イブの翌日に女は荒れる
女…昨日はテレビ局の取材があったそうだけど。
男…ああ、「食と情報」というかんじで、新潟放送の取材を受けたのだけどね、それでいろいろ思い出したよ。いまのグルメ騒動の潮流は1970年前後に始まる。そのころは「情報化元年」といっていいぐらい、マスコミが「情報化社会」という言葉をつくりキャンペーンを始めた。
んで、また別の動きで、そのころは「レジャー元年」といってもよい状況が生まれていた。官僚主導の「余暇開発センター」なんてものができて、おかしなおかしなことに、「余暇」というプライバシーなことに官僚の指導が入るのだな。ヤレやれ余暇、ソレやれ余暇で、「余暇白書」がはじめてできるのも70年代前半。それはどういうことかというと、高度経済成長でなんとなくカネとヒマができたような状態になり、本当は借金がしやすくなっただけなのだけど、それをどう消費するかということになったのだな。
そこで浮上したのが「食のレジャー」だ。つまり「食べ歩き」ってやつだ。ところが、そのころはまだ「男子厨房に入るべからず」で、食通という特別な人種の道楽以外は、ま、食は文化的荒野状態だった。
そこで、カタログ情報誌が次々に誕生し、ヒマとカネができたけど貧乏な未熟な市民を導くことになる。「アンアン」「ノンノ」「ポパイ」「ホットドッグプレス」「るるぶ」というぐあいで。それは、いわば「余暇開発カタログ情報誌」ともいうべきものだった。
で、それを片手に旅行と食べ歩きがブームになる。つまり、外食と情報はおんぶにだっこで動きだすのだよ。で、台所のほうはほったらかし。グルメブームは、そういうふうに台所の外で情報とふっついて始まったところに大きな特徴があるんだな。それに「食のレジャー」は最初から官僚主導であって、消費者の主体性に欠ける面が、なかなか克服されず、よけい情報にふりまわされる状況が生まれているというわけだよ。ま、おおざっぱ、そういうこと。
女…ふーん。つまり、あなたにいわせると、消費者の主体が問題なのね。そんなの無理よ。日本は、栄養のことまで国家がめんどうみる国だから、消費者の主体なんて無理よ。「余暇開発センター」だって、「財団法人自由時間デザイン協会」って名前変えてやっているし。日本人は「自由時間」まで官僚のお世話になるザマよ。
男…おぬし、今日はなんだか荒れているな。昨夜のイブに男にふられたな。
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