« 2月3日から3月26日へ。って、トークライブです。 | トップページ | 東京新聞「大衆食堂ランチ」6回目、御徒町・御徒町食堂。 »

2013/03/14

『dancyu』4月号うどん特集、エンテツ「うどん食堂」本日開店!で、うどんアレコレ考。

004001去る6日、『dancyu』4月号うどん特集が発売になった。おれは「エンテツ「うどん食堂」本日開店!」のタイトルで、13ページにわたって登場している。ライターとして出すぎだし、「書く」より、エンターテイナーみたいな演技出演の誌面が多い感じだ。

つまり、おれが有名店3店にうどん打ちの弟子入りをし、実際にやってみて、やっているところを写真に撮り、読者が楽しく見て、楽しく作れるようにレシピを紹介するというのが、このページの眼目なのだ。

その取材の様子については、2013/02/21「トークやらうどん打ちやら。」に書いた。…クリック地獄

実質の本文量は少なくて、まとめるのに苦労したが、単なるお店や料理の紹介ではなく、レシピがメインなだけに、味覚文化論や料理論的な視点を盛り込みながら書けたのが、うれしかった。

じつは、この視点こそ、おれが最もやりたくて、もっとも得意とするものと思っているが、そんなことには関心がないひとが多くて、なかなか書けるチャンスがない。本文量が足りなくて欲求不満気味に終わったけど、読者のことを考えると、少しふれるぐらいで、ちょうどよかったのかもしれない。あまり書くと、オベンキョウになって、エンターテイメントじゃなくなっちゃうからね。

今回の取材店は、いわゆる「讃岐系」といわれる有名店だが、麺の性質が、まったく異なる。これは「讃岐系」といえるのかというものから、これぞ田舎臭い素朴な讃岐そのもの、それを東京向け味覚にアレンジしたもの、偶然だったけど、それぞれ特徴があって、よかった。

誌面では、まったくふれてないが、いわゆる「コシ」とは何か、「弾力」なのか、「硬さ」なのか。小麦粉の味と香りは、どうコントロールされるのか。それと汁とのバランスは。「うどん」は何をどう食べるものなのか、小麦粉か、汁か、うどんは汁の具なのか。などなど、かねて疑問に思っていたことについて、かなり知ることができたし、考えるヒントを得られた。

ふりかえれば、『dancyu』という雑誌は、男子厨房に入ろう会ってことで、男子の趣味として台所に立ってプロのレシピを実践してみることが、そもそもの始まりだったはずだが、世間の趨勢でもある、食べ歩きグルメの風俗へ流れてきた。

003001だけど、おれが『dancyu』に書くときの担当編集さんは、料理の科学や技術について、かなり詳しい。もっともそうでなくては、この雑誌に載るような料理人さんたちと、料理について突っ込んだ話しができない。そのへんは、いわゆる町雑誌系で飲食を多く扱う編集さんとは、かなりちがう。今回も、取材の合間や、終わったあとに飲みながら、玉村豊男さんの『料理の四面体』の話しになったりした。取材の最中に、『料理の四面体』が何度も思い出されたし、料理人さんとも、素材の生物的特性や調理による化学的変化について話が及んだ。料理の視点と、風俗の視点が交差するあたりに、『dancyu』はあるといえるか。

とにかく、その4月号、「うどんの国ニッポン!」が、特集のタイトルだ。これは、まあ、目次にも「日本中が、うどん県!」という表現があるし、特集イントロで北尾トロさんが書いている「香川県が調子に乗って「うどん県」なんて言い出したことが本当に残念だ」という気持を表したものだろう。

いま、メディアやイベント屋さんたちが、この『dancyu』にも書かれているとおり、「コシ至上主義にもの申す」と、讃岐のコシやツヤを攻めながら、「ふにゃふにゃ」うどんの「伊勢うどん」「京うどん」「博多うどん」などを盛りたて、新たなブームを生んで乗っかろうとしているようだ。ま、「野球か、サッカーか」のような話しで、大いにやれば、お互いが盛り上がるし、なにより、メディアやイベント屋さんが活況を呈して、けっこうなことだろう。

しかし、食文化や料理文化からすれば、コシ信仰もアンチ・コシ信仰も、どうでもよいことである。先のおれのような疑問や、うどんのコシやツヤとは何か、どうするとそれが生まれるのか、何を目的とした味覚なのかを知って、さらに実際に作ってみて理解することが、はるかに大事だと思う。

「エンテツ「うどん食堂」本日開店!」は、スーパーで買ったありふれた材料で作れるもので、「厳選された素材」だの「匠の技術」「究極のうどん」「粋な味覚」といったことではない。

麺打ちを伝授していただいた『綾』の讃岐うどんは、讃岐の本場のままで、いわゆる都会的な味覚とは違うと思うが、それだからこそのファンもいる。このコシとツヤを出す打ち方を覚えれば、逆に、「ふにゃふにゃ」も容易なのだ。そこに、一つの「うどんの原理」を体得することができる。

ついでに、おれが、このブログで何度も書いている、秩父の山奥の家でやる手打ちうどんは、イチオウ、系統から言えば、いわゆる「武蔵野うどん」に近い。このコシは、「弾力」より、「硬さ」ではないかと思っている。それは、打ち方のなかでも、踏み込みのちがいによるものではないか、と、今回の取材から思った。

大阪の江弘毅さんが、大阪うどん「だしを食べるということ。」を書いていて、群を抜いて秀逸。

dancyuのサイト。目次。
http://www.president.co.jp/dan/backnumber/2013/20130400/

|

« 2月3日から3月26日へ。って、トークライブです。 | トップページ | 東京新聞「大衆食堂ランチ」6回目、御徒町・御徒町食堂。 »