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2009/11/17

東大宮、「ちゃぶだい」のジャズエイジなモダニズム。

Higashiomiya_cyabudai038きのうのエントリーに関係する。

当地、さいたま市見沼区、東北本線(宇都宮線)東大宮駅東口そばに、「ちゃぶだい」という居酒屋がある。看板には、「よってって ちゃぶだい」とダジャレが誘う。そんなに誘うな、カネがない。

ウチと反対の口だが、引っ越してから、その前をふらふらすることはあって、名前は知っていた。この夏、祭のとき地元の方と初めて入った。気にいって、それから、5回ほど寄ったか。おれとしては多いほうだ。店は奥に長い。入ってすぐ右側は、奥に向かってカウンター7名分ぐらい。左側、カウンターの背後がテーブル席3台、いちばん奥に靴を脱いであがる小部屋があって、店名なる「ちゃぶだい」が置いてある。そうそう、オーディオ機器が、カウンター並びにカウンター4人分ぐらいの空間を確保している。

インテリアに、なんとなく1920年代30年代の「モダニズム」の香りがゆるく漂っているが、押し付けがましさはなく、ただのちゃぶだいのような店だ。なにげない入口は、外側に大きなのれんで見えにくいが、木造の引き戸の上半分ぐらいはガラスであり、そのガラス面一杯に、鉄製の、草のモチーフを幾何学的にデフォルメしたようなラインの飾りがはまっている。そこはかとなく、アール・デコ調。

カウンターやテーブルは、ごつい頑丈そうな木で出来ている。実際に古材を使ったのか、そのような仕上げにしたのか、昔の木造の校舎に見られたような、使い込まれた風な木の手製風。カウンターの椅子は、バーなら珍しくなく、居酒屋には珍しい、アメリカの20年代30年代の「ジャズエイジ」なバーあたりから流行ったといわれる、チョイ腰高のものだ。

壁が、特徴的。波型鋼鈑の波を横位置に、一面打ちつけてある。塗りはペンキ、うすいグレーとブルーが混ざったような色に感じる。その壁には、まさに「昭和レトロ調」のポスター。右から左へ横書きの「大日本麦酒」の文字が入った、これは複製品だろう、ビールメーカーのポスター。そして、かかっている音楽は、ジャズ。

といっても、つくりもの「昭和レトロ」や「モダニズム」調とはちがう。「天然生活」や「クウネル」を真似たような、都心なんぞにある、つくりものナチュラルなアートっぽいオシャレとはちがう。そのようにデザインされた完成度はない。ざっくりとしている。

あるじの趣味か、阪神グッズがぶらさがっていたり(あるじは、けっこう、阪神イケイケっぽい)、片隅にはパソコンがあったり、真ん中へんが成りゆきでだろう、小物か雑貨置き場のようになったところがある。それらが、てきとうな「ゆるさ」になっている。「作業場」「仕事場」のような雰囲気もする。デザインされているのだけど、気取ってはいないし、どこか崩れ、生活感がただよう。これが「大衆文化」というものではないだろうかと落ち着ける。現実にまみれたデザインというか、それは生きているデザインでもあるようだ。

チョイとおもいついたのは、「レトロ」「モダン」というと、昔はよかったねと懐かしがる、過去ふりかえりが大方の傾向だったが、「ちゃぶだい」のばあい、後をふりかえるのではなく「レトロ」「モダン」を前において、いまの生活の空間にしているようにおもった。だからこのスタイルは「進行中」であり、「完成」ということはないのだろう。

料理は、こったものではないが、けっこう工夫されている。うまい。なにしろ、お新香がうまい。酒好きには、これさえあればというかんじだ。その酒は、焼酎もだが、おれとしては清酒がいろいろ揃っているのが、うれしい。しかも、その揃え方に、それなりの「考え」を感じさせる。もちろん人気店で、座れないこともある。常連さんは、どうやら、酒好き、ジャズや音楽好きが多いようだ。一人でカウンターに座って、清酒を呑んでいる女子もいる。

Higashiomiya_cyabudai034じつは、昨夜、ここで呑んでいた。そして、写真を撮った。前から気になっていたのは、器と盛り付けで、その特徴は刺身のときによくあらわれる。昨夜は、おれの食べたい刺身がおわっていたので、別のものにしたが、これでも特徴が、わかる。

焼鳥の盛りだが、お新香の盛り合わせとおなじ小さな皿に一杯に盛る。こういう料理は、大きめの皿に、キャベツの千切りなど付け合せの野菜を置き、盛り合わせることが多いはずだ。で、刺身のばあいも、これとおなじ皿だったようにおもうが、違ったとしても大きさはおなじぐらいに、やはり一杯に盛り、ツマはその下に、ほんの少々入っているにすぎない。皿はふちが見えるていど。この焼鳥もそうだが、実質的に、刺身そのものがタップリある。ついでに、奥の皿は、だし巻きたまごで、これがふわふわでうまい、酒がすすむ。やはり皿いっぱいに盛って出てくる。

Higashiomiya_cyabudai036世間では、「器も料理の楽しみ」とかいっちゃって、まるで貧相な料理をごまかすかのように、大量生産品の大きな皿の真ん中に料理を盛る、はったりコケオドシが少なくない。たいがい、お新香と、肉か魚かによって、煮物か焼き物かなどによって、皿を変える。皿の絵柄はもちろん、大きさと形が、まるでちがう。それが、「惰性」というか「伝統」だろう。

ところが、つまり、「ちゃぶだい」のばあい、盛り付けの装飾性に制限を加えていることになる。これは、無理矢理リクツをつければ、「アール・デコ」な「モダン」な「ジャズエイジ」な精神ではないだろうか。

はたして、そのことで、「料理の楽しみ」は制限されるだろうか。けっして、そんなことはない。いつも、すごい楽しく、満足する。そもそも、テーブルやカウンターのサイズからしたら、こういうふうが「合理的」というものだ。合理的であるがゆえに、余計な見栄はなく、十分たのしめる。

考えがまとまっているわけでもないし、まだ書き足りないような気がするが、とりあえず、こんなところで。もしかするとおもいついて書き足すかも。

「ちゃぶだい」のブログ→【ちゃぶだい】…さいたま市の外れにある飲んべえの集う店。徒然なる日々の雑記帳
http://chabudai2009.jugem.jp/

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