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2011/12/01

今月の、木村衣有子『もの食う本』ちくま文庫ほか、気になること。

ツイッターは、いろいろあれこれつぶやいてみて、おれなりにあった使い方の見当がついてきた。

とくに3月11日以後は、なにかとツイッターにかまけすぎて、いただいた本の簡単な紹介や、気になるイベントなどの案内は、とりあえず、そちらですませることが多かった。本や案内をいただいたとき、「とりあえず」紹介するには、ツイッターは便利だ。しかし、その「とりあえず」が、そのままで終わって、こちらのブログには載らないままになることが多かった。これからは、なるべく以前のように、こちらで先に紹介するようにしたい。

ってことで、12月の気になること。

気になるどころか、大いに期待しているのが、10日発売予定、木村衣有子さんの『もの食う本』ちくま文庫だ。これは、筑摩書房のPR誌「ちくま」に、今年の8月号から12月号まで連載のものに、新たに加えてまとめたものだ。ほぼ書き下ろしといってよいか。あるいは、ほぼ書き溜めておいたもの?

2011/10/29「「場所」、そして郷土料理と家庭料理。」に、少しだけだが、ちくまに連載中のものについて触れた。

なんといっても、ありそうでなかった食の本のレビュー集でもあるが、単なるレビューをこえて、食べることや食べ物や、それを作る人と料理のあいだ、あるいはそれらを語る作者の考え方にまで、切り込んでいる。そこに見られる、木村さんの視点や、着眼点、切り込みの鋭さは、これまでのいろいろな食の本のレビューには見られなかったものだと断言できる。

以前にも書いたが、おれは江原恵さんの『庖丁文化論』にであって以来の、驚きと感動だ。食べることや食べ物や料理に関して、その世界が深まり、これまでと違って見える人も少なくないと思う。とくに男の場合。料理や味覚についての観念的なオシャベリであいまいにすごしてきた一つひとつが、俎上にのせられる。

木村さんは、7月に『猫の本棚』(平凡社)を出して、評判である。朝日新聞に載った、田中貴子さん(甲南大学教授)の評では、「べたついた甘さや過剰な感性の押しつけがないのだ」「引用を以(もっ)て作品の魅力を語らせるセンスに舌を巻く」とある。
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011091200014.html

おれは前にも、木村さんの何かの作品を紹介するとき、「据え物切りをするような」という表現で、木村さんの文章を語ったことがあったと思う。それは、まっすぐ対象を睨みつけ、無駄なく鋭く刃をふりおろす感じだ。しかも、その刃は、鋭いが、薄っぺらではない。こういう人に作品を読み解かれては、逃げも隠れもできないと思う。

『猫の本棚』のまえがきで、木村さんは、「この本は、猫のお話を読み解く過程を、ひたすら書き記したものです」と。『もの食う本』もそうなのではないかと思う。なんにせよ、食や食の本に関心のある人は見逃せない。それに、木村さんの本を読むと、本や物事や人間に対する「読解力」がつく。

ところで、おれの『大衆食堂パラダイス!』も、まな板にのせられた。「載せる」と聞いたとき、この人に切り刻まれたら、たまったもんじゃないなあと思いながらも、語るほどの価値もないと言われるよりは、うれしかったに決まっている。彼女は、飲み友達でも容赦はしないからね。気に入らなければ、顔を横に向けて「チェッ」と舌打ちされる。

そのあと、木村さんと会う機会があった。そのおれの本が付箋だらけになっているのを見て、恐怖した。こんなに切り刻まれては、ああ、もうダメだ。しかし、開き直るしかない。そのあとのことは、あとのお楽しみ。

つぎは、四月と十月文庫の第3弾のこと。

まだ入手してないが、四月と十月文庫(港の人)から、有山達也さんの初著書『装幀のなかの絵』が、4、5日前に発売になっている。『装幀のなかの絵』は、おれも「理解フノー」の連載をさせてもらっている、美術系同人誌『四月と十月』に有山さんが連載のタイトルだ。連載を、そのまままとめたものではないと思うが、詳しくは、こちら出版社の港の人のブログをご覧いただきたい。編集を担当されたのは、おれも北九州市『雲のうえ』5号でお世話になった、大谷道子さんだ。
http://d.hatena.ne.jp/miasiro/20111129

四月と十月の連載では、おれと有山さんが見開きに並んでいて、しかも有山さんの文章がうまいから、フリーライターのおれとしては、困ってしまう。おれは、毎回なんとか姑息な手段の話題で得点を稼ごうとしている。それが楽しい。

また本書の刊行を記念して、青山ブックセンターで、「有山達也トークショウ 「話したいことは何もないけれど……。バームクーヘン談義」」があります。有山さんのほか、ゲストは四月と十月編集長で画家の牧野伊三夫さん、四月と十月同人で写真家の久家靖秀さん。申し込みなど、詳しくは、こちら。
http://www.aoyamabc.co.jp/event/ariyama-baumkuchen/

ほかにもいろいろあるのだが、もう長くなったから、今日はここまで。

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