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2003/02/09

今日は「やよい食堂」の第4夜を掲載したから、こちらは簡単に。

で、74年に江原恵さんと会ったおれは、すぐ意気投合して、「じゃあ、やりましょう」となったわけだ。なにしろ、おれには「熟慮」という言葉がない。かっこうよくいえば「走りながら考える」ということのようだが、とにかく面白そうだなと思うと、すぐ動くのだ。

なにをって、そのときは「ありふれたものをうまく料理しよう」というセンの料理教室をやろうということだった。「サケの缶詰だって、うまく料理に利用できますよね」おれはサケの缶詰が気になっていたものだからいうと、「そうさ、そういうものをうまく食べるのが料理なのだ」と江原さん。いつも酔っての話だから、そんなアンバイだったと思う。

「で、どうやって、その料理教室をやるのですか?」「それは、やはりバスかなんか改造して、それで全国をまわるのさ」「おお、すばらしい!」江原さんは、なにしろ放浪癖に近いものがある。おれも一ヶ所にじっとしていられないほうだ。

さっそく熟慮せずに、そのセンの料理教室をやる企画書をつくり、おれが担当する大手食品メーカーにプレゼン。「ばーか、おまえは何を考えているんだ」と課長に一蹴されて終わり。

しかし、それから10年近くたったころ、江原さんと「生活料理研究所」をつくり渋谷の東急百貨店本店前のビルに「しる一」という店まで出すことになるのだった。まったく人生は、どういう展開になるかわからん。

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