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2009/04/20

「書評のメルマガ」発行。「実用書」をバカにしちゃいけないよ、めしを作る覚悟の『ちゃぶ台ごはん』。

去る17日に、「食の本つまみぐい」の「書評のメルマガ」が発行になっていた。…クリック地獄

2009/04/07「『おつまみ横丁』の瀬尾幸子さんの新著『ちゃぶ台ごはん』。」に書いたように、ちょうどその原稿の締め切り前日に瀬尾さんと花見酒をやり、この本をいただき、パラパラ見ていた。見ているうちに付箋を貼りだし、「ほかの本を予定し、付箋をはりおわっていたのだが、急遽この本にかえ、深夜に至り無事に原稿を書き上げ送った」のだった。

ちょっと褒めすぎたかなと思ったし、一昨日、瀬尾さんや「酒とつまみ」一派と飲んだときも、「ちょっと褒めすぎだったかな」「愛を感じるね」なんて言い合っていた。ま、だけど、読みかえしてみると、「「実用書」をバカにしちゃいけないよ」のタイトルには、悪くない内容かなと思う。

ようするに、たかだかレシピ、料理のハウツーに、どれだけの内容があるか、アンガイ読まれてない。読書好きで文学に親しみ薀蓄を傾ける人でも、 いや、フツウの文学を語るひとほど、こんなものに「文学性」があるなんて思っていないものだ。

たしかに、無味乾燥なテキストのような料理本もあるけど、背景に生活の物語が隠れている本書のようなものもある。それは、マニュアルにしても、書く人によってずいぶん違うのと同じだ。そこが不思議でおもしろいのであり、本来、レシピやハウツーなどは、誰が書こうが、ゆで卵はゆで卵のそれなのだが、書く人でちがいがある。その違いは、いったい、どこからくるのか。

同じ料理でも、作る人によって味の強調点が異なることも関係する。その違いは、大きくいえば、それぞれの人生の違いだ。また、家に台所があるのに、料理をする人としない人がいる違いにも似ているだろう。料理を作るんであっても、ほかの家事、掃除や洗濯や家の中の細々をやり、はたまた時間や会社に拘束される仕事もやり、その忙しいなかで、時間のやりくりと家計のやりくりをしながら買い物するひと、そうでないひとの違いも料理に出る。トータルな家計のやりくりから安いものを求めるのと、ただよいものが安かったからと買うのでは、もちろん違いが出る。

そんなことを考えながら、料理本のレシピを見るのは、なかなかおもしろい。レシピといえども、いや、レシピだからこそ、作るひと書くひとが表れる。

「食べることについては、食べることができて文章さえ書ければ、誰だって書ける。だからだろう、文章を書くたいがいの人が、書く。そして、たいがい、調子にのってアヤマチを犯すことが少なくない。ま、それを文章の「表現力」だか「技法」だかで、フツウの読者は誤魔化せても、おれは誤魔化されないよ、と、おれは自信満々なのだ」と、今回の書評のメルマガで見栄を切ったが、誇張はあれど嘘じゃない。

『ちゃぶ台ごはん』を読んで、この本のように、自分が作る料理のレシピと解説を書こうとすれば、こういうことはスグ思い当たるだろう。

何度も書いたが、おれは、料理は手づくり、家庭で作るものという考えはない。それが人間不変の原則とは思わない。ただ、作ることを、おれの生活の基本にしたいと思っている。

日本のばあい、家庭で料理を作る環境は、インフラを含め、よく整っている、恵まれている。だから、なるべくなら作るほうがよいだろうと思う。ただし、主体の条件は、あまりよくない。生活を楽しむ余裕が、国家レベルや産業レベルの政策としてもない、労働に追われる日々だ。そこが「生活の中の料理」としては、大いに課題のわけで、『ちゃぶ台ごはん』は、そのへんまでシッカリ視野に入っている。

おれは、自分で作る料理について、あまり書かないが、旅に出たとき以外は、家で毎日なにがしか作って食べている。ほぼ毎日、台所に立ち料理を作る。ウチの冷蔵庫は、前は80リットルの小さいのから、ここに引っ越して大幅格上げで二百数十リットルになったが、クルマがないから、そんなに多くのまとめ買いはできない。けっきょく、冷蔵庫の中は80リットル時代とたいして変らず、毎日のように買い物に行かなくては、たちまち枯渇する。昨今のように忙しい日が続くと、その買い物の時間をつくりだすのも容易じゃない毎日だ。そこでは、必然的に、料理以外の家事も含め、合理性が求められる。また合理性は、ネライによって基準が異なる。

でもまあ、年がら年中、朝から夜十時十一時まで働いている人も少なくないなかでは、自分が好きな時間に買い物できるほうではあるだろう。

ときには、いらつく細かい仕事をしながら、どうにも腹が空いてめしを作らなくてはならことがある。冷蔵庫には、買い置きが、これっきゃない。ってときが、イチバンの料理力の発揮どころになる。

Mesi002とりの皮付きモモ肉一枚。使いかけのキャベツとモヤシ。トマトとタマネギとトウガラシをレモン汁で漬けといたやつ。これで、どんな味を出すかだ。ネライによって、料理の仕方は異なる。

とりの皮付きモモ肉一枚を、そのまま、厚手のナベの底に、皮を下に置く。弱火で、ゆっくり加熱する。皮の油が、たっぷり出たあたりで、塩コショウし、その上にキャベツの切ったのとモヤシをのせ、また塩コショウ。ナベにふたをして、蒸すように、熱を通す。大皿にめしを盛り、ナベのものを、そのままズルッとめしの上に移す。その上に、レモン汁漬けをかける。

このとき、イチバン迷ったのは、キャベツの切り方だった。『ちゃぶ台ごはん』を読んだあとなら、もっと違う切り方をしていたような気がする。

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