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2014/04/30

5月の、おすすめトーク、二つ。

近年は何かとイベントが増殖している。とくに4月5月とこの連休などは、もうイベントがありすぎな感じだ。それも消費的イベントが多いようだ。

おれも本が出ると、「出版記念」と称して、そのテのトークをやったりするのだけど、なんでもイベントのネタになって、ツイッターやフェイスブックなども利用され、恐ろしいほどすごい勢いで消費に回収されてしまう時代なのですなあ。

ここにおすすめする二つのトークは、そういうものとはチト傾向が違う。

一つは、おれが出演するわけではない。
これはもう是非とも聞きたいトーク。

5月18日(日)の、鬼子母神通り「みちくさ市」トークで、速水健朗さんと五十嵐泰正さんが対談する。
お題は、「『なに食べた?』で社会は変わるのか」というもので、このお二人にピッタリだ。

みちくさ市トークといえば、わめぞがプロデュースするもので、昨年2月8日に、五十嵐さんとおれは、「『いいモノ』食ってりゃ幸せか? われわれはみな〈社会的〉に食べている」という対談をしている。(2013/04/22『いいモノ』食ってりゃ幸せか?が、朝日新聞のWEBRONZAに転載になり。)

そして、速水さんとおれは、2014/04/17「3月15日の大盛堂書店@渋谷での速水健朗さんとのトーク。」に書いた通り、この3月に対談したばかり。その日には、五十嵐さんも会場に来ていて、打ち上げにも参加していただいた。

5月18日(日)のみちくさ市は、いつものように古本フリマも開催される。トークは、13時30分~15時まで。
詳しくは、こちら。
http://kmstreet.exblog.jp/18596651/

これはもう、おれのようなジジイとの対談とはちがう、ほぼ同年代の気鋭の二人ですからね、楽しみです。

もう一つは、おれも出演するトーク。

浦和にあったクークーバードが、4月下旬に閉店し北浦和に引っ越し、5月5日に「北浦和クークーバード」としてオープンする。その新店舗オープン記念というか。

猪瀬浩平さんからお声がかかり、5月29日(木)に、対談することになった。

「大衆食堂の詩人、エンテツさんとの町談義~北浦和の歯ごたえ、北浦和ののど越し」「『大衆食堂の詩人』フリーライターのエンテツさん 北浦和はどんな街ですか?」(聞き手 猪瀬浩平さん)てことです。

詳しくは、こちら。
http://coocoobird.jimdo.com/live/

猪瀬浩平さんと初めてお会いしたのは、昨年11月、五十嵐泰正さんのゼミの「見沼たんぼ福祉農園」訪問に便乗したときだった。(2013/11/30「見沼田んぼ福祉農園を訪ねた。すごい充実した一日だった。」)

おれがココさいたま市見沼区東大宮に引っ越したのは5年前のことで、その前は10年間ぐらい北浦和に住んでいた。これまで、子供のころも含めて、同じところに10年住んだのは北浦和だけなのだ。

はたして、北浦和の歯ごたえとのど越しは、どんなものか。

それより、おれのほうが、北浦和の住人で、明治学院大学の教員をやりながら、見沼たんぼやら福祉やら、いろいろ活躍の猪瀬さんに聞きたいことがたくさんあるから聞きまくろうと思っている。

よろしくね。

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2014/04/19

東京新聞「大衆食堂ランチ」18回目、新宿・長野屋。

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昨日のことだけど、第3金曜日に東京新聞に連載の「大衆食堂ランチ」が掲載になった。今回は、新宿駅東南口の正面にある「長野屋」さん。こちら、東京新聞のサイトでご覧いただけます。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyoguide/gourmet/lunch/CK2014041802000172.html

011まいどのことだけど、サイトには、外観の写真が載っていないので、ここに掲載しておきます。いつものように正面から撮影した写真のほかに、ここならではの景色、すぐ横を走る甲州街道がJR鉄道をまたぐ陸橋の上から撮影したものを送ったら、新聞には陸橋の上からのものが採用された。新聞に載ったのは、同じアングルから、もう少しアップにしたもの。

本文にも書いたように、この食堂は、長年同じ値段でやってきたが、ついに今回の消費税増税にはかなわず値上げした。その貼り紙が、店頭と店内にあった。めしとみそ汁を除く、というあたりに、めし屋の矜持を感じた。お店の方もいっていたが、近年客が増えているのは、周辺にこういうめし屋がないせいか?

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「手作り」という言葉は使いたくないので、この言葉を使わずに「冷凍物」ではないということが伝わるように書いてみたのだが、なかなか難しい。とにかく、「手作り」だからよいとか、「冷凍物」だから悪いというのは、基準も根拠も明確ではない、情緒的な話なのだ。食事に情緒は不可欠だが、素材や料理法の問題ではない。

この連載、今年の初めに、月2回にしてもらえないかという話があって、「難しい」といったのだが、最近また同じ話があって、「難しい」と返事した。

2回になると、うれしいのだが、初めての食堂の場合(まだ少ないがこれから増える)、2回は行って食べて書くので、月2回となると、余裕がなくなるうえ体力的にも厳しいのだ。なにしろ70歳になると、大量に食べるのも疲れるし、都内へ行ってくるのも疲れるからねえ。トシですなあ。

ついでに、同じ場所から新宿駅西口方面を撮影した写真も載せておく。

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2014/04/17

3月15日の大盛堂書店@渋谷での速水健朗さんとのトーク。

春の風が心地よくボンヤリしていても、なにかと気ぜわしくしていても、時はさっさと過ぎていく。時が過ぎていくあいだに、出産予定が近付いている夫婦や、進行しすぎて手術も不可能な癌が見つかった知人もいる。まさに、世の中は、メシくってクソして、産まれたり死んだりだ。

ってことで、ひと月以上すぎてしまったが、3月15日に行われた、大盛堂書店@渋谷における速水健朗さんとのトークについて、メモを残しておこう。

すでに、その日のうちに、ツイッターという便利なものでつぶやいてくれた方がいるので、それを中心に補足しておきたい。

たかやましんいち ‏@shinichi_takaさん。存じ上げない方で、このツイートが縁でフォローさせていただいた。

たかやましんいち ‏@shinichi_taka 3月15日
https://twitter.com/shinichi_taka/status/444809112040538112

①これから本日渋谷大盛堂書店にて行われました遠藤哲夫氏(「大衆めし 激動の戦後史(ちくま新書)」著者)×速水健朗氏(「フード左翼とフード右翼(朝日新書)」著者)による対談で印象に残った話をいくつか連投します。鬱陶しい方はリムるなりミュートするなりしてください。

②速水「遠藤さんとは今日が初対面だが、ツイッター上では2年ほど前に私の著書「ラーメンと愛国(講談社新書)」を巡って議論をしたことがある。遠藤さんの著書「ぶっかけめしの悦楽(四谷ラウンド)」は「ラーメンと愛国」を書く際に参考にした。」

③速水「遠藤さんの「ぶっかけめしの悦楽」の中で、「カレーライスは日本の汁かけご飯の延長として考えるべき」という論が展開してあり自分の中でパラダイムシフトが起こった。」遠藤「日本の食文化を辿ると、元々はご飯と汁は分離していなかった。今でも雑炊という食べ方がある。」

④速水「「フード左翼とフード右翼」は主にフード左翼について書いているが、「ラーメンと愛国」はチキンラーメンを作った安藤百福など食品産業について書いていて、フード右翼本としても読める。」

⑤遠藤「私は60~70年代にはレトルト食品や冷凍食品産業に関わってきたし、80年代後半以降は反対に自然食に関わってきた。この両者に分断が起きているが、突き詰めれば「日々の食事をどうするか?」というところに行きつく。生活の中には選択肢が多い方がいい。」

⑥速水「日本のジャーナリズムではその業界にいた人が社会を正す目的で書いた内部告発のような記事や本が多いが、外の業界から眺めて書いた本の方が業界の常識に縛られていなくて面白い。ジョシュ・シェーンヴァルド著「未来の食卓(講談社)」は食業界の外からの視点で書かれた食の本。」

⑦遠藤「最近の読者の傾向は結論まで最短距離の文章を求める。あちこちに寄り道をするような文章は好まれなくなっている。」

⑧速水「TV、ラジオ、出版社の人が言うには、最近はドキュメンタリ作品の見られ方は新しい知識を得るためではなく、知っていることを確認する作業になっている、と。知らないことには興味を示さない。「あるある」ということにしか興味を示さなくなっている。」

⑨遠藤「最近の食の本で面白かったのは「かつお節と日本人(岩波新書)」。」速水「「ファッションフード、あります。(紀伊國屋書店)」、「雑食動物のジレンマ(東洋経済新報社)」、「うちのご飯の60年(筑摩書房)」も面白かった。」

⑩速水「次に書きたいのはキッチンの話。住居内のキッチンの位置は時代と共に変遷している。戦後の生活改善運動でキッチンも近代化された。藤原辰史さんの「ナチスのキッチン(水声社)」も面白かった。」

⑪以上です。長々と失礼しました。このまとめ読んで興味の出た方は遠藤さんの著書「大衆めし 激動の戦後史(ちくま新書)」、速水さんの「フード左翼とフード右翼(朝日新書)」をご覧ください。

以上。番号は、おれがつけた。おれと速水さんは、トークが始まる30分ほど前に大盛堂書店さんの控室で、初対面の挨拶をして話し合っているので、そのときの話と会場での話がごちゃまぜになっているのだが。

②について。『ラーメンと愛国』(講談社新書)が2011年10月に発売になった直後ぐらいに、ツイッターで議論になったことがある。これは、おれがこの本を買って、パラパラと見ただけで、ツイートしたことに始まったのだが、『ラーメンと愛国』では戦後のアメリカの小麦戦略にラーメンの普及の原因を求めている印象があったので、それは食文化的に見たらおかしい、アメリカの小麦戦略以前の日本における粉食や麺食を見なかったら、食文化史としては片手落ちになる、という趣旨だった。

すると、そのツイートが速水さんに見られて、反論というか、いやそうじゃないという話になった。これは、戦後の産業史のことで、食文化史のことではない、というようなことを速水さんはツイートしたと思う。

おれも、パラパラと見た印象でツイートしたことなので、そういえば、この本は食文化を論じているわけじゃないなと思い当たり、お騒がせしたことを謝った。ま、3ストロークぐらいで、おれが、ごめんなさいした。自分がうかつだと思ったことは、さっさと謝るのが当然だからね。

約、そのようなことだった。そのとき、③、速水さんは、おれの『ぶっかけめしの悦楽』から着想を得たというようなことも、ツイートしていた。『フード左翼とフード右翼』の「あとがき」でも触発された本に『大衆めし 激動の戦後史』をあげているのだが、速水さんは『ぶっかけめしの悦楽』を何人かの友人にすすめられたといい、「あの本、売れたでしょう」と。いやいや、とんでもない、おれの本は簡単には売れません。速水さんや友人たちのような読者が、じわじわ増えればうれしい。

おれは、『ラーメンと愛国』と昨年12月発行の『フード左翼とフード右翼』(朝日新書)を読み返し、さらに昨年11月ちくま新書から発行の『1995年』を読んでいた。ついでながら、おれの『大衆食堂パラダイス!』は2011年9月発行で、『大衆めし 激動の戦後史』は、昨年10月の発行だった。

『ラーメンと愛国』と『フード左翼とフード右翼』を続けて読むと、二つのことが気になった。一つは、政治や思想について、もっと身近な、というか、いかにも政治であり思想であるようなことではなく、なんにでも政治や思想は関係しているということから議論になってほしいという、速水さんの「願い」のようなものを感じたことだった。

もう一つは、『ラーメンと愛国』は食文化の話ではないけれど、あらためて読みなおすと、たとえば第五章ラーメンとナショナリズムには「反グローバリズムとしてのスローフード運動」など、『フード左翼とフード右翼』に通じる話が出ている。これは連続する二冊として読める。ということだった。速水さんに聞くと、どちらもその通りで、後者は④に関係する。

⑥⑦⑧に関連しては。近年ますますの傾向として、ライターはインサイダー化しているし、読者も安直にインサイダー情報を求めるようになっていることについてだ。あるカテゴリーの業界、企業、あるいは飲食店の内側に入り、あるときは「礼讃」あるときは「告発」、どのみち業界や企業や店の顔色を気にしている。

これは、⑦⑧とも関係する。速水さん、自分は「あきっぽいから」と言っていたが、『ラーメンと愛国』『フード左翼とフード右翼』に『1995年』を合わせて読むと、外側から横断的に見た、「現代風俗批評」「現代文明批評」といったおもむきでもあり、これだけ幅広く論じられるひとは少ないだろう。

いろいろな現象と文脈と位相をつなぎあわせ、対象を読み解いていく。その方法は、おれにも共通するところがあって、おれは「三題噺」のようによりあわせるといったが、とにかく、いくつもの関係なさそうな文脈と位相をつなぎあわせて「考える」。そこでは、安直な「結論」より「考え」て発見することが重視されている。文脈や位相を読み解くことは、「考える」ことにつながるのだ。

ところが、近頃の読者は、コンビニやスーパーで買い物をするように「結論まで最短距離の文章」を求める。速水さんは、価値観の異なることや新しい知識を本に求めるより、本の中に自分と同じものを見つけ確認し安心したがる傾向がある、というようなことも言っていた。なるほど。

控室の打ち合わせでは、本屋さんでやるトークだから、本の話をしようということだったが、トークが始まってみれば、そのことを忘れて、どんどん話がはずみ、終わり近くなって本の話になった。⑨⑩

トークの予定時間は1時間で短かったが、おれは雑談的なトークが好きなので、けっこう楽しかった。

もう一人、碇本学 ‏@manaviewさんのツイートから。

碇本学 ‏@manaview 3月15日
https://twitter.com/manaview/status/444769995810029568

①大盛堂書店さんで遠藤哲夫×速水健朗トークイベント「食の周辺を語る」行ってきた。食の周辺の真ん中にいて大衆めしについて書かれた遠藤さんと真ん中ではなく周辺に関することを書かれている速水さんの対談。

②速水さんは『ラーメンと愛国』に続いて『フード左翼とフード右翼』と食に関するものが二冊出たのはたまたまらしく、どちらにも入れようと思って書かなかったキッチンについての話は興味深かった。GHQが田舎の家の台所を調査して生活改善として今に繋がるキッチンを日本に入れたとか。

③『ラーメンと愛国』では阿部和重著『シンセミア』同様に戦後日本における小麦食がGHQから、日米の関係から普及したことを戦後日本の縮図のひとつとして書かれていたけど、そうかまずはキッチンが台所が変えられたのか。『奥様は魔女』とかでテレビによってアメリカ式生活に憧れを持たしたのも繋がる

以上。トークのお題は「「食」の周辺を語る」だったが、速水さんは、食の外側や周辺から広く横断的に見ている、おれは食の真ん中つまり料理、料理のさらに真ん中「生活料理」から全体を見て考える。その二人のトークだった。

飲食も料理も、政治や思想が深く関係している。という点については、不十分なトークだったな。「日本料理」なんぞは、じつに政治と思想そのものなのだが。

打ち上げの飲み会でも面白い話があったが、省略。

速水健朗 ‏@gotanda6さんは、碇本さんのツイート①に対して、このようにリツートしていた。
https://twitter.com/gotanda6/status/444787963847667712

アットホームで世界に冠たらないいいイベントでした。RT @manaview: 大盛堂書店さんで遠藤哲夫×速水健朗トークイベント「食の周辺を語る」行ってきた。食の周辺の真ん中にいて大衆めしについて書かれた遠藤さんと真ん中ではなく周辺に関 pic.twitter.com/EdNIzP1dFo

「世界に冠たらない」は、トークのときにおれが「鰹節を削る音は日本の台所特有の世界に冠たるものだというようなことを言っている料理研究家がいるのだけど」といったら会場がドッと笑ったことからで、なにかというと、鰹節の削る音にまで「世界に冠たる」をつける、おかしさ。

とりあえず、こんなところで。

『ラーメンと愛国』と『フード左翼とフード右翼』を一緒に読むことを、おすすめします。

(4月18日追記。速水さんは、本(出版?)は変わるし、変わらなくてはならない、というようなことをいっていたが、そのことについて、もっと話したかった)

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2014/04/09

15、20、30、銀座ウエスト。

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『四月と十月』30号が発行になった。おれの連載「理解フノー」は12回目、「クサイ話」のタイトルで、これまでほんの少しのひとにしか話したことがないネタで、クサイ話を書いている。

次号も、このネタがらみを書く予定。どんなネタかって?そりゃもう、面白いんだけど、読んでもらうしかないね。

それはともかく、『四月と十月』は30号で、毎年4月と10月に発行してきたから(少々ずれこんだ号もあるけど)15周年記念号でもあり、表紙も色刷りだし、記念特集をやっている。

ひとつは、編集・発行人の牧野伊三夫さんが「『四月と十月』、この五年」を書いている。20号のときに10年をふりかえっているので、その後の5年のことだが、この5年間は大変だったわけだ。

『四月と十月』は、美術系同人誌であり、同人誌というのは経営が難しい。経営なんぞない、という感じのものも少なくないようだ。無軌道経営も同人誌のひとつのありかたかもしれない。しかし、大金持ちがついていないかぎり、長く続けるためには経営の安定が必要だ。

牧野さんは、この5年間に諸々の対策の結果「赤字は消え会費のみで発行できる体制が整い、継続の目途が立った」と書く。牧野さんは2年連続でADC賞を受賞したり、人気はうなぎのぼりで忙しくなるなか、あらたに四月と十月文庫も発行、画家としてすごいだけじゃなく、経営能力も人並み以上のようだ。

おれはといえば、連載はさせてもらっていても同人ではなく、四月と十月の台所事情に関係なく、ちゃんと原稿料までいただいている。どうもすみません。

記念特集のもうひとつは「十五年前の私」で、同人と連載陣などこの本に関わる人たちが参加している。おれも寄稿したが、15年前の自分の写真と文章だ。おれは最年長だから、15年前は55歳だったけど、若い同人で活躍も華々しいミロコマチコさんなんぞは18歳で高校3年生!

なにはともあれ、30号15周年を祝福したい。表紙の作品は加藤休ミさん。

おれが牧野さんと初めて会ったのは、2001年のことで、そのとき引き合わせてくれた、牧野さんと同じ北九州市出身の安藤聡さんは、一昨年他界された。

2007年、北九州市『雲のうえ』5号の食堂特集の取材で北九州を訪ね、編集委員の牧野さんも一緒で門司へ行った。そのとき、安藤さんが高校時代によく入ったという、お好み焼き「梅月」さんの前から安藤さんに電話をした。牧野さんとおれは交代で楽しく話をしたのだが、安藤さんは手術をしたあとだった。その後、回復して酒も飲めるようになったというから、それじゃまた3人で飲もうといっていた。お互い忙しくしているうちに、思いがけなく体調が悪化、帰らぬひとになってしまった。

002さてそれで、その『雲のうえ』20号が、3月に発行になった。こちらは年間の発行回数に変動があるので、きちんと何周年記念というわけにはいかない。

あいかわらず注目されている本誌だが、最近、東京・渋谷のヒカリエ8Fにある「d47 MUSEUM(ディヨンナナミュージアム)」の第9回企画展「文化誌が街の意識を変える展」に、「雲のうえ」が福岡県代表として、また「文化誌」の先駆け的な存在であり、この展覧会を代表する「雲のうえ」として展示されているらしい。

今号は「集まれば、仲間!」という特集タイトルで、北九州のサークルや部活の紹介だ。おれとしては、星琳高等学校の「フードホームクリエイション部」ってのに興味を持った。「食は故郷を救う、か?」って、タイトルもよい。

それはともかく、うれしかったのは、大谷道子さんが、文を担当し復帰していることだ。大谷さんは、創刊から、おれが5号の文を担当した当時の編集委員だったが、その後体調を崩され離れていたのだ。よかった、よかった。

今号の写真は、長野陽一さん。

そうそう『雲のうえ』のアートディレクションを担当している有山達也さんは、『四月と十月』の連載陣の一人でもあるから、「十五年前の私」にも寄稿している。それによると、大谷道子さん出会ったのが15年前で、そのときの本の仕事で長野陽一さんと会うことになったという話があった。

なんだか、いろいろつながっているのだが、まだある。

003木村衣有子さんに、最新刊、4月10日発行の『銀座ウエストのひみつ』(京阪神エルマガジン社)をいただいた。

木村さん初めての「企業取材もの」だそうで、まえがきにあたる文のタイトルが「「ウエストらしさ」とはなんだろう」というものだ。これは一見、ウエストの、いわゆる「企業文化」や「CI」について掘り下げた「ビジネス書」のような感じだが、木村さんが書くのだから、ビジネス書ではない。だけど、ビジネス書として読んでも、有用な気がする。

おれとしては、そのビジネス書として読んでも有用な気がするところが引っかかってはいるのだが。「タイアップもの」のような感じもある。

帯に本文からの引用があって、「「ウエストらしさ」とはなんだろう。/真面目さ。/折り目正しさ。/おいしさ。/それはどこに宿っているんだろう。」と、おれからは最も縁遠い言葉が並んでいて、気分は引き気味で、ボチボチ読んでいる。おれにとって、この内容は難しいから、よく考えながら、少しずつ読んでいる。

しかし、おれがこのような印象を持つということは、世間はちがうと思う。売れそうだ。いまどき受けそうな内容で、売れるのを期待したいね。

この本のアートディレクションが、有山さんで、表紙や本文中にある写真は、四月と十月同人で『雲のうえ』の写真でも活躍している久家靖秀さんなのだ。もう、心憎いほどの、うってつけのビジュアル。

こういう感じのビジネス書があってもよいじゃないか。これからのセンスのよいビジネスマンは、こういうビジネス書を読むべし。とかいってみたくなる。

気をつけなくてはならないのは、こういう「企業哲学」の本を読んで影響を受けると、人間の感覚や精神など丸ごと「搾取」されかねないことだろうか。近頃は「感情労働」なる言葉もよく見かけるが、「企業のありかた」と「人間のありかた」の関係は難しい。「誠実」「真摯」に生きながら、失敗したくない、成功したい、を軸にしている人たちには、大いに有用だろう。

『雲のうえ』と『銀座ウエストのひみつ』、どちらも有山さんのアートディレクションなのだが、このちがいが、おもしろいと思う。最近の『雲のうえ』の表紙は、とくに気になっている。

最後の写真は、昨日、近くの小学校の、入学式の日。花に嵐と、桜は、かなり散ったあとだったが。

出がけに、小学校の正門の前を通ったら、なにやら入学式に参加するらしい親子が行列していた。その中に、酒場で会うひとがいて、おおっ、と挨拶をし立ち話。正門前で子供の写真を撮るために並んでいるのだとか。奥さんも一緒で、うれしそう。いいねえ、素直に喜べる、こちらの気分も晴れ晴れ前向きになるのだった。

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2014/04/04

エンテツの十日町"田んぼ"見て歩き。

「にほんいちプロジェクト」の「エンテツの愛しい俺の米たちよ」に、ひさしぶりにアップしました。

「エンテツの十日町"田んぼ"見て歩き。」その1から、その3まで。
http://www.nippon1-project.com/790

まだまだ続きます。

これは、書くのが難しく、やっとここまで書いた。何が難しいって、「にほんいちプロジェクト」は基本的にプロモーション広告のサイトだから、十日町コシヒカリのよいところをあげつらね礼賛していればよい、ということもあるけれど、しかし、そういうもんじゃない、これからの米作や農業は、生産者と消費者の関係をどう築くか、ってことを抜きにできないのだ。と、キマジメに考えると、どう書くか、苦労するわけ。

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