アリガタミといふこと
男…まだまだアリガタミで、このあいだに続き、「栄養」と「健康」だ。近年、これほど味覚を無視したアリガタミはない。
女…太りすぎ、カロリー、高血圧、ガン、植物繊維を気にしていますね。で、痩せられる、カロリー控えめ、植物繊維がある、高血圧をふせぐ、ガンの予防になるというと飛びつきます。アリガタイアリガタイです。
男…だいたいね、太りすぎや高血圧の基準ってのは、どうやってきまるの。個体差があるはずじゃないの。
女…いえいえ、それは国の基準で決まるのです。でね、ここ10年ぐらいのあいだに、肥満とされる基準、高血圧とされる基準が、引き下げられたのですよ。これは当然、肥満がふえ高血圧がふえます。健康なひとまで不健康にさせられます。なぜそういうことを国がやるかというと、健保財政の赤字対策なの。医者の収入を削れないから、病気で医者にかかるまえに、本人のカネで病気を防ぐ体制をつくろうと。そこで脚光を浴びたのが「予防医学」というわけね。
男…あらかじめ半病人をつくり、自分のカネで注意をさせ、もって政府の赤字を防ぐという「予防」。で、基準値を下げて、マットウな人間にむかって、あなた太りすぎです、高血圧です、と不健康人間を増やした。「生活習慣病」という言葉までつくってね。政府医者御用栄養士学者ら結託の大キャンペーンのなかで、粗食なるものもブームになった。
女…「上品なうす味がよい」も大人気。自分が不健康だと思っているから、味覚まで変わってしまう。ガンガン働いて健康な人間なら、ショッカライもの食べて当然だし、それで「うまい」とおもう、それが健康というものでしょ。本当に身体の調子が悪いときは、塩あじがきつくかんじるものよ。それが、いまはいつも塩分ひかえめだから、味覚の変化で、自分の健康状態を自分で判断することもできない。
男…太りすぎや高血圧に注意しなくては、とかいう意識がいつも休みなくアタマのなかを占領している環境だよ。大衆食堂のメニューにまでカロリーが書いてあるからね。大衆食堂でめしくう人間がカロリーを気にする。おかしいよ。
女…そうなると、うまいかうまくないかにかかわらず、「上品なうす味」に安心しますね。もう、うす味でコクもない、まずいものだらけ。だけど「上品なうす味」アリガタヤアリガタヤなのです。もう味覚がおかしくなってます。
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