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2013/04/19

東京新聞「大衆食堂ランチ」7回目、稲荷町・田中食堂。

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今日は第三金曜日で、東京新聞に連載の「大衆食堂ランチ」の日だ。7回目で、地下鉄銀座線稲荷町駅、昔風にいえば下谷になるか、下谷神社近くの田中食堂のハムカツなのだ。すでにwebサイトで、ご覧いただける。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyoguide/gourmet/lunch/CK2013041902000170.html

009まいどのことながら、新聞には外観の写真も載るが、サイトにはないから、ここに載せる。

下谷神社周辺は、戦災で焼けずに残った戦前の建物が多く残っている。関東大震災後に広まった銅版建築も、何軒かある。戦後の増改築で外観は、変わっても、中は以前の木造を残しているところもある。稲荷町の駅から田中食堂への途中の和菓子屋は、出入り口の戸も木枠のままだ。

田中食堂も、戦前の建物を、戦後の昭和20年代に、食堂の店舗部分を増改築して使っている。出入口はサッシに変わったが、窓などは木枠で、いたるところ手入れがゆきとどいているからだろう、疲れを感じさせない。

013001年季の入った木造ならではの風合い。天井は高く、神棚や扇風機が。鴨居の上には、「千躰荒神」のお札が貼ってあった。火除け台所の神様のお札は、品川・海雲寺の千躰荒神王のようだ。

東日本大震災の地震でもビクともしなかったという。古い神社の地底には大きな岩盤があって地震に強いという話しは、本当なのだろうか。

こうした食堂らしい、昔「プレスハム」今「チョップドハム」を使ったハムカツも年季が入っている。

じつは、ここでは、どの料理にするか、ずいぶん迷った。取材の日までに、3回行って、その前にも、とくに取材を考えずに寄って食べているし、あれもよい、これも捨てがたいと、一つに絞るのが難しくて、最後は、アジフライかハムカツかに絞り、やはり、アジフライは、ほかにも候補の店があるし、この年季の入った食堂で食べるには、このハムカツだろうと、決めた。文章もそのように書いた。

田中食堂とご家族は、2011年の、ちょうど大震災のころ発売になって、おれも巻頭エッセイを書いた『東京・横浜 百年食堂』の表紙の写真を飾っている。…クリック地獄

016大衆食堂の経営は、厳しい状態が続いている。目下の経済と外食市場の動きは、個人経営の大衆食堂あたりが、もっとも難しくなっているようだ。

街の個人経営の環境は、リーマンショック以後、好転するキザシもない。そのうえ、大衆食堂が「観光化」しているなんていう、客がわんさか押しかけているかのような話しがあると聞いたが、あるいは部分の針小棒大化なのか、悪質なデマに近い、なんのために、そのようなことを言いふらすのか理解に苦しむ。

大衆食堂の経営は、大衆酒場のように簡単ではない。ま、大衆酒場も、個人経営は簡単ではなくなってきているが。あるていど体力があるところと、そうでないところの差が、ますます出そうな気配だ。

個人経営のある街を、どうするのか、ビッグビジネスやビッグストアが仕掛けてくる心地よい空間に浮かれて飼いならされていくなかで、真剣に考えたいところだ。しかし、いまの流れでは、どうなるのだろうか。

けっきょく、インターネットだツイッターだフェイスブックだのといっても、ビッグに流れる力が、情報量としても増えるばかり。個人レベルでは、他人の瑕疵を探し出しては、貶めて、自己のオリコウそうな優位を画策する。そのドサクサもあって、ビッグは安泰だ。個人の力は弱い、ということを、痛感するばかり。

そんな中で、田中食堂は、「生きること、食べること」を考えさせ、潔い矜持を感じさせてくれる。

4人掛けテーブル、4台。お酒を飲む客が増えたので、早朝営業をやめ夜の営業を長くした。大事にしたい、長く続いて欲しい食堂だ。

まもなく5月の連休には、下谷神社の大祭がある。ここの屋台には、謎な食べ物「フライ」が出店するので、以前、ザ大衆食のサイトに掲載した。最近は行ってないので、知らない。…クリック地獄

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