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2015/06/16

『てくり』と『入谷コピー文庫』の10周年。

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先日、都内へ行ったついでに、古書ほうろうに寄ったら、『てくり』の最新20号があったので買って来た。表紙に「10th anniversary」のマークがついて、特集タイトルが「続けるひと」。10周年らしい。

そうか10年かと思いながら、家に帰ると、堀内恭さんから郵便が届いていた。開けると、中から「入谷文庫10周年記念号」のマークが入った、入谷コピー文庫の最新号だった。おお、堀内さんも10周年か。

10年が長いか短いかわからないが、あきっぽく、執着心が無さすぎるし、そもそも怠け者で、同じことを長く続けたことがないおれからすると、この2冊の10年は、とても真似できない長さだと思う。

よく続くなあ、そのエネルギーは、なに?どこからわくの?という感じ。

003001『てくり』は、すでに何度か紹介しているが、「伝えたい、残したい、盛岡の「ふだん」を綴る本」がキャッチ・フレーズであり、木村敦子さん率いる「まちの編集室」の編集・発行だ。いわゆるリトルプレスだが、フリーペーパーではなく、販売している。

それで10年20号。すごいですねえ。しかも、編集もデザインもよい、内容もよい。かなり、よい。

『てくり』を初めて手にしたのは、2007年夏のことで、木村衣有子さんから彼女が表紙モデルの5号をもらってだった。そのあと、古墳部の旅で青森へ行き、帰りにサキさんのいる盛岡に寄った。そのとき、駅ビルにあった、さわや書店で、バックナンバーの3号と4号があったので買い求めた。というふうに、バックナンバーが欲しくなる本だったのだ。

そうそう、古墳部の旅で青森へ向かうとき、木村さんからもらった『てくり』を持って行って、当時話題になっていた北九州市の『雲のうえ』編集委員の牧野伊三夫さんが旅で一緒だったので見せて、「すごい」「すばらしい」「いいよね」なんて言いあったのだが、もう牧野さんは忘れているだろうな。ま、とにかく、無神経なおれが、初めて手にして、コーフンしたのは、確かだ。

今号の「「てくり」創刊のこと。」によれば、創刊の相談は2001年の夏、デザイナーやライターなどが、「何か仕事以外に主張できる冊子をつくろうと集まった」のが最初だそうだ。

はあ、おれのような怠け者は、そんなこと考えただけで面倒になり、酒飲んで寝てしまう。

入谷コピー文庫も、すでに何度か紹介した。拙著『大衆めし 激動の戦後史』に収まっている「現代日本料理野菜炒め考」は、この文庫の7冊目で、06年5月の刊行なのだ。

この文庫は、拙著『ぶっかけめしの悦楽』の編集者である堀内恭さんが、妻の和代さんと共に結成の「堀内家内工業」が発行する。この発行システムが変わっているのだ。

堀内さんから声をかけられた、厳選された著者は、ワープロソフトでA4サイズの原稿を仕上げ(つまり工程的には、編集、校正、版下作成をやり)、堀内さんに渡す。ページ数は、ホッチキスでとめられる厚さの範囲内。表紙は堀内さんのほうで制作し、10数部ほどコーピーし、製本する。配布は、堀内さんの判断で、適時厳選された人に渡る。

もう、『てくり』とは真逆の、貧乏くさい見た目であり、やりかたなのだが、これで、10年、プレ創刊を入れて61冊だそうだ。

1冊目が、安部清司さんの聞き書きによる「谷よしの映画人生 天の巻」で、以後、いろいろな愛好家が、いろいろな分野を掘り下げて、見た目からは想像できない充実した内容。資料性も高い。

004通巻60号の10周年記念号は、『ナンバー』初代編集長でミズノスポーツライター賞選考委員の岡崎満義さんによる「スポーツこぼれ話」だ。「長島茂雄さんの言葉」「輪島功一さんの観察力」など、この著者ならではの面白い話が満載。

しかし、堀内さんは、この10年間に、いろいろあった。おかあさんが倒れ、続いておとうさんが倒れ、堀内さんはフリーの編集業を介護離職状態で、郷里の高知と東京を往復する生活。そして、おとうさんが逝かれた。堀内さんも、おかあさんの介護を続けながら、体調万全ではない。そんな中で、10周年。

おれは、堀内さんから毎年年賀状いただいたり、コピー文庫を送ってもらったりしながら、返信一つ出さず。もう、対極的なだらしなさが際立つ。

てくりの木村さんも、入谷文庫の堀内さんも、すごいエネルギーというか、なんというか、なんというのだろう、「こだわり」「執着」といった安っぽいものではなく、とにかく、すごい10年だなあと思うほかない。

『てくり』創刊号の表紙モデルの女性は、もうすぐ2児の母。おれは、ただの飲んだくれで、72歳になってしまった。だらしなく過ぎているだけの、「続けないひと」のおれは、どうしたらよいの。

とにかく、未来のために、祝10年!

『てくり』御存じでない方は、是非こちらのサイトを。
http://www.tekuri.net/index.html

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