それでは「アサヒグラフ」の「四條司家」
以前ちょっとふれたまま、ほっておいた。『アサヒグラフ』の、99年2月26日号「四條司家」の記事である。
まず表紙。紙面一杯にドーン、41代目当主の四條隆彦さんの「庖丁式」の写真。まな板を前に、衣冠束帯の当主が右立ちひざで、右手に「庖丁」ではなく「庖丁刀」と呼ぶものをかざし、左手に「真魚箸(まなばし)」なるを持ち、顔はジッと庖丁に見入っている。その左側、「アサヒグラフ」のタイトル文字の四倍はあろうかという大文字で「四條司家」、その下、やや小さく「日本料理道 庖丁道の精華」とある。
じつに、その当主の容姿といい、まな板の上に切られて転がっているコイも含め、一片の美的センスも感じられない、洗練とはほど遠いグロテスクな写真。
そして表紙をあけた本文扉が、また一面写真、「庖丁刀」の大写し。見出しは、またもや「四條司家」そして「日本料理道・庖丁道の精華」。小さな写真説明に「庖丁儀式に使われる庖丁刀。鞘に四條司家の家紋がある」。いやあ料理も登場しないうちに、いきなり「家紋」様の登場ですか。それに、この庖丁刀、いかにも家伝の古いものらしいが、説明はない。それもそうなのである、じつは、新しくつくったと思われるものなのである。そのことはヨシとしよう、わざと古い格式ありげな演出のために、この家紋入りの庖丁刀を使っているとは、いわないことにしょう。
その扉をあける。するとドドーン見開きで「四條家流庖丁書」を開いた写真なのだ。右肩の記事に「四條中納言藤原朝臣山陰が/日本料理道、庖丁道の基礎を確立したとされるのは平安初期であった。/以来、四條司家は、/千年以上にわたり、日本料理の粋を継承しつづけてきた。/限りなく多様化する日本の食文化の精華がここにある」と。そして、これは写真説明になるだろう、左下に、「『四條家流庖丁書』日本料理の祖人、四條中納言藤原朝臣山陰が庖丁儀式における鳥や魚のさばき方などを解説した書」とある。
そのまま素直に見れば、この写真は「四條中納言藤原朝臣山陰が庖丁儀式における鳥や魚のさばき方などを解説した書」と思われるだろう。しかし山陰は、そのような書は残していないはずだ。それに、ちょっと知っているひとなら、これまでは「四條”家”流包丁書」ではなくて「四條流庖丁書」だったと気づくはずだ。だけど、この写真は「四條”家”流」なのである。うーむ。
と、ちょうど文字制限となりました~
| 固定リンク | 0
この記事へのコメントは終了しました。
コメント