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2003/12/09

アリガタミといふこと

男「では、そのアリガタミになる言葉をあげてみてください」

女「そんなの簡単よ、そのへんにゴロゴロよ。たとえば、幻、達人、シュン、プロ、老舗、フランス料理、シェフ。たとえば、西洋料理界の長老関塚喜平氏(プロスペール・モンタニエ日本支部会長)、20数年のキャリア、御三家、鹿児島の黒豚、千葉県御宿の地鶏の卵、日高こんぶ、器は美濃の蓋丼、といった表現。だからそれが何よってかんじではありますね、でもアリガタミになるの」

男「なんだそれは、古雑誌じゃないか」

女「そうよ、これはね、たまたまこれはそばにあっただけ。danchyuが創刊になった年の6月号の、塩田丸男さんの記事。このひとのこの文から、こういう表現をとると、何もないぐらい徹底している。エライ。でも、みんな、というかメジャーなメディアの内容は、こういうものなのよ、これでアリガタヤアリガタヤでみんなはうれしいの」

男「あのひとは御用ライターで”平和ボケ”なんていう言葉でしか日本人と日本をめぐる情勢を認識できないひとだから、そんなていどでしょうねえ。モノゴトを認識する力はないのです。そういうことが、アリガタミのために必要だと、あなたはいうわけだ」

女「そうよ、これがね、ほら、アリガタイでしょ、日本百名水でつくった酒ですとか」

男「オッ、でも、ここにある、小沢昭一さんの文は、なかなかじゃないか。ほら、”カツ丼と言えば、肉ばかりでなく、玉子も違うし、パン粉も油も違う。すべて良質のものに変わった。しかし、良質のものの組み合わせが、必ずしも良いものを生むかというと、どうも違う気がする。適度な悪質が混じるから旨くなると思うし、味にも個性が出てくると思う”ホラ、これこそ自分の眼で見、考え、自分の感覚で味わっているひとの言葉じゃないか。内容のない塩田丸男とは、まるで違うね。こうでなきゃいけないよな」

女「だから、それじゃね、ちっともアリガタミがないでしょ。この小沢さん、ブタの味の話だけど”僕は、昔はブタが生ゴミを食べていたからじゃないかと睨む。あれが旨さの素だったんじゃないかと思う”ナーンテ、これじゃ豚小屋のクサイ臭いだけで、ちっともアリガタミがないでしょ、だから”平和ボケ”のようにバカにもわかる単純化した表現として”鹿児島の黒豚”といえば、それでアリガタミになるからいいの」

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