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2007/12/26

スパークリングワインの幸せ。

忘れないうちに。一昨日のことか一昨昨日のことか。よく利用するC級スーパーでレジに並んだ。前の前ぐらいに、おれより貧相と思える、若い男がいた。20歳後半ぐらいか、青白いつやのない顔、眼光にも力がない、無精ひげ。彼は、見るからにつくりが安物のバギーカーに、数か月と思われる女の子をのせていた。

彼は買い物カゴは持たず、たしか右手に、これからレジに出すだろう金キラの包装の安いスパークリングワインをしっかり握っていた。

おれは、一瞬、もしかして女房に逃げられたのかと思った。そして、すぐそれを否定した。彼の着ている物も、バギーカーの子どもが着ている物も、サティの安売り品のようだったが、こざっぱりとしていた。子どもが身に着けている濃紺とピンクのコーディネート、バギーカーの握り手にぶらさっがた小さな人形。彼の妻の、ある種のセンスと心遣いのようなものがアチコチに感じられた。チト、その妻に会ってみたいものだとスケベ心を発揮しながら、彼がしっかり手に握っているスパークリングワインを妻と飲むだろう、その幸せなうまさを想像し妬けたが、気分はよかった。彼は、やはり、失業中にちがいないと思った。妻の浮気を想像してみた。とにかく、安物のスパークリングワインは、とりあえず幸せな気分をもたらすにちがいないと思った。レジに並んでいても退屈しなかった。

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コメント

どーも。おれの書きなぐりを、性懲りもなくご覧いただきありがとうございます。

スーパーのレジに並んでいると、アレコレ妄想がわいて、小説を読んでいるより面白いのですが、おれが買い物する時間というのは、わりとレジが空いているときが多くて。

『雲のうえ』わざわざお取り寄せいただき、すみません。本来、一冊進呈しなくてはならないところなのに、あまり手元になくて、失礼しました。掲示板拝見しました。フェチな感想、おもしろく読みました。考えたら、「映画人」てのは、けっこう「肉体労働」してますよね。ま、「肉体労働」と「頭脳労働」をわけるのもオカシイのだけど。

とりとめなく。たまには、一杯、やりたいですねえ。

投稿: エンテツ | 2007/12/27 09:24

レジ前の観察、楽しく拝読しました。若い推定失業者が「おれより貧相」というのに笑ってしまいましたが、わたしもまた貧相にかけては引けをとらないだろうと反省しつつ、それにしても一本の安物のワイン、それもスパークリングワインであるところに貧しきもののクリスマスという苦い味わいがあり、そこから彼の妻の目立たない「心遣い」さらには浮気にまで妄想が及ぶところは大兄の独壇場だと思いました。そんな貧しきもののささやかな幸せをを祝福するラストは、太宰の短編を読むようでもあります。
北九州市の『雲のうえ』5号、無料配布誌とは知らず、どこかで買おうと思っていたのですが、福岡映画サークルの友人たちが送ってくれました。企画、文章、写真、レイアウト、いずれも賛嘆しつつ拝読しましたが、隣の市の福岡市でも知られていなくて、今頃になってですが、彼らの間でも多少の話題になっています。
http://hpcgi2.nifty.com/fukuokaeisa/bbs44.cgi

 ベッドから転げ落ちる前に見た夢の、ラグビーボールが飛ぶ冬の青い空も、非常に印象深いものでした。来年も大兄の書かれるものを愉しみにしています。

投稿: ヤマザキ | 2007/12/27 05:31

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