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2012/06/24

銀座で落語、小岩で野暮酒場。

一昨日22日、ブログを書いていたのを時間切れで放り出して行った先が落語会。有楽町で降り、東京交通会館の三省堂で松本尚久さんの新刊『落語を聴かなくても人生は生きられる』(ちくま文庫)を買い、ルテアトル銀座へ。ここで「読売GINZA落語会」ってのがあるのだ。ひさしぶりのホール落語だ。

18時に待ち合わせだったが、早く着いた。ビル前でぼんやりしていると瀬尾さんがあらわれた。まだ早いからチョイと飲もうかと、立ち飲みか簡単な赤ちょうちんを探すが、なかなかない。銀座ですなあ。逆に京橋の方へ向かうと、何本目かの路地に焼き鳥の匂いが漂っている。おっ、匂うぞ~と奥へ向かう。ありました。まさにビルの谷間に残る、まわりと比較したら掘っ立て小屋にたとえられそうな佇まい。

詳しくは省略。ここがよかった。瀬尾さんがサキさんに電話をすると、こちらに来るという。飲んでいるうちに、サキさんとタノさん到着。それはいいが、まもなく18時半の開演時間じゃないか。いや、しかし、この酒場は捨てがたい、それに、どうせ前座があるし、5人も出演者がいるから、仲入後でもいいじゃないか、おれは雲助だけは聴きたい、大丈夫たしかトリの前の登場だから、てな話をしながら、腰が落ち着く。もらった招待券だと気軽だねえ。

とはいえ、ビールを4本空け焼き鳥を食べたあたりで締めて、会場へ。ルテアトル銀座に入るの始めて。でかいホールだ。こんなデカイところでの落語は初めてだ。それに落語会場にしては、いやに高級感が漂う。銀座はこれだからなあ。2番手の山遊三の「引越しの夢」がちょうど終わるところだった。続いて、権太楼の「火焔太鼓」が会場をわーっとわかせてお仲入。仲入後は、おれが好きな雲助が「お菊の皿」、やはりいいねえ雲助は。そしてトリは、さん喬で「唐茄子屋政談」。このネタを、このデカイ会場でマイクを使っては、チョイと難しい感じだったが。

とにかく、落語を聴くと、ふだん使わないところが刺激されるせいか、肉体から脳まで揉み治療をやったように活性化された気分。それは翌日になっても、続いていた。

21時ごろハネて、帰り、天津飯店で餃子などを食べながら、ビールと紹興酒。落語は、やっぱり地声が届く範囲の会場がよいよねえ、などと感想を出し合い、招待券をもらっておきながらすみません。

翌日、つまり昨日だ。落語効果か、なんだか朝から元気がよい。さらにメールをあけたら、うれしい仕事の依頼があって、元気にはずみがつく。野暮酒場の営業日だったので行くことにした。17時ごろ着くと、店主が1人で飲んでいた。ビールからホッピー。コンさん登場。19時ごろ、店主の腐れ縁友達が、野暮にしては珍しい、若い女子を連れて到着。しかも彼女は、アシタバのおひたしを作って持参という、野暮酒場ではありえない光景。これで盛り上がらない男はどうかしている。ということで、店主が厳選した安酒のポン酒を燗で飲む。銘柄を忘れたが、安酒にしては飲み口のよい、なんだこれは普通じゃないかという感じであった。

おれは一足先に、21時ごろだったかな失礼して帰宅。

とりあえず以上。

松本尚久さんの『落語を聴かなくても人生は生きられる』は、まだ読み出したばかり。意欲的なアンソロジーであり、「まえがき」から引き込まれる。「批評とは」を問いかけながら、グイグイと展開。共感するところが多いし、おれの主張や方法と重なるところもある。落語に限らず、料理や酒や文章など、「視るものと、視られるもの」との関係に存在した「共通の物差しが」「役立たずになってしまう」コンニチに関わることなのだ。そして、公正とはどういうことか。問われている。

ツイッターなどで、誰でも簡単に何かを批評する時代、そもそも書くことが批評であるはずだが、あまりにもトンチンカンが少なくない。インターネットなどで拙速に知識や情報をかき集めては、わかったふりしてふりまわす安直が、けっこう蔓延しているように見える。歴史や社会についてキチンと積み上げることをしておかなくては、ゆがんでしまうなあ、もっとも、自らの読解力の容量の低さに気づくほうが先かも知れないが。ってことも教えられる一冊でもあるようだ。ひとさまのことをアレコレ言う前に、自らの評価軸を考え直さなくてはならない時代なのだ。

最初の文が、小林信彦さんによる「志ん朝さんの死、江戸落語の終焉」。小林さん夫妻が「夫婦で出会うはるか前に、初めてきいたのが朝太時代の志ん朝の「唐茄子屋政談」」だったというエピソードがあって、ちょうど前夜にきいた噺なので、不思議な気分。

そういえば、雲助を知ったのは、松本さんプロデュースの落語会だった。亡き吉村平吉さんを紹介してくれたのも彼だった。放送作家であり、おれは99年の『ぶっかけめしの悦楽』の時、文化放送の吉田照美のやる気まんまんで初めて声をかけていただいた。以来、ラジオ出演で4回ぐらいお世話になっている。最近も『大衆食堂パラダイス!』発行のあと浜美枝さんの番組でお世話になった。あまりゆっくり話し合ったことはないが、若いのにどっしりした考えを持った理論家であることは言葉のはしはしから感じていた。まさにその通り。この本については、また日を改めて。

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