭小説、青来有一「てれんぱれん」。「てれんぱれん」こりゃなんだと思ったら、書き出しがこうだ。……

「てれんぱれん」というのはなんとなくぶらぶら過ごしているさまを表す方言で、なまけている人を非難するときによく使います。長崎近郊の方言だろうとわたしは思っていましたが、佐賀、福岡といった九州の北の方で広く使われているばかりでなく、どうやら山口あたりでも使っているようです。

……引用おわり。この「わたし」は主人公。

そこで「まんなおし」を思い出した。7月17日朝、寝台車で小倉に着き、まずは7、8番線ホームの立ち食いで「名物」といわれる「かしわうどん」を食べたのち、改札を出て待っていた役所の方に案内されたのが、「まんなおし食堂」だったのだ。

「まんなおし」初めての言葉だ。同行の方に、どういう意味か聞くと、「げんなおし」のことだという。どこらへんで使われている言葉か聞くと、誰もはっきりしたことはわからない。熊本あたりでも使われているから、そこらから北のほうかも知れないということだった。

この「まんなおし食堂」は、今回の特集には登場しないが、ほかにも「まんなおし」という食堂があって、そちらは登場する。

そして本番の取材の最後は、8月28日の朝7時すぎから、その「まんなおし」だった。すでに書いたように、取材は8時すこし前に終わり、おれはそのまま戸畑駅から電車で下関へ向かった。その日、下関から山陰本線で長門、仙崎へ行って、また下関にもどったことも、すでに書いた。

Mannaosi_simonoseki_s28日の夕方、下関でホテルをとり散歩に出て、ウロウロした。2007/09/25「「みんなちがって みんないい」ってのは、いいのかな。」の写真を撮影した新地のあたり、そこからさらに先まで歩き、なんとなく古い小さな建物が多い路地があったので気になって曲がった。そのあたりから市場のほうへ向かえば、いい酒場か食堂があるだろうと思ったこともあった。よく、大通りより路地裏のアヤシイ方へフラフラ入ってしまう。1人のときは、とくに、自分ひとりのことを考えておけばよいのだから、よりアブナイな、というかんじのところを選んだりしてしまう。

Mannaosi_simonoseki_2すると、そこはアブナイかんじではない古い小さな住宅が並ぶ旧街道のような、だが飲食店などなさそうな暗い狭い通りに、ボーっと明るい一軒の看板があった。近づいて見たら、炉辺焼き「まんなおし」とある。おおっ、下関にも「まんなおし」があるではないかと思い、なんだかよさげな佇まいだし、とにかく戸をあけて中に入った。8時ごろだったと思う。大混雑で、なんとか1人分、カウンターに席を確保してもらった。ここは裏通りのヘンピなところにあるけど、かなり人気な店らしい。たしかに、よかった。

ま、その話はよいとして、カウンターごしに、大忙しのオヤジに「まんなおし」は、このへんではフツウなのか聞いた。するとオヤジは、いやそんなことはない、ウチは大正からやっているけど、下関ではあまり聞かない、岩国のほうがあるようだ、という返事だった。

「てれんぱれん」も、似たようなかんじだ。使われている地域も近い。その言葉を使っている本人は、それがどこの範囲で使われている言葉であるかなど、あまり気にしない。「自分の言葉」なのだ。でも、その「自分の言葉」も、しだいに失われていくことがある。

ところで「まんなおし」、原稿を書くにあたってイチオウ調べたら、広辞苑に載っている。しかも「方言」という説明はない。その解説から、北九州にこの言葉が残って使われているのは「えびす様」信仰と関係がありそうだというヒントを得た。そのことについては、特集に書いたので、10月25日の「雲のうえ」5号の発行を待って見てちょうだい。

おれも「まんなおし」をしなくてはいけないかなあ。しかし、よくよく嫌われるのは、げんが悪いのではなく、紳士じゃないからということがあるかも知れん。「業界紳士」になんか、なりたくないしね。ふん。野蛮でもいい、嫌われてもいい、広い荒野で、たくましく生きていくのさ。いや、広い荒野で、てれんぱれんとやっているのがイチバンいいかもしれないのだが。

都甲幸治「村上春樹の知られざる顔」は、いまボチボチ読んでいる最中。

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コメント

ということは、その「まんなおし」は、上の画像の「まんなおし」ですね。このわきの路地を一歩入れば、そこはもう、というところですからね。

投稿: エンテツ | 2007/09/28 10:09

朝7時からゴマサバつまみに飲んだことあります、まんなおし。
酔っぱらいが突っ伏して寝てるの見ながら。
その後、駅に向かう途中でお姉さんに「遊んでいかない?」って
声をかけられたの思い出します、朝に(笑)

投稿: タカス | 2007/09/28 03:34

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