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2020/12/06

『スペクテイター』最新号「土のがっこう」。

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今日のニュースに「東京の不動産投資額が世界首位 コロナで海外資金流入」という大きな見出しがあった。うれしくない、誇れないニュースだ。

土地を不動産価値でしか数えられなくなった日本、その首都の姿。こんな時代だから、まず「土地」を、地球と人類の歴史的資産であり文化的資産である「土」として、見てみよう。その資産を食いつぶしながらの「経済」の姿も、見えるだろう。

「土」を日々生きる視野に入れるのだ。

『スペクテイター』最新号「土のがっこう」は、人が生きていく上で、ということは、食べていく上で、必須のことが詰まっている。これまでこういうテキストがなかったのが不思議なぐらいだが、それが現実だった。

2020/11/19
都市的風景と農的風景の断絶、『スペクテイター』最新号「土のがっこう」。
http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/2020/11/post-2cfd79.html

に、顔を出してから、なかなか本題に入れなかった。でも、この間にブログに書いていたことは、「土」と学校に関係あることだった。昨日と一昨日に書いた、学校のことは、偶然にテープ起こしが見つかったからだが、自分は小学校や中学校で、どんな教科書を使いどんな授業を受けていたのだろうと考えていた。あまり思い出せない。

自分が卒業したあとの学校世界のことは、ほとんどわからないが、2000年頃に東京都の小中学校で授業を取材する機会があって、いくらかは見えたこともあった。だけど、どんな教科書を使いどんな授業をやっているかは、ほとんど知らない。知らないでも、生きていける。たいがいの大人たちは、そうではないだろうか。

土の中、を知ることは、「生きる」や「価値」を知ることでもあるのだな。とはいえ、「土」がどうして存在するかについての知識もおぼつかない。

「太陽」と「空気」と「雨(水)」と「土」がなければ、人間もあらゆる生物も生きていけない。といわれるが、中でも、「土」が特別なのは、「土」は自然にあったものではなく、マグマが冷えて固まった「岩石」が太陽と空気と雨それに微生物や苔などの作用でできてきた。気が遠くなるほどの時間がかかって「土」ができてきた。とても薄い「土」の層。磁器の釉のようなものか。「土」は、太陽や空気や雨のように人間の生理と直接関わるわけじゃない。あいだに「農」や「農耕」や「食」などの文化が介在する。そして、だから、人間の扱い方(文化)によっては、失われるのもはやい。その循環のどこかが損なわれると、「土」はどんどん失われる。

いま、そのことが問われている。

「1時間め 基調講演 ようこそ!土の世界へ」では、土壌学者の福田直さんが、「土壌教育」の必要性を強調しながら、「学習指導要領でとりあげられた”土”という言葉は、学習指導要領が改訂されるたびに、けずられてきました」と語っている。

おれが子供の頃ですら、まだ多分に農業社会的だったけど、「土」については、学校でちゃんと学んだ記憶はない。では、いったい、何を学習していたのだ。

学校教育も実生活の舞台も、どんどん「土」から離れていった。おれも、東京に出てからは、どんどん「土」から離れていった。

少しばかり「土」と縁ができて日々の「視野」に入ってきたのは、80年前後ぐらいからだ。ある旧財閥系の園芸会社の仕事を請け負ったことで、「土づくり」や「種苗生産」といったことに接する機会があったし、自分でも実際に小さい畑を耕し肥料を施し、じゃがいもやサヤエンドウを育てたりした。

「脱工業化」や「エコロジー」な時代背景もあり、だんだん「土」や「自然」へ傾斜していった。高校のときから登山をやっていたから「自然」とは親しかったようだけど、そういう「自然」と「土」の「自然」は、チョイと違う。いや、かなり違う。

「毎日うんこと泥をこねくりまわしていますよ」

あんぱんの皮のように日焼けした顔をほころばせながら、そういうショウさんのことを、「土のがっこう」を読みながら懐かしく思い出した。

ショウさんは、土壌浄化法による下水処理施設の工事(この仕事でうんこと泥をこねくりまわしているのだ)と自然農を営んでいた。おれが初めてあったのは、1989年か90年頃で、自然農法は始めたばかりの頃だった。

おれはショウさんの家に「下宿」して仕事をしていた。周囲には、「無農薬有機栽培」なんて謳わなくても、先祖代々それが当たり前の農林業家などがいて、何人もの人たちと交流があった。

その一人がクリさん。「自然は、わたしたちがやったことに必ず応えてくれます。自然に聞きながらやるんですよ。無理はいけないし、自然に逆らうおかしなことはいけない」といった。彼は、農林業を学ぶための国立大学と大学院6年間以外は、ずっとその土地で生きている。彼の林や田畑は、見ただけでわかると誰もがいったし、素人のおれでもわかった。当時、無農薬有機栽培の野菜は農協が引き取ってくれず、販売ルートで困ることが多かったのだが、彼の野菜は仲買人が競って買い求め市場でも高値がついた。

「土」「農」「有機栽培」「無農薬」「減農薬」「自然農法」「慣行農業」…などについて学ぶことが多かったが、なにより、生き方やモノゴトの見方について、いろいろ学んだ。以前、このブログでも時々書いている。

ま、とにかく「土」も「土いじり」も面白いね。けっこう興奮するし。「土」のぬくもりは、癒しになるし。

いまは小さな庭の水やりていどで、「土いじり」ってほどはやってないが、近所には畑がけっこうあって、毎日「土」を見ている。あの、ふかふかした「土」の顔は、見ているだけで気持が和む。

まずは、「土」を知り、「土」に親しむ。

もくじだけ紹介しておこう。

最初の扉に、「土」の文字が、どのような意味と歴史で成り立っているか解説がある。知らなかった。これだけでも得した気分。

◆イントロダクション

土のせかいは、おもしろい 文/編集部 イラスト/河井克夫

◆基調講演 ようこそ! 土の世界へ

講師/福田直 インタビュー構成/編集部 イラストレーション/相馬章宏

◆学習まんが 土ってなんだろう?

作画/河井克夫 原作/福田直 構成/編集部

「土と日本人」
「土と人類」
「土壌侵食って何?」
「土と教育」
「土と有機農業」
「2008年以降」

◆ロング・インタビュー 土からのメッセージ

取材・構成/編集部

橋本力男「堆肥づくりは 感性の扉」

小泉英政「土から見えたものは」

◆土と仕事

土に救われた僕
文/モリテツヤ

土いじりを仕事にするまで
文/高谷裕一郎

土から教わる、おいしい哲学
文/齊藤はるか

野菜ジュースと堆肥
文/コウ ノリ

一〇〇〇の用途のある粘土
文/川内たみ

◆土と生活

《わたし》は土に還れるか? ──離れ小島でメンドリと暮らす
文/よしのももこ イラスト/ブックン

◆「恵みの土」
マンガ/まどの一哉

◆土の図書館

「土のまわり編」文/桜井通開
「土のいじん編」文/横戸茂

http://www.spectatorweb.com/


当ブログ関連いくつか

2017/08/14
有効微生物群(EM)の初期の資料。
http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/2017/08/post-3440.html

2009/02/12
みんなで農業、いのちと〝農〟の論理。
http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/2009/02/post-bc2c.html

2008/09/17
百姓になって3年、毎日出荷の休日なし愛媛・西条市「有機菜園 藤田家族」。
http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/2008/09/3-2810.html

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