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2012/04/08

喫煙禁煙から見えてくること、リニューアルした『TASC MONTHLY』4月号。

Dscn0581毎号いただいている、『TASC MONTHLY』がリニューアル。正確には、タイトルも「Tasc Monthly」から「TASC MONTHLY」に変わっている。発行元の、たばこ総合研究センター(TASC)も、公益法人制度改革により、財団法人から公益財団法人になったとのこと。

リニューアルといっても、デザインの面であり、表紙が久住昌之さん(あの『孤独のグルメ』の原作者)の切り絵になったり、本文の紙が上質になったり。質実な「機関誌」という感じから、雑誌としての体裁を整えつつある印象だ。

ツイッターではつぶやいていたが、本誌の内容は、ますます充実している。とくに昨年の東電原発事故に始まる「放射能」汚染をめぐる状況のなかでは、じつに有益な記事が多かった。

多様性とは、公共とは、健康とは、健康主義(ヘルシズム)の問題、あるいは、監視と排除や非寛容など。これらは「禁煙」をめぐる、さまざまな事柄と関係あってのテーマだが、喫煙禁煙問題にとどまらず、「人間」や「生きること」の本質から問う内容が多く、いろいろなことを考えさせられる。

この4月号から拾うと。TASCサロンは、桂木隆夫さん(学習院大学法学部教授)による「日本の公共思想ー雑感」。特別シリーズ現代を生きる第20回は、服部英二さん(地球システム・倫理学会会長)による「現代文明の危機ー文明の多様性と通底する価値」。特別寄稿は、佐藤憲一さん(千葉工業大学准教授)による「嗜好品と社会規範~嗜好品の自由と規制をめぐる正義論的考察~」。若狭功末大TASC主任研究員による、喫煙余録「喫煙場所における共存可能性を探る」は、この雑誌ならではだ。

いずれも毎号、誌面を十分にとって述べられているのがいい。なにしろ、近頃は、ツイッターなどのインターネット上で流通する断片的な情報に、一喜一憂喜怒哀楽し、モノゴトの判断が偏りがちだから、このようにあるていどまとまったものを読んでおきたい。

ところで、佐藤憲一さんの記述におもしろいところがあったので、断片的になるが、そこだけ抜粋。これに類することは、いろいろなことや味覚のことなどにも見られ、『大衆食堂パラダイス!』でもふれている。「文化」について、わかりやすい事例、それと、いわゆる「法」をめぐる文化、これに「正義」なんてものが絡むと…。いまや、法をもって、喫煙が「排除」される傾向にあるのだが。「文化」だの「アート」だのと騒がしい割には、その内実はうすら寒い。自分をとりまく文化を、よく検討する必要がある。

 肉まんを九州で買うと、必ず「酢醤油」が付いてくる。肉まんの皮に染み込んでとてもおいしい。関西では「からし」が付いてくるが、それに慣れるまでに10年かかった。ところが、関東に行くと何も付いてこない。それぞれの地域では、それが当然であり常識である。そこにずっと住んでいる人は、別の可能性があることを想像すらしない。これがまさに文化である。
 私が在籍した法学部では、人が何を好み、どう振舞うとしてもそれはその人自身が自由に選んだことだ、と考える傾向が強い。思想や行動の源泉をあくまでも個人の内部に求める個人主義的な思想である。各人は各人の自由意思で何でも決めているのだから、ある地域で誰もが肉まんに酢醤油をつけたがったとしても、結婚するカップルの大半が夫の名字を採用したとしても、それは偶然の一致にすぎない。自分の意思でそれを選ぶ人が、たまたま多かったり、少なかったりするだけなのだ。
 しかし、文化の出る幕を否定するこの思考様式は、実はそれ自体が法学部の文化なのではないだろうか。・・・・

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