アミノ酸味
女…なんだかラーメンを目のかたきにしているようですが。
男…ブームがもたらす、ラーメン荒野を問題にしているだけだよ。「酸いも甘いもかみわける」という言葉があるね。あれは「酸いも甘いもかみわける」ようになったら大人という意味だろ。いろいろな味を食べ理解して成長するんだな人間は。幼児期には幼児期の味覚文化があり、青年期には青年期の味覚文化があり、老年期には老年期の味覚文化がある。
女…「苦みばしった男」なんていう言い方もあって、子供には使われませんね。あなたも、別な意味で、そういうふうには言われないけど。
男…なんじゃ、おれがいい男じゃないというのか。フン。先日、知り合いが「私もやっと大人になったのか、ワインの苦味のよさがわかるようになりました」といっていた。酸味、辛味、苦味、渋みなどは、大人の味なのだな。
これは、人類が自然から食べ物をとりいれた歴史と関係あるようだ。まず甘いのが安全ということで覚えたらしい。子供の場合は、食べ物について十分の経験と知識がないから甘いのを「うまい」として好み、酸っぱい辛い苦い渋いなどはキケン信号になっている。嫌がり、吐き出す。子供はなんでも口にいれるから、そういうふうになっているんだろうねえ。で、人類が食について経験と知識を蓄えながら、甘味以外の味をわがものとし楽しみ料理を広げてきたように、子供も成長する過程で味覚を広げ、食文化的成長をする。つまり大人になる。
女…その場合、アミノ酸味つまり旨みというのは甘味と関係あるのでしょうか。
男…日本人の場合「旨み」というぐらい「うまい」のもとになっている。子供のときから甘味とセットだね。それに塩味とも関係するようだな。甘味は、ちょっとした塩味と一緒のほうがうまく感じるように、旨みも塩味とセットのほうがうまく感じるようだ。これも人体が塩分を必要とし、甘いものを食べながら塩分をとってきたことに関係するだろうね。そういうものは早いうちに「うまい」と覚える。
女…ラーメンは、その旨みと塩分のセットのものだと。
男…子供が好むものはたいがいそういうものだということだね。ある意味じゃ、根っこのところじゃ単調なんだよ。大人になっても、そんな味ばかり追いかけていたら、アタマも単調になるんじゃないの。
女…あらあら、そんなこと言ったらラーメン好きに袋叩きですわよ。
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