アリガタミのない話
男…昨夜、すごいことがありました。
女…なんですか?
男…鍋をやりました。豆腐を入れました。すると、その豆腐が、熱せられるにしたがい、崩れ溶けるのです。
女…えっ、その鍋、どこの女とやったのですか。わたし以外の、どこの女と。
男…これこれ、問題は、溶けた豆腐でしょう。とにかく、それを食べないと、もう食べるものがない、なにしろみんな一緒に鍋にほおりこんだのでね。だけど、鍋のなかはカス汁みたいに白くドロドロ。これは、溶けた豆腐は食べていいのかどうか、はじめてなのでわからない。で、電話したんだよ。
女…食べればよかったのに。
男…これこれ、それで、豆腐のパッケージにあったメーカーのお客様相談室に電話したけど、もう夜の8時だから通じない。買ってきたスーパーに電話した。で、事情を話して、これはこのまま食べていいものかどうか相談した。とくにおかしなニオイはしないし、ちょっと食べてみたけど、舌に刺激があるようなことはない、とにかく腹がすいているから、食べようかどうか迷っていると。すると、それは食べないでくれというのだな、万一なにかあるといけないから。でもそれじゃ食べるものがなくなるというと、いますぐ鍋のものを持っていくから、食べないでくれ、鍋には何をつかっていますか、というので、これとそれとあれといった。そしたら、10分ぐらいで、営業マネージャーというひとが、それを持って現れた。みんな実際に買った倍ぐらいの量に、豆腐代と電話代を持ってきたのさ。しかし、豆腐が溶けるのには、おどろいたなあ。スーパーの人も、崩れることはあっても、溶けるのは初めてだといっていたよ。
女…それでおしまいなの?
男…今日、メーカーからなぜ溶けたかについて、電話があることになっている。それから、そのスーパーが持って来た大量の鍋用の具があるから、また鍋をやるというわけ。
女…それでおしまいなの?
男…それだけ。とにかく豆腐が溶けたというのが、おどろき、おもしろいことがあるという話。最近は、どこもコストダウンで材料調整をしているから、それでなにか失敗したんだろうなあ。
| 固定リンク | 0
この記事へのコメントは終了しました。
コメント