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2008/03/07

小山薫堂さんのオコトバで、さらに輝いた北九州の食堂。

Kitakyusyu_tankaハイブラウでスタイリッシュな消費カタログ誌の「みんなの食堂」。

先日書いた『BRUTUS』の食堂特集を買って読んだ。この雑誌、テレビのエンタメ番組のようで、「読んだ」というべきか、「見た」というべきか。久しぶりに『BRUTUS』を手にしたが、おれから見れば、ハイブラウでスタイリッシュな消費カタログということでは、むかしからかわってない。

表紙には「各界80人が愛する食堂は、個性と進化で真剣勝負していた!」とある。「みんなの食堂」ではあるが、この「みんな」はメディア周辺の「各界」有名人、芸能人やタレントなど、大手広告代理店が関心を持つような、むかしの言葉をつかえば「トレンド」な「みんな」である。べつの言い方をすれば、コンニチの消費主義をリードする「オピニオン」たちである。だから、満員電車に乗ったり営業車で仕事をしているような大衆様など縁がない食堂も登場する。

「21世紀の食堂の条件」という堂々たる囲みがあって、こうだ。
1、店自体に主張があって、個性が際立っていること。
2、早い、安いもありがたいが、うまいことが最優先。
3、ワインや日本酒など、夜はアルコールが楽しめる。
4、何事にもこだわりを持つが、決して凝りすぎない。
5、腹の虫の機嫌に添い、皿数などカスタマイズ可能。

これが、この食堂特集の編集方針というか視点というか『BRUTUS』的食堂消費カタログの方法のようだ。

その全体的な感想は、ともかく、北九州の食堂である。「食堂のパラダイス、北九州へ!毎日のごはんが、輝いていました。」の見出しで4ページ。リード文には、「例えば小山薫堂さんだったら、どんな食堂に行きたい?と尋ねたら、即答で返ってきたのが「実はいろいろあるんだけど、全部、北九州の食堂」。ようし、出かけますか!」

本文には「そもそも、北九州市が発行する『雲のうえ』の食堂特集を見て、薫堂さんはときめく心を抑えられなかったのである」と。

ああ、まだ一年たっていないのに、なんと懐かしい。やけに懐かしい食堂たち、懐かしい人たち。うーん入ってみたいなあと思いながら、時間と腹の関係であきらめたところも載っている。

で、小山薫堂さん、食べ歩いたあとに、ライター氏に「北九州の食堂、駆け足ながら、たっぷり感、ありましたね」といわれ、こう答える。

「お店が人々の生活の中にあるからでしょうね。僕らは"あのレストランの予約をとった"なんて、余暇としての食に走りがちだけど、生活のリズムの中で完結している食もある。よりおいしく、ということも大事だけど、暮らしの中で使いやすいことも必要で、そうやって食堂を日常として使いつづけることは豊かなことだなあ。新しい店や味を探しつづけるのは、ある意味、不幸なことですね。お店の人がひたすら毎日同じことをやりつづける、我が道を行く感じもよかったな」

さすがだねえ、いいことを言うねえ。この小山さんの言葉は、「21世紀の食堂の条件」や他の記事など全体の消費主義的トーンとちがって、「生活」「暮らし」をキチンと捉えている。また、こういう方だから、『雲のうえ』の食堂特集に、心をときめかせたのだろう。

ほかに、大阪の大衆食堂、たとえば超有名店の「げこ亭」や、神戸の「皆様食堂」、東京・墨田区の「いこい食堂」など、おれも行ったことがあり、当ブログやサイトに掲載の店が登場しているけど、なんといっても、北九州の食堂は小山さんの言葉によって、さらに大衆食堂らしい輝きを与えられたように感じた。

最初のページの右下に、本文に登場する北九州空港、小倉、戸畑、若松、折尾の地名と、移動順を矢印で示す北九州市の簡単な図版がある。そして最後のページの左下には、「次回はココへ?」と、「24時間営業の<エビス屋食堂>で恨めしくも「昼夜食堂」の看板を見上げる。何しろ駆け足で満腹。必ず戻ってまいります」と写真が載っている。ほほえましい心遣い、というか、北九州の食堂への思いが伝わる、北九州にとってはうれしいまとめ方になっている。それは、小山さんが訪ねた食堂が、初めて訪ねた人にも愛着を感じさせる魅力を持っているからではないか。と、思った。北九州に限らず、たいがいの大衆食堂は、そうなのだけど、訪ねる側の感じ方もあるな。

ああ、北九州へ行きたくなった。画像は、旦過(たんが)市場で。ここも、まだ歩き足りない、食べたりない、呑み足りない。

とりあえず、いじょ。

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