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2014/12/04

メモ、「セルフサービス」の功罪。

最近のニュースにあったが、イオンの完全子会社になったダイエーは、ついに上場を廃止、店名も消えることになった。

中内功が「主婦の店ダイエー薬局」(ダイエー1号店)を立ち上げたのは、1957年のことで、それからダイエーと中内功は、当時の「流通革命」の先駆、旗手として注目をあびた。

この流通革命を担った店舗は、一般に「スーパーマーケット」として認識されているけど、その中核となるノウハウは、「チェーンオペレーション」と「セルフ・サービス」だった。

そして、セルフ・サービスということなら、青山の「紀ノ国屋」がダイエーより早く、1953年に導入していた。

紀ノ国屋のサイトの「紀ノ国屋の歴史」によると、「紀ノ国屋は1910年(明治43年)、青山の地で、果物商としてスタート」、1953年には「レジで精算。新しい買い物スタイルを導入」の見出しで、「当時の一般的な商店にはレジスターはなく、代金は「溜め銭」というザルで代金のやり取りを行っていました。お客様自ら商品を選び、レジで精算する日本初のセルフサービス・スーパーマーケットを東京・青山に開店。」
http://www.e-kinokuniya.com/紀ノ国屋の歴史/

なぜか、この歴史には書かれてないが、紀ノ国屋は、2010年にJR東日本の完全子会社になっている。

「高級スーパー」としてやってきた紀ノ国屋とダイエーとでは、路線というか戦略が異なり、紀ノ国屋は日本セルフ・サービス協会の、ダイエーは日本チェーンストア協会のリーダーでもあったのだが、どちらも50年から60年の歴史で身売りすることになった。

とにかく、日本にセルフ・サービスのスーパーマーケットが出来て、約半世紀が経過した。

セルフ・サービスの導入は、流通の革命であり革新であったが、それが生活の文化や食の文化に、どのような影響を及ぼしたか、まだ十分に検討されていない。

「文化」というのは、「主観」のカタマリ、あるいは「主観」の束であり、それが、「お客様自ら商品を選び、レジで精算する」ことで、どのような変化があったのだろうか。いまを生きる人たち、おれやあんたの、脳ミソの中身にも関係していることだ。

2008年、当時はまだ、日本セルフ・サービス協会会長と紀ノ国屋社長だった増井徳太郎が、『食品商業』6月号のインタビューで、「われわれの50年間は、セルフサービスを定着させた一方で、お客さまの買物行動を良くも悪くも変えてしまったように見えます」と述べている。

セルフ・サービスは、客が自分で商品を手に取り、自分で選ぶことができるわけだが、当初は、「お客さまは売場に積んである商品を上から順番に取っていくのも当たり前でした。これはすなわち、お客さまは、自分が買物する店の鮮度や品質に絶対的な安心感を持っていたのですね」

ところが、「いつからか、お客さまは、後ろの商品から取ったり、一番下に積んである商品から選ぶような買物行動が見られるようになっていった」

「一番前にある商品が古いというわけではないのですが、"過剰"ともいえる鮮度志向が進んだように思います」

偽造は許されることではないが、「しかし、製造者、発注者、販売者それぞれが当事者としての責任を自覚し、過度な要求はなかったかと振り返らないといけません」

「過度な要求といえば、先述した鮮度、表示に対するお客さまの過剰意識もこういった事件(エンテツ中=偽装表示など)の契機にもなったともいえると思うのです。従ってお客さまへの啓蒙も含めて見直さなくてはならないと思います」

このあたり、「過剰スペック」などについて、お客さんたちは、どう考えているか気になるところだ。良くも悪くも変わってしまった消費者としての自分を、どう認識しているのだろう。

「大切なのは、食材でなく、食文化や食生活なのです」という指摘もあるが、これからよく考えなくてはならない課題だろう。

食材や食べ物については、情報があふれている。それも、生産者やメーカーサイドからの「いいもの」情報や知識が圧倒的に多い。生産者やメーカーや販売者が、「いいもの」のために努力するのは、当然のことだろう。

だけど、生活や文化は、「いいもの」を揃えればよいというものではない。いい画材を揃えれば、いい絵が描けるわけじゃないように。

「いいもの」が揃っていても、質の悪い生活や文化で過ごしているひとは、いくらでもいる。「成金趣味」なんていう言葉があるようにね。最近の「成金趣味」は、「ナチュラル」やら「手作り」やらなんやらで、かつてのようにギラギラではないらしい。

それぞれが、どんな生活の絵を描くか、それによって、選び方も変わってくるはずだ。その絵を描くための情報や知識は、どうだろう。まずは、「いいもの」から「いい生活」が得られるという、ありがちな錯覚を捨てることか。

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