« 休み | トップページ | もっと普通にうまいものを安く »

2003/03/10

普通のうまさ

これだけグルメ談義がうるさいのに、「普通のうまさ」が話題になることが、ほとんどない。話題になるのはマズイにせよウマイせよ「究極」なのである。以前、ある雑誌の企画で、「究極の銀シャリ」を食べさせる食堂を上げて欲しいという話があって、おれは逃げた。生活を楽しむためには、究極などは必要ない。むしろ普通にうまいということが、重要なのだ。というのが、おれの考えだ。

しかし「究極」が大手をふっている。グルメな動向は究極を求め、結果、いつまでたっても普通は究極の犠牲で、なかなか普通のうまさが普及しないし向上しない。それには日本の歴史的事情があると思うが、そのことはおいといて、酒の世界ではチト事情が違うように思う。

ここ一年間に酒蔵に招かれることもあったりで、「酒好き」というか世間的には「通」と呼ばれるであろうひとの話を聞く機会が何度かあった。酒好きのあいだには、普通酒あるいは普及酒がうまくなければいけない、それがうまい酒蔵は吟醸酒もうまい、という考えが、それなりにガンコにあるのだ。

で、そういう人に話をきくと、ちゃんと「普通の酒のうまさ」について説明してくれるのである。究極の大吟醸をありがたがっているだけじゃ酒好きとはいえない、という感じなのだ。そのへんは、ラーメングルメで「究極」を求めて食べ歩き、インスタントブランドにまでなった「青葉のラーメン」あたりを崇拝している連中とは、かなり違う印象を受けた。

ま、もともと、酒通と80年代以後のグルメを比較してはいけないのだろうが。「食べる」世界は、あまりにも「普通のうまさ」について無頓着すぎると思うのであった。究極を求め普通を失う。

| |

« 休み | トップページ | もっと普通にうまいものを安く »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 普通のうまさ:

« 休み | トップページ | もっと普通にうまいものを安く »