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2016/09/01

リトルプレス『北海道と京都と その界隈』。

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北海道の森末忍さんから、『北海道と京都と その界隈』をいただいた。

発行は、札幌の「畠山尚デザイン制作室」であり、森末さんと畠山さんが2人で始めたものらしい。

今年の4月号が創刊で、「その界隈スタッフより」には、「京都好きの北海道人と北海道移住者が、実はデザインする人と編集する人でした。そのまかない飯の持ち寄りみたいな感じで出来上がったリトルプレスが、この「北海道と京都と その界隈」です」「京都と北海道の自分たちの周りにあるネタが中心ですが、少々それ以外も「その界隈」ということで少々混じります」とある。

森末忍さんは、「ディレクター•プランナー•編集者」という肩書だけど、北海道の弟子屈町で「器とその周辺 山椒」という、工房?ギャラリー?ショップ?よくわからない、とにかく八面六臂の活躍をしている方だ。

森末さんとは、インターネットの縁だけで、まだお会いしたことがない。たぶん、そのうち、大宮のいづみやで飲むことになるだろう。

リトルプレスにもいろいろあるが、「何となく本能にまかせて作り始めてしまいました」と森末さんがいうように、いかにもな、狙っている感じやクサイ戦略が臭うことなく、好きに大らかやっているなあという感じが、とてもよい。

この版型は何というのだろう。A3の変形のようなサイズも、大らかでいい。北海道だぞ~、でも京都だぞ~、という感じもある。創刊号の最初の見開きは、「冷やすと、美味しい北海道。」「温めると、美味しい京都。」と広告クリエイティブのような誌面になっている。これも、大らかだ。とにかく、どのページもコセコセしてない。

そのつぎの見開きは、バーンと「すごい人に会いに行く」で、京都の「酒器 今宵堂」の上原連さんと梨恵さんが登場している。

今宵堂は、いろいろなメディアで紹介されている有名店だが、このインタビューは、いままで目にした今宵堂の紹介のなかでも、もっとも今宵堂らしさがわかるし、納得のいくものだった。

とくに、たぶんインタビューの結果を原稿にまとめた森末さんの結びが、効いている。長くなるけど、引用しよう。これで、話の内容も想像つくのではないか。

「楽しくお話を伺った我々は、一緒に鞍馬口の力餅食堂にお昼を食べに行きました。そこには京都の日常があって、真面目に働く人がいて、力強く食事する人がいる。この日常の延長線上に、今宵堂の酒器があるんですね。商いに対する考え方、お客さんとの関係、京都での暮らし方、全てがあの酒器につながっているんですね。/我々はその時、京都の、おふたりの日常に同化できていることが、とても幸せでした。今宵堂の酒器が、さらに好きになった瞬間でした」

ついでだけど、力餅食堂は、京都大阪あたりに何店舗もある、たぶん暖簾分けで増えた古い大衆食堂だ。誌面の今宵堂のおふたりが写っているのも、力餅食堂の前。

「すごい人に会いに行く」のつぎの見開きは、「朝餉 朝めし 朝 ごはん」。弟子屈での朝食が、器と料理と文章で並ぶ。大きな誌面だからできるのだろう、広告デザインとエディトリアルデザインがうまいぐあいに同居しているようなアンバイだ。

この料理と器のセンスが、なかなかのもの。そのわけは、次号、6月号の、「リトルプレス三昧」のコーナーを見るとわかる。このコーナー6月号では、「画家なのかプロデューサーなのか、牧野伊三夫さんの視線」ということで、牧野伊三夫さんの仕事と界隈の話なのだが、そこに、森末さんの奥さんは、船田キミエさんのお弟子さんだったことが書いてあるのだ。

森末さんが牧野さんの存在を知ったのは、『雲のうえ』創刊と同時期に刊行された『酒のさかな』。この本は現在ちくま文庫になっているが、高橋みどりさんが船田キミエさんのレシピを記したもので、牧野さんは、挿絵を描いている。というつながり。

「そこに立つもの」、写真家・酒井広司さんのことばの記録、というのが、すごくよい。ここに載っている写真は、北海道のどうってことない、気にもしないで通り過ぎてしまう、ただの民家や、ただのガソリンスタンドだ。そこに、酒井さんの言葉が散らばっている。

誰が見てもフォトジェニックな対象を写したものや、評判のよい話題にできそうなキャッチーなネタを探し出して書くことは、ごく普通にやられている。

だけど、どうってことないものに、何かを見つける、これは、簡単ではない。普通の普段の暮らしの中にある「大衆食」なんぞを対象にしているおれなんぞが、毎度チャレンジしては悩むところでもあるのだけど、酒井さんの言葉は、大いに刺激になった。

「この北海道という土地が醸し出す、なんかわからないものを、写真という形に表すこと、それが僕の中では写真をやるっていうことになるんじゃないかな」

ほか、「妄想の寺町」「北海道ドライブイン紀行」など、路上観察的にも面白い内容が載っている。

ところで、2号目、6月号の「リトルプレス三昧」の「画家なのかプロデューサーなのか、牧野伊三夫さんの視線」では、牧野さんが関わる、美術同人誌『四月と十月』、北九州市のPR誌『雲のうえ』、飛騨産業のPR誌『飛騨』を写真で紹介しているけど、本文のほうは、これらの紹介ではなく「マキノマジック」の紹介と分析?にあてられている。

そこには、おれの名前も出てくるのだが、「マキノマジック」、面白い。

ということで、大ざっぱな紹介になったけど、『北海道と京都と その界隈』を、ご覧なってください。このサイズで16ページ、500円です。同人も募集していますよ。

こちらに誌面の詳しい紹介などがあります。
https://www.facebook.com/sonokaiwai/

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