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2016/01/19

東京新聞「大衆食堂ランチ」39回目、浅草 水口食堂。

先週の15日は、第3金曜日で、東京新聞に連載の「エンテツさんの大衆食堂ランチ」の掲載日だった。今回は、浅草の水口食堂で、すでに東京新聞Webサイトでご覧いただける。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyoguide/gourmet/lunch/CK2016011502000157.html

浅草には、いくつも食堂があって、歴史も古い有名店の「ときわ食堂」については、以前に紹介している。ときわ食堂は、浅草寺の正面、雷門の近くにある。こちらは観光客や参拝客でにぎわう地域だ。

水口食堂も、ときわに負けない人気店だが、浅草寺の西側、昔の6区を中心とする地域で、雷門側とは趣がちがう。

前から、いつかここの「いり豚」のことを載せたいと思っていた。このメニューが残っている食堂は少なくなった。

「いり豚」は「炒り豚」であり、タマネギと豚肉を炒め、店独自の味付けをしたものだ。

この連載の最初の天将にもあって、そのときは「ステーキ」を載せてほしいとの新聞社からの注文でそうしたのだけど、瀬尾幸子さんとの共著『みんなの大衆めし』などでは紹介している。

水口食堂のいり豚と天将のいり豚は、味がちがう。それは、仕上げのソースの味のちがいだけではなく、炒め方のちがいもあるようだ。ちがって当然だが、料理的におもしろいことだとおもう。

そこにも書いたが、いり豚を食べると、中華鍋などでタマネギと豚肉だけをさっと炒めスープを加えて煮立て、カレールーをといただけのカレーライスのことを考える。これを食べさせる食堂が深谷にあったが、いまでもあるかどうか。ほかに、ときどき中華が中心の大衆食堂で出あうことがある。

単純だけど、単純なだけに、料理的には奥が深いようで興味がつきない。

話は、変わるが、関係なくはないこと。

『dancyu』のラーメン特集、「立ち食い蕎麦」の坂崎さんとのトークもあって、「単品グルメ」についてあらためて考えている。

単品グルメは、ラーメン、カレーライスあたりから沸騰した。いわゆる「B級グルメ」という分野だけど、1980年代の後半からだろう。その後いろいろあるが、ようするに単品をテーマにした食べ歩きや食品の批評、その雑誌の記事や本など、メディアを含めた現象をさす。

なぜこのような現象がにぎやかになったのかもおもしろいが、それはともかく、「いり豚グルメ」は、これをメニューにする店も少なくファンも少ないから成り立たない。

だけど、水口食堂と天将のいり豚を比較し批評することは容易だ。

しかし、立ち食い蕎麦屋で評判の高いA店と水口食堂と人気のラーメン店のB店を比較するのは難しい。

そこに単品グルメが成り立つ、落とし穴があるようだ。どういう落とし穴かは、そのうち書いていくとして、単品のモノを比べるのと、単品のモノから店をみるのと、店からモノをみるのとでは、だいぶちがうわけだ。

ところが、書くひとによって、そこに、おなじ論理が働いていることがある。そこを考えると、とてもややこしい。書いているひとが、「産業論」と「技術論」と「経営論」と「文化論」と「食品論」と「料理論」と「味覚論」などや、はたまた「人間学」的なこと、などなどをごちゃごちゃにし自分に都合のよいように解釈するからだ。ま、ふりかえってみると、おれもそんなことがないわけじゃない。

あらゆるモノゴトは、「事情」を抱えて成り立っている。「事情」とは、矛盾のことで、リアルであるとか、キレイゴトであるとかないとかは、矛盾をどう把握しているかによるだろう。

ところが、単品グルメとなると、そのあたりが、キレイに整理されてしまう。そのうえ、いいものを語っていれば、いいものだけが生き残り全体がよくなる、といったような、オメデタイ「自然淘汰説」が露骨に機能していることが少なくない。

店の大小に関係なく、1等立地で、親の代からの商売、しかも親の財産も太い、政治業界でいうところの「地盤・看板・鞄(カネ)」のサンバンで呼ばれるものが揃っている店と、2.5等や3等立地で、地盤も看板も鞄もなくやっている店を、どう比べるべきか、単品グルメでは、そのへんの事情は無視されやすい。

2.5等や3等立地の店では、1等立地でサンバンが揃っているような店と同じ材料や人材を使えないのは当然だ。相手にしてくれない仕入れ業者だっている。そういうところで苦労し工夫をこらしている店は、あまり注目されない。

書く方も、こういう店を相手にしていては、自分のネームバリューも上がらない。かたい評価のあるサンバンにすりよっていくのは、政治業界に限らずよくあることなのだ。

いり豚というのは、時代的にみれば、日本全体が2.5等や3等立地的存在だったころのメニューだ。これを食べるときは、いろいろな「事情」を考える。時代も人も、いろいろな「事情」を抱えながら働き生きている、ってことだ。

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