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2015/08/23

東京新聞「大衆食堂ランチ」34回目、横浜・いちばん。

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おれの関心は「近代日本食のスタンダードとは何か」だと、たびたび言ってきたのだけど、東京オリンピックのエンブレム「盗作疑惑?」をめぐっての、ああでもないこうでもない話を見ていると、スタンダードな文化の欠如というのか未熟というんか、そういう社会の切なさを感じる。

「近代日本食のスタンダードとは何か」ということは、「近代日本文化のスタンダードとは何か」と大いに関係するのだな。これほど、デザインに囲まれて暮らし、デザインに一過言あるひとも少なくないのに。はあ、切ない切ない。と、夏は過ぎてゆく。

先日、横浜市の戸塚の若者と「横浜」とはどこか、という話になった。それで、いわゆる関内関外じゃないだろうか、むかしの中区、いまでは中区と南区と西区あたり。おれにとっては、やっぱり、関内より関外、野毛から、関内駅の西側、伊勢佐木町、横浜橋商店街あるあたり、大岡川沿いから高速道下の運河沿いに囲まれたあたりかなあ、ってことになったのだが、近年はめったに行くことがない。東大宮から、上野東京ラインができたとはいえ、遠いから。そもそも、老化と共に、だんだん出無精になっていることもある。

いきなり話がそれたが、昨日は第三金曜日で、東京新聞に連載の「エンテツさんの大衆食堂ランチ」の掲載日だった。今回は、横浜は南区真金町の「いちばん」だ。すでに東京新聞のサイトでご覧いただける。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyoguide/gourmet/lunch/CK2015082102000179.html

いちばんは、このあたりでは大人気の食堂で、この近所におれの知り合いが二人住んでいたのだが、どちらも、自分の家のように大変自慢していた。一人は、おれより若くして死んでしまったが。今回、キスと野菜の天ぷら定食702円を食いながら、そいつのことを思い出してしまった。以前、そいつと、15時までのサービスタイムではないときに、天ぷら盛り合わせを食べながら、酒を飲んだことがあるのだ。天ぷら盛り合わせも、すごい量だった。

いや、たしかに、自慢したくなる気持は、わかる。

酒も充実していて、昼間から飲めるし、どうみてもあまり出世に関心がなさそうなサラーリマンが、昼下がりに一人で、ネクタイゆるめてスマホをいじりながらビールを飲んでいる姿は、なかなかよいものだ。日曜日ともなると、近所の子連れの家族も、ゆっくりくつろいでいる。

月並みに「横浜の下町」なーんて言いたくなるのだが、確かに、このあたりは、川や運河の「低地」であるが、東京低地にはない「下町」の雰囲気があると思う。というと、「港町横浜」だからかと、やはり月並みに思ってしまうのだが、確かに港は関係あるだろう。

それは、「工場労働者の下町」と「港湾労働者の下町」のちがいのようなものではないかと想像してみるのだが、イマイチ具体性に欠ける。ちょっと通ったぐらいでは、なかなかわかるものではない。

とにかく、関内が選良文化の地域とすれば、いわゆる風俗ゾーンやドヤ街も含むこちらは、普通のスタンダードな文化の地域として見ると、なかなかおもしろい。スタンダートは、選良のキレイゴトと背中合わせの「汚い」ことやマイナスのイメージを引きうけながら、新しい建設的な役割を担ってきた。スタンダードには、善し悪しでは割り切れない、複雑な蓄積があって、そこに創造の可能性があるのだ。

いちばんで、そんなことを考えてみるのも、愉快だ。

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