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2014/04/09

15、20、30、銀座ウエスト。

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『四月と十月』30号が発行になった。おれの連載「理解フノー」は12回目、「クサイ話」のタイトルで、これまでほんの少しのひとにしか話したことがないネタで、クサイ話を書いている。

次号も、このネタがらみを書く予定。どんなネタかって?そりゃもう、面白いんだけど、読んでもらうしかないね。

それはともかく、『四月と十月』は30号で、毎年4月と10月に発行してきたから(少々ずれこんだ号もあるけど)15周年記念号でもあり、表紙も色刷りだし、記念特集をやっている。

ひとつは、編集・発行人の牧野伊三夫さんが「『四月と十月』、この五年」を書いている。20号のときに10年をふりかえっているので、その後の5年のことだが、この5年間は大変だったわけだ。

『四月と十月』は、美術系同人誌であり、同人誌というのは経営が難しい。経営なんぞない、という感じのものも少なくないようだ。無軌道経営も同人誌のひとつのありかたかもしれない。しかし、大金持ちがついていないかぎり、長く続けるためには経営の安定が必要だ。

牧野さんは、この5年間に諸々の対策の結果「赤字は消え会費のみで発行できる体制が整い、継続の目途が立った」と書く。牧野さんは2年連続でADC賞を受賞したり、人気はうなぎのぼりで忙しくなるなか、あらたに四月と十月文庫も発行、画家としてすごいだけじゃなく、経営能力も人並み以上のようだ。

おれはといえば、連載はさせてもらっていても同人ではなく、四月と十月の台所事情に関係なく、ちゃんと原稿料までいただいている。どうもすみません。

記念特集のもうひとつは「十五年前の私」で、同人と連載陣などこの本に関わる人たちが参加している。おれも寄稿したが、15年前の自分の写真と文章だ。おれは最年長だから、15年前は55歳だったけど、若い同人で活躍も華々しいミロコマチコさんなんぞは18歳で高校3年生!

なにはともあれ、30号15周年を祝福したい。表紙の作品は加藤休ミさん。

おれが牧野さんと初めて会ったのは、2001年のことで、そのとき引き合わせてくれた、牧野さんと同じ北九州市出身の安藤聡さんは、一昨年他界された。

2007年、北九州市『雲のうえ』5号の食堂特集の取材で北九州を訪ね、編集委員の牧野さんも一緒で門司へ行った。そのとき、安藤さんが高校時代によく入ったという、お好み焼き「梅月」さんの前から安藤さんに電話をした。牧野さんとおれは交代で楽しく話をしたのだが、安藤さんは手術をしたあとだった。その後、回復して酒も飲めるようになったというから、それじゃまた3人で飲もうといっていた。お互い忙しくしているうちに、思いがけなく体調が悪化、帰らぬひとになってしまった。

002さてそれで、その『雲のうえ』20号が、3月に発行になった。こちらは年間の発行回数に変動があるので、きちんと何周年記念というわけにはいかない。

あいかわらず注目されている本誌だが、最近、東京・渋谷のヒカリエ8Fにある「d47 MUSEUM(ディヨンナナミュージアム)」の第9回企画展「文化誌が街の意識を変える展」に、「雲のうえ」が福岡県代表として、また「文化誌」の先駆け的な存在であり、この展覧会を代表する「雲のうえ」として展示されているらしい。

今号は「集まれば、仲間!」という特集タイトルで、北九州のサークルや部活の紹介だ。おれとしては、星琳高等学校の「フードホームクリエイション部」ってのに興味を持った。「食は故郷を救う、か?」って、タイトルもよい。

それはともかく、うれしかったのは、大谷道子さんが、文を担当し復帰していることだ。大谷さんは、創刊から、おれが5号の文を担当した当時の編集委員だったが、その後体調を崩され離れていたのだ。よかった、よかった。

今号の写真は、長野陽一さん。

そうそう『雲のうえ』のアートディレクションを担当している有山達也さんは、『四月と十月』の連載陣の一人でもあるから、「十五年前の私」にも寄稿している。それによると、大谷道子さん出会ったのが15年前で、そのときの本の仕事で長野陽一さんと会うことになったという話があった。

なんだか、いろいろつながっているのだが、まだある。

003木村衣有子さんに、最新刊、4月10日発行の『銀座ウエストのひみつ』(京阪神エルマガジン社)をいただいた。

木村さん初めての「企業取材もの」だそうで、まえがきにあたる文のタイトルが「「ウエストらしさ」とはなんだろう」というものだ。これは一見、ウエストの、いわゆる「企業文化」や「CI」について掘り下げた「ビジネス書」のような感じだが、木村さんが書くのだから、ビジネス書ではない。だけど、ビジネス書として読んでも、有用な気がする。

おれとしては、そのビジネス書として読んでも有用な気がするところが引っかかってはいるのだが。「タイアップもの」のような感じもある。

帯に本文からの引用があって、「「ウエストらしさ」とはなんだろう。/真面目さ。/折り目正しさ。/おいしさ。/それはどこに宿っているんだろう。」と、おれからは最も縁遠い言葉が並んでいて、気分は引き気味で、ボチボチ読んでいる。おれにとって、この内容は難しいから、よく考えながら、少しずつ読んでいる。

しかし、おれがこのような印象を持つということは、世間はちがうと思う。売れそうだ。いまどき受けそうな内容で、売れるのを期待したいね。

この本のアートディレクションが、有山さんで、表紙や本文中にある写真は、四月と十月同人で『雲のうえ』の写真でも活躍している久家靖秀さんなのだ。もう、心憎いほどの、うってつけのビジュアル。

こういう感じのビジネス書があってもよいじゃないか。これからのセンスのよいビジネスマンは、こういうビジネス書を読むべし。とかいってみたくなる。

気をつけなくてはならないのは、こういう「企業哲学」の本を読んで影響を受けると、人間の感覚や精神など丸ごと「搾取」されかねないことだろうか。近頃は「感情労働」なる言葉もよく見かけるが、「企業のありかた」と「人間のありかた」の関係は難しい。「誠実」「真摯」に生きながら、失敗したくない、成功したい、を軸にしている人たちには、大いに有用だろう。

『雲のうえ』と『銀座ウエストのひみつ』、どちらも有山さんのアートディレクションなのだが、このちがいが、おもしろいと思う。最近の『雲のうえ』の表紙は、とくに気になっている。

最後の写真は、昨日、近くの小学校の、入学式の日。花に嵐と、桜は、かなり散ったあとだったが。

出がけに、小学校の正門の前を通ったら、なにやら入学式に参加するらしい親子が行列していた。その中に、酒場で会うひとがいて、おおっ、と挨拶をし立ち話。正門前で子供の写真を撮るために並んでいるのだとか。奥さんも一緒で、うれしそう。いいねえ、素直に喜べる、こちらの気分も晴れ晴れ前向きになるのだった。

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