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2018/08/31

スペクテイター42号「新しい食堂」。

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スペクテイター42号「新しい食堂」が発行になった。早いところでは、今日から書店に並んでいる模様。

自分の本ができたときでも、たいしてコーフンしなかったおれが、この本を手にして、すごくコーフンした。身体がふるえた、といいたいところだが、気分だけ、身体がふるえた。

こういう食堂の本が欲しかったし、こういう本が欲しかった。

おれは、「結局、食堂って何?」という論考のようなものを寄稿している。

それと、当ブログの2006年6月28日のエントリー「ありがとね」が、物干竿之介さんの構成と画によって、「食堂幸福論2 ありがとね」になっている。こんな、一昔以上前に書いて忘れていたエントリーを見つけたのは、編集の赤田祐一さんで、ほんと、このことだけじゃない、赤田さんの仕事っぷりはすごいものがある。

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その赤田祐一さんと打ち合わせで会ったのは、5月24日だった。スペクテイター40号の「カレーカルチャー」の打ち合わせで会って以来だった。一年ぶりぐらいだろう。またもや大宮まで来てもらった。

3、4時間ぐらい話したかな。ああでもない、こうでもない、ああだろう、こうだろう。まだ企画は固まりきっていなくて、最初は「日常」「日常食」という言葉がとびかっていた。それから、近ごろの食をめぐる、さまざまな動向に見られる「変化」のことなど。

「日常食の冒険」という感じから「食堂幸福論」みたいなものになり、メールのやりとりもあって、おれは「食堂考現学」のようなものを書くことになった。

そのときすでに登場する食堂は決まっていた。できあがったものを読んでみて、じつに食をめぐるイマを象徴するような食堂ばかりだと、再認識した。

しかし、おれが原稿を書いているときは、食堂の取材がどんな内容になるか、まったく見当がつかない。おれの原稿内容が、あまりにズレているとマズいなあと、最初は心配し、すぐに忘れ、とにかく28枚書いた。

ほんとうは、70年代ぐらいまでを書き込みすぎて、80年代からの動向は概括的になってしまった。結果的に、その方がよかったようだ。登場する食堂の方の話のほうが、80年代以後のイマを生きる話として、素晴らしいからだ。

いわゆるグルメな食堂めぐりとは違う。徹底取材というのは、こういうことだろう、時間をかけ、いろいろな角度から突っ込んだ取材が行われている。

「食堂は人なり」の大扉。「ウナカメ」の丸山伊太朗さん、「按田餃子」の鈴木陽介さんと按田優子さん、「マリデリ」の前田まり子さん、「なぎ食堂」の小田晶房さん、なんて魅力的な人たちなんだろう。

「ヴィーガンカフェバー Loca★Kichen」のいとうやすよさんは、「食堂開業心得帖」を自分で書いている。イラスト入りで、DYI熱が伝わる。なかなかおもしろい。

編集部の青野利光さんは、巻頭言にあたる文章に、こう書いている。

「皆さんの話を聞いて感じたのは、食事をする側とそれを提供する側の食に対する意識が、今まさに変容のときを迎えているのではないかということでした」

「あるときは美味しい料理に舌づつみを打ち、あるときは店主の言葉に耳を傾けながら、本誌が見出した新しい社会のカタチとは?
たくさんの言葉のなかに、みなさんの未来を見つけていただけたら幸いです。」

食に対する意識の変容のイマ。そこが、この本の焦点だ。

編集部の赤田祐一さんによる特集リード文のタイトルは、「"割り切れなさ"の魅力」だ。

「その「割り切れなさ」こそ、愛される店の本質であり、じつは食堂の存在理由ではないのだろうか」

「"新しい食堂"とは「新しい意識で運営されている個性豊かな飲食店」のことで、ここではそれぞれの店に親しみを込めて"食堂"と呼ばせていただきます」

「ここにとりあげたような意識の食堂が少しずつ増えていき、それがスタンダードになれば、世の中も少しずつ、不寛容なものから寛容なものへと変わっていくのではないでしょうか」

この「新しい」は、トレンドとは関係ない。「古い」を否定しているわけではない。

もちろん、食材や料理や味覚などに関する、それぞれの店主の考え方も、たっぷり聞いている。どなたも料理は「独学」だから、いわゆる「料理人」や「料理職人」たちの話とは違う。こういう話が聞きたかった。

とにかく、これからの料理、これからの食事、これからの生活、これからの生き方、これからのショーバイ、これからの仕事、これからの社会など、消費ではなく、創造を追求したい人たちには必読ですね。

ビジュアルも含め、本のつくりとしても、気取らず親しみやすく、新しい食堂の感じで、いい。

アートディレクション=峯崎ノリテルさん、デザイン=正能幸介さん。撮影=安彦幸枝さん。

そうそう、おれの文章「結局、食堂って何?」の扉には、久しぶりに東陽片岡さんのイラストがドカーンなんだけど、そのイラストの男が、頭髪がたっぷりあった頃のおれのようなのだ。

この本のことについては、明日も明後日もその次の日も、書くかもしれない。

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