ラーメンの荒野
男…ラーメンで日本の食文化は荒野になる。というか、すでになった。といえるような気がする。もともと、ラーメンの味覚文化の根っこのところにはアジノモトがあって、それが、ラーメンは歴史が浅いにもかかわらず、短期間に巨大マーケットに成長できた最大の理由だから。
女…それはまた「荒野」とは悲観的な。どういう意味でしょうか。
男…食文化というのは、料理の想像力の源だね。ある料理を創造、ま、新奇の料理の創造ではなくても、ある材料から何か作ろうというときには、まず最初にイメージが必要だな。そのイメージを生む想像力というのは、簡単にいってしまえば食文化に源がある。で、どんな食べ物も、その歴史の背後には、そういう文化の蓄積がありながら普及してきたということがあるね。ラーメンの土壌には、うどんやそばやそーめんの文化があった。では、ラーメンの文化は、そのように、うどんやそばやそーめんの文化がラーメンを生む土壌になりえたように、何かの食べ物を生む土壌になりうるかというと、なれない。袋小路なのさ。それが、どんどん広がっている。そういう荒野だね。
女…つまり基本的にはアジノモトで成り立っていたマーケットを、手をかえ品をかえやって、広がってきただけで、想像力が育ってない。ということ。
男…ま、そういうことだね。ラーメン文化は何も生まない、という意味で荒野だということさ。
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